奨学金や母子父子寡婦福祉資金は使わない方がいい? | 母子家庭の生活保護と補助金

母子家庭の生活保護と補助金

母子家庭の生活保護と補助金について、解説します。

子育てを支援するためのクーポンを配る・配らないで世間の注目、いや批判を浴びている政府の政策。「産むきっかけにはならない」とは正直な意見だと思います。

なにせ、子供が大きくなるにつれて右肩上がりでお金がかかるのは、今の世の中巷にあふれている情報から容易に目の前に出てきますし、実際の子育て世代の生々しい発言はSNSのタイムライン上でも目に入ってきます。

高校まではなんとか進学させることが出来ても、その先の大学となると更に費用がかかります。

昔と違い今は国公立大学においてもそれなりの費用がかかります(国公立大学が安く費用がかからない、というのは遠い昔のお話)。ましてや地元を離れ地方やその逆の都会へ進学した場合、学費の他に更に生活費も必要となることは言うまでもありません。

そこで利用されている(というより利用せざるを得ない)のが『奨学金』です。奨学金も2種類あり、貸与型と給付型となります。

給付型は返済義務が無いのですが、その分利用できる条件のハードルが高くなります。

一方、多くの奨学生が利用している貸与型は返済義務が生じる奨学金で卒業後に返す必要があります。そう、言い換えれば『借金』です。



働きながら返済できるのでは?との考えもあるでしょう。それはもっともですが、給与が30年も上がらない(逆に下がっている?)日本において、若者の初任給はどれ程のものでしょうか。

奨学金を返済しながら生活は出来ても、大きくはゆとりを持つこともできないのではないでしょうか。

それは消費を促さないことになり、日本経済の活況へは遠回りな道筋を歩かされているような気にもなります。

仮に給与が30年前と同一だとしても、消費税をはじめ各種税金・社会保険料の上昇により手取りは減っています。そのような状態ではやがて結婚したとしても、冒頭にあります「産むきっかけにならない」の発言が発せられる要因にもなるのではないでしょうか。

ところで多くの奨学生が利用している貸与型ですが、時折見かける話題として「外国は返済義務が無い」ということがあります。

教育にしっかりとお金をかけてもらえれば、学びたい人は積極的に学び、最終的にはそれが社会に還元されます。素晴らしいことです。

でも、返済義務が無いなんて、本当にそうでしょうか?

国立国会図書館がまとめた資料の中に、OECD 諸国の国公立大学等の授業料と国による給付制奨学金(諸外国における大学の授業料と奨学金 2015.7.9 より引用)というのがありました。

西ヨーロッパのルクセンブルクでは、ほぼ全学生が年額280,800円の奨学金を受給でき、年間授業料の平均74,800円だそうです。(一部抜粋)。

一方アメリカでは給付型の受給率が47.6%で平均受給額は465,200円ですが、年間授業料の平均は879,800円となっておりました。


これは各国の国公立大学等の授業料と国による給付制奨学金を比較したものではありますが、国による給付型の奨学金への整備が遅れている日本から見れば、諸外国は国の将来を担う学生を大切にしている、というように見えても仕方無いことかもしれません。

また、似たような制度では、厚生労働省が管轄し地方公共団体が申請を受け付けている「母子父子寡婦福祉資金」もありますが、これも貸付型奨学金と同様に貸付であり返済の義務が発生するものです(場合によっては支払利息もつきます)。

母子父子寡婦福祉資金とひとり親世帯を連想させる言葉が並んでいますが、そこまで並べておいて何故給付型にしないのか、と疑問に思います。

また母子父子寡婦福祉資金は修学資金の他、様々な用途でも貸付対象と認定されます。実質的な奨学金ではなく、家庭向けの貸付に奨学金の機能が備わっただけ、と捉えるべきなのかもしれません。