Between Horizons – プレイ後の感想と作品解説【レビュー】

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©Assemble Entertainment GmbH 2024. Developed by DigiTales Interactive GmbH. Published by Assemble Entertainment GmbH – all rights reserved!

 

 

基本情報

 

タイトル Between Horizons
対応機種 Steam,Nintendo Switch,PlayStation5,Xbox SeriesX|S
販売 Assemble Entertainment
開発 DigiTales Interactive
発売日 2024年3月25日(Steam版),2024年9月19日(各種コンソール版)
対応言語 日本語, 英語, ドイツ語, 韓国語, 中国語 (簡体字), 中国語 (繁体字)
備考 IARCレーティング:16+(激しい言葉づかい)
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作品概要

 

「Between Horizons」はドイツのゲームスタジオDigiTales Interactiveによって開発されたゲーム作品。販売を手掛けるのは同じくドイツのパブリッシャーであるAssemble Entertainment。

本作は調査と推理の2つを主軸に据えた2.5DスタイルのSFディテクティブアドベンチャーゲーム。人類にとっての大いなるミッションが課せられた世代宇宙船ゼファー号の保安主任ステラとして、その水面下で遂行されつつある陰謀を未然に阻止するのが物語の目的だ。

同スタジオが手掛けた前作「Lacuna」のゲームシステムを踏襲し、更に磨き上げられたSF世界観のピクセルアートは特に必見。アクション性を廃したゲームデザインでプレイヤー各自のペースで物語を追いながらじっくりと挑むことができる良質な推理アドベンチャーを堪能しよう。

 

リンク:DigiTales Interactive(X(Twitter))

リンク:Assemble Entertainment(X(Twitter))

 

あらすじ

 

(本編オープニングパートより引用及び要約)

 

ゼファー号の到着をこの目で見れないことを初めて知ったのは、8歳か9歳の頃だったろうか。幼い私は、生まれて初めて船を後にしてユーラスDに降り立つ自分の姿をよく想像していた。それが孫世代だけの特権になるとは、当時は理解できなかった。

父との会話は今でも覚えている。自分の子供の死について話すのをとても嫌がっていたのは幼い私でも分かった。それでも、父は私の気持ちを楽にしてくれた。

「私たちは2つ目のカゴに入った唯一の卵だ」というようなことを言って、人類の存続のために私たちのミッションが重要であることを気づかせてくれたのだ。

カゴとは、地球からわずか4光年先にある居住可能な惑星ユーラスDのことで、卵とは、ゼファー号に乗船している約1300人、私が知る人全員の事だ。

 

 

ゼファー号。それはおよそ1,300人もの人間を載せ、長きに渡る時をかけて星の海を航行する世代宇宙船の名だ。

船が地球を離れてから33年、居住者達は新天地である惑星ユーラスDへの到着予定が近づいた事を祝う特別な日”アライバル・デイ”を迎えようとしていた。

 

居住者の一人であるステラは、船内の繁殖ポッドで生を受けた生粋のゼファー育ちの成人女性である。

保安主任を父に持つ彼女は次期主任候補として周りから期待される身だが、今ではその事に意義を見出せず次第に無気力になりつつあった。

 

船内が一斉に祝祭ムードで包まれるそんな折、内郭区内で不審な紙切れが発見されたという報告が上がる。

船長タリヤに呼び出されたステラは、この件の調査を一任される事になるが…。

 

 

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
上下左右ボタン (移動画面、PDAメニュー上)移動
Lスティック (移動画面、PDAメニュー上)移動、(押し込みで)マップメニュー表示
Lボタン
ZLボタン (PDAメニュー内)タブの切り替え
-ボタン PDAメニューの表示、閉じる

 

JOY-CON(右)
Rスティック
Aボタン (対象の近くで)インタラクト、テキストを読み進める
Bボタン PDAメニューを閉じる
Yボタン (移動画面)スキャン能力の発動
Xボタン (対象の近くで)証拠を見せる、(PDAメニュー「証拠タブ」内)証拠の表示分類を切り替え
Rボタン
ZRボタン (PDAメニュー内)タブの切り替え、(長押し中移動で)走る
+ボタン ポーズメニュー呼び出し

本作にはアクション的な要素はなく、ゲーム進行自体は自分のペースでじっくりと進めることができるが、会話の際に登場する選択肢の場面では回答の制限時間が設けられている(設定から時間制限のオンオフが切り替え可能)。

 

ゲームシステム

 

以下で「Between Horizons」の基本的なゲームシステムを紹介していこう。

 

捜査の進め方

 

ゲーム内の大まかな目的はステラを操作して船内を歩き回り、作中で取り扱う事になる各事件の手がかりを見つけ、解決に向かう事だ。

本編開始からしばらくの間はチュートリアルが随時挿まれつつ進行するため、順序良くゲームの仕組みを習熟可能となっている。まずはLスティックによる徒歩移動を介して色んなエリアを訪れてみよう。

 

