18歳以下への10万円支給について

世紀の愚策】

政府は、18歳以下の子どもに対して10万円を支給する方向で話を進めているようです。

何のための10万円なのか?なぜ18歳以下が対象なのか?など色々と疑問に思うところがあります。

言いたいことが山ほどありますが、そこはグッと堪えます。私は税の専門家ですから、税の見地からこの政策は異常であるということを訴えたいと思います。

大学生は対象外の異常性】

18歳以下の子どもが対象ということは、つまり19歳以上の大学生は対象外になるということです。

一人暮らしをする大学生は、コロナの影響でバイトの稼ぎが少なく資金的に厳しい状況にある方が多いと思います。

私自身も18で東京に出てきて、飲食店のバイトで生活費を稼ぎながら大学生活を送っていました。

バイト代が不足している中での、10万円の支給というのは一人暮らしの大学生にとって大きな支えになると思います。

しかしながら、今回の10万円の支給案は19歳以上の大学生は対象外です。

私はむしろ、大学生のみを対象にして10万円を配っても良いと思っています。

その方がコロナで生活が困窮している人を助けるという意味でよっぽど筋が通っているのではないでしょうか。

18歳以下の子ども限定という、この訳の分からない政策について私が感じたのは、所得税の扶養控除との整合性がとれていないということです。

特定扶養親族】

所得税には扶養控除というものが存在します。

子供や親などの親族を養っている場合、所得税が安くなるという制度です。

扶養控除は、16歳から18歳の子供については38万円の控除。19歳から22歳の子供については63万円の控除の適用を受けることができます。

19歳から22歳までの扶養親族のことを専門用語で特定扶養親族と言います。

特定扶養親族である大学生の子供は高校生の子供に比べて控除額が25万円多くなっています。

(サラリーマンの方は今まさに年末調整の時期です。扶養控除申告書のご記入をする際、ご自身のお子様が19歳から22歳の場合、特定扶養親族のチェックを付けないといけませんので、ご注意ください。)

大学生子供がいると税金安くなる】

大学生の子供を養っていると所得税だけでなく住民税も安くなります。

なぜ、大学生の子供がいると税金面で優遇されるのか。

理由は当然のごとく、大学生の子供は養育費がたくさんかかるからです。

一人暮らしの大学生の子供に対しては、家賃等生活費の仕送りをしなければなりません。学費も負担しなければなりません。

だからこそ、子供が大学生になった時に備えて、お金を積み立てる学資保険というものも人気の保険商品として存在するわけです。

それなのに、今回の10万円支給案は19歳以上の大学生は対象外です。

到底納得ができません。

両方とも国の政策】

今回の18歳以下の10万円支給と所得税の扶養控除はいずれも国の政策です。

国は、一方では、大学生を切り捨てるという残酷なことをやって、他方では、大学生の親の税金を優遇するということをやる。

同じ人に対して、飴と鞭を同時に与えるようなもんです。この政策の一貫性の無さは一体何なんでしょうか。

意味不明でデタラメな政策はやめてほしいと思います。子供たちに将来の負担を背負わせるだけです。

政府には、ちゃんと困った人の所にお金が行くような丁寧な政策を行ってほしいと思います。

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