「アート思考」で事業に差をつける!~デザイン思考との違いや実践法

ビジネス思考

こんにちは、中小企業診断士の古川里奈です。

今日は、ビジネスにおいてこのところ急速に注目されている「アート思考」についてご紹介させていただきます。

アート思考とは

アート思考は、この数年で注目されている思考法です。「アートを創造するときの思考」であり、さらにこの考え方を継続して用いていく「アーティスト的な思考」はアーティスト思考と呼ばれます。

デザイン思考との違い

似たような言葉として、「デザイン思考」を思い出す方も多いのではないでしょうか。

デザイン思考は2005年後ろから注目されはじめた思考法で、多くの企業で製品やサービスの開発などに用いられています。

アート思考とデザイン思考との大きな違いは、「誰の」課題を解決するかという点にあります。

デザイン思考のプロセス

デザイン思考の考え方は、次の5つのプロセスによって実現されます。

①顧客像を詳細に把握する
→②その顧客が困っていることを深堀りし抽出、定義する
→③顧客の課題解決策を検討する
→④③で検討した解決策のプロトタイプを作る
→⑤ユーザーの課題を解決できるか検証を行う

各アプローチを達成するためにも様々な手法が使われますが、ここでは説明を割愛します。

デザイン思考は顧客のニーズに合わせた目的物を作れるため、独りよがりなアウトプットにならないというメリットがあります。

アート思考との大きな違いは、「顧客像の把握」からプロセスが開始しており、そして「その顧客の」困りごとを抽出、解決させているという点です。いわば課題から目的物を逆算して導き出しているのです。

アート思考の考え方

一方で、アーティスト思考で行われる課題解決は、「自分自身の持つ」理想の追求になります。

(アート思考で想定されている)アーティストは誰か特定の人に向けた作品としてアートを制作するわけではありません。

アーティストは自身の表現として作品を制作し、それを見た人が誰かに頼まれたわけでもなく勝手に感動したり、共感したりするのです。

ここで重要なのは、見た人が「感動」「共感」できるのは、アーティストが心のなかで考えていることではなく、「作品」としてアウトプットされたものだということです。

ビジネスにおけるアート思考も同様に、生み出したものが「今までに見たことがないもの、感動できるもの」であることと同時に、「見た人が理解できるアウトプット」がされていることが必要になります。どれだけ素晴らしいアイデアがあっても伝えることができなければ意味はなく、伝えることも含めてアート思考と呼べるのです。

アート思考をビジネスに取り入れるメリット~デザイン思考との違いから

アート思考をビジネスに取り入れるメリットは大きく次の3つです。

  • 0から1を生み出すことができる
  • 突飛な考え方を肯定できる
  • ユーザーの想定を超える価値を生み出せる

デザイン思考は、顧客のニーズから逆算するという手法を取ることで、独りよがりにならないという大きなメリットがあることを上で説明しました。

しかし、潜在的な顧客の課題を調査するところから始まるため、顧客の誰もが認識していないような課題は発見しづらく、また満足以上の価値を生み出すことが難しいという問題があります。

アート思考は、自身の理想や信念の追求であるため、他者の思いから開始するデザイン思考を超えた効果が期待できます。さらに、アイデア発散の場において視野を広くすることができるため、突飛な考え方が肯定され、よりよいアイデアを出すチャンスが広がります。

アート思考を取り入れたものづくりの例

アート思考を取り入れたものづくりを行う企業としてよくあげられる例に、Appleやマツダがあります。

例えばMacintoshは、一般の消費者が安価で手に取れるPCにおいて画面上で作成したものをそのまま印刷できるDTPの仕組みを実現しました。さらに、入力のインタフェースにおいて当時キーボードのみであったところに1ボタンのマウスを取り入れています。

当時の顧客にとっては「キーボードでの入力」は常識であり、ニーズの深堀りだけを行っていればマウスという形にはたどり着かなかったかもしれません。シンプルで美しいデザイン、という開発理念を「1ボタンのマウス」と表現したことで、顧客の感動的な価値を生み出し評価されたことはアート思考によるものづくりの非常に分かりやすい例だと言えるでしょう。

マツダも同様に、顧客のニーズへ単純に合わせるのではなく、自身の信念に従ったものづくりによって顧客の感動を生み出すことを理念としています。

新しい発想はどう生み出すのか

自身の理念を全く新しいアウトプットという形で表現するアート思考の考え方を説明しました。

では、肝心の新しい発想はどのように生み出せばいいのでしょうか。

ここでは、その糸口に「オズボーンのチェックリスト」を使うことをおすすめします。

転用
・今あるものについて
 他の使い方を考える
応用
・他の物を応用する
・過去の例をアレンジする
変更
・デザインや機能など
一部を変えてみる
拡大
・今あるものを大きくして
別の使いみちを生み出す
縮小
・今あるものを小さくして
別の使いみちを生み出す
代用
・何かを別のものに代えてみる
置換
・何かを別のものに置き換えてみる
逆転
・反転、上下左右を変える、役割を変える
統合
・2つ以上のものを組み合わせてみる
オズボーンのチェックリスト

新しい発想といっても、その多くは全くの0から生み出されたものではなく、過去に体験してきたもの、見てきたものを自分なりに組み合わせたり変化させたりしたことで生み出されています。元が同じものであってもその組み合わせ方や発想の変え方は無限に広がっていきます。

オズボーンのチェックリストの使用やブレストによってアイデアを発散させることで、誰も想像したことのなかった新しい価値を産むアイデアの種を発見することがアート思考の第一歩と言えるでしょう。


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