怪しい場所にはスキャン能力を

ステラが装着しているスーツには近くのものを解析するスキャン能力が備わっており、これが作中においての各証拠を集める手段となっている。

使い方はまず、Yボタンを押して能力を発動。直後にステラを中心に青色の光がドーム状に広がっていき、範囲内に調査可能な対象があった場合はAボタンで調べることができるようになる。チェック前は「???」の状態だが、一度でも調査が終われば判明後の名称に固定される。

 

 → 

ただし、スキャンの効力は一定時間経過すると消滅してしまうので、判定が消える前に調べる必要がある。能力自体はノーコストで使用できるので、気になる場所では徹底的に使って手がかりを見つけ出そう。

 

セーブについて

本作における進捗状況の保存はオートセーブで行われる。プレイ中、一定間隔で画面右上に上画像のようなアイコンが入るとオートセーブ実行の合図だ。

なお、今作のセーブは常に上書きとなる仕組みであり、複数からなるセーブスロットは存在しない。オートセーブ自体は頻繁に行われるが、ゲームを終了するタイミングには十分に気を付けよう。

 

対象人物と話す&証拠を見せる

スキャン能力の効力発動中、会話可能な人物の前では上画像のようなアイコンが出現。アイコンの効果はそれぞれAボタン側が「話しかける」、Xボタン側が「証拠を選んで見せる」となっている。

後者はどのタイミングでも実行可能である一方、前者は新たな会話内容がある時でないとアクティブにならない。一度聞いた会話をもう一度確認したいという場合は、PDAメニューの「通信」タブ(後述)から探してみるといいだろう。

 

選択肢について

作品内では人物との会話中、選択を迫られる場面が登場することがある。名前表記部分のタイマーゲージが尽きる前に選択肢を選び、自らの考えを相手に示そう。

なお、オプションメニューの「台詞タイマー」項目で設定をオフ(スイッチを黒丸側にしておく)にしておくと、上記の時間制限が発生しなくなる。回答時間要素は必要ないという方は、あらかじめオプションで設定をオフにしておこう。

 

PDAメニューの使い方

 

-ボタンを押すことで展開するPDA*メニューを通して、捜査の上で入手した様々な情報の確認を行うことができる。ZRまたはZLボタンでタブを切り替えて見たい情報をチェック。

(*Personal Digital Assistant。「個人情報端末」を意味する)

新着情報にはタブやアイコン上にの通知マーク(上画像の赤丸部分)が点灯するので、目に付いたらすぐに確認しておこう。

 

通知タブ

「通知」タブは、主人公であるステラの簡易プロフィールとゼファー号職員に向けての広報が送られるダッシュボードで構成されている。

-ボタンで開いた際に一番最初に飛び込んでくる事からPDAメニューにおけるホーム画面のような役割を果たしており、操作が必要となる項目は無いがお知らせの記載内容が本編進行に応じて変わることがある。

 

事件タブ

「事件」タブではステラが取り扱う事件を1件につきジャーナルという単位で確認することができる。ジャーナルは捜査を進める毎に所感が記されたメモが追加される仕組みで、特にテキストがオレンジ色で強調された箇所は後述の「通信」タブ同様推理上のポイントとなる部分を示す。しっかりと確認して役に立てていこう。

 

証拠タブ

「証拠」タブではゼファー号での調査中に獲得した情報の内、証拠や証言となるものに関する情報を確認することができる。各証拠はXボタンを押す毎に物的証拠類、人物、地域名、全体と分類を切り替える事が可能。調査が進むことで新たに備考欄が追加されたり、欄内に更なる情報が付け加えられることもある。

特に作中では多くの人物や施設名が登場することから、これらの情報を確認する上で何度もお世話になるメニューとなるはずだ。

 

通信タブ

「通信」タブでは作中でステラが出会った人物とのやり取りがアーカイブとして丸ごと記録される。本編内で登場した全会話が対象となっておりゲームが進むほど総テキスト量も膨れ上がっていくが、捜査中に読み返してみる事で重要な手がかりに気が付くことができるかも?

対話ログとは別に、タイミングによってメールアイコンが添えられた個人向けのメッセージを受けることがある。これは一方通行なもので返信することはできないことは併せて留めておこう。

 

推理の回答と提出

ゲームを進める内に登場する各事件では、ステラに向けての調査依頼が入ると同時にその事件に関する設問への回答が伴う。「事件」タブの右側には、これらの設問とその根拠となる対象の選択候補がリストアップされる。任意の対象を解答内容に指定して選んだ後、「提出」を押せば送り主へと送信が完了。これを以て該当の事件については調査終了となり、回答次第では事件のその後の顛末が展開する場合もある。

回答するタイミングは事件のジャーナルが出現した時点から可能となっているが、各設問に答えを出せるのはたったの一度だけ。そのため、推理が不十分な内に提出する事は余り望ましいとは言えない。関係者全員への徹底的な聞き込み、現場検証を通じての入念な調査を行った上で解答に臨むのが良いだろう。

 

マップ

「マップ」タブではゼファー号全体の地図と現在エリアとステラの現在地を知る事ができる。また本メニューは、移動中にLスティック押し込み操作をすることで直接起動することが可能。携帯モードでプレイ中の場合はスワイプ操作で地図を左右にスクロールしたり、施設アイコンを直接タッチで指定する事が可能。(※作中タッチスクリーン操作に対応しているのはこのメニューのみとなっている)

 

マップ画面表示中、いずれかの施設アイコンをLスティック操作で指定した際に「高速移動」と表示されるが、ここでXボタンを押すことで高速移動機能を利用することができる。この機能は指定した区画から最寄りのステーションへショートカット移動する機能となっており、指定した区画に直接移動できるわけではないという点に注意。

また、指定した区画と同じ階層にステーションがなかった場合は、マップ上の直線距離で最も近いステーションに高速移動する。移動先が一つ上の階層であるような事もあるので、実行後の位置関係に迷わないように気を付けたい。

 

プレイ後の感想

人類の未来が託された巨大な宇宙航行船ゼファー号を舞台に、多様な事件が展開するSF推理ミステリーアドベンチャー「Between Horizons」。ドイツのDigiTales Interactiveが手掛けた本作は、同スタジオが手掛けた「Lacuna」のゲームデザインをベースに更なる進化を遂げ、新たなステージへと挑む意欲作だ。

コントローラーでのゲームプレイにおいては前作と比べて操作周りにおいて一定の簡易化が見られ、調査対象の指定切り替えやテンキー機能の呼び出し、といったひと手間が必要となる煩わしい操作はなくなった。Nintendo Switch版では一部のタッチスクリーン操作にも対応しており、コントローラーとの併用も可能となっている。

 

目を見張るのが「Lacuna」から更にグレードアップしたゲームビジュアルで、2.5D形式による描写と演出により、空間の奥行きや立体感を魅力的に表現。前作同様ベースはピクセルアートでありながらも描き込みがより緻密になり洗練化されている事が窺える。本作の舞台となるゼファー号は多数の居住区画を構える程の規模を持ち、実際にプレイヤーの手で船内を歩き回ってみることで如何に巨大な船体であるかを味わうこととなるはず。

各エリアを歩き回って集めた証拠や証言を頼りに推理を進め、各事件にまつわる設問に対する回答を提出するという一連のシステムは今作にも受け継がれており、一定間隔で自動的に行われるオートセーブ、一度だけ回答が可能な選択肢や各事件に関する調査報告といったゲームシステムも健在。

これにより、プレイヤーは”選択のやり直しが効かない”緊迫感を伴ったゲームプレイと推理に臨む楽しさをしっかりと味わうことができる。ゲーム内の機能のみに頼り切らず、繋がりが分かりにくい箇所は各自でメモを取っていくとより頭の中でも整理し易くなるだろう。

 

総じて高い水準のクオリティを持った作品ではあるが、プレイ中に幾らか気になった点も存在する。目立つところではファストトラベルにあたる高速移動機能が少々使い辛い仕様である点や、連続起動時間が長くなることでオートデモ中のキャラクターやカメラワークの挙動に歪みが生じて正常に進行しなくなる、エラーによる強制終了が突然発生するなどといった動作の不安定さなどが挙げられる。

また、テキスト量の多い作品におけるローカライズの弊害か、所々で登場人物の口調が安定しない点も若干気になるところではあるが、これについてはインディーゲーム界隈でもよく見かける現象なのでご愛嬌といったところだろう。これらのマイナス点を差し引いても、本スタジオが手掛ける推理アドベンチャーゲームの技法とSF世界観、そしてそこに付随する社会派ドラマの取り合わせは見事という他ない。

 

作中においてステラはゼファー号の保安主任という立場上、船の安全や1,000人以上にも渡る乗員、居住者たちを新天地へ導いていくといった重責を背負う立場にある。そのため、船の安全を脅かすような事態に対しては厳しい決断を迫られるという局面に出会うことも。ゼファー号の未来は船の導き手であるステラ、引いてはプレイヤーの選択に委ねられている。

推理型のアドベンチャーゲームを好む方や「Lacuna」のゲームシステムを楽しめたという方においては、本作は間違いなくマストな一作となるはず。DigiTales Interactive渾身の一作「Between Horizons」を是非お試しあれ。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) 8.0

 

良い点

  • 人物プロフィールや証拠品からプレイヤー自身が推理に挑むゲームシステム
  • 作中世界観を壮大に彩るゼファー号船内の美麗なピクセルアート
  • 膨大なテキストに関わらず高水準なローカライズ(※随所で口調にブレが見られる点はやや気になるところ)

 

惜しい点

  • マップメニューの高速移動機能の仕様が中途半端
  • 自動保存が正しく同期しない事があり、再開後は前回終了時の少し手前から始まるというケースが見られる
  • (Nintendo Switch版)稼働時間が長くなるとデモシーンでカメラワークやキャラクターに想定外の挙動が発生して進行不可になることがある(※ゲーム再起動で復旧可能)

 

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