リテイク版【ウルトラセブン|第7話|宇宙囚人303】〜ウルトラホーク誕生と円谷英二の怒りとは?〜

YouTubeでしか語っていない部分があります

 

ねえねえ、ウルトラおやじさん。セブン55周年記念で4K特別上映の映画では、まさかの「宇宙囚人303」が選ばれたのですが、なぜだと思いますか?

 

正直、わかりませんな。ウルトラセブンの変身時間がシリーズで最も短い…たった7秒間としても有名な作品なので。

 

そうですね。セブンが7秒間しか登場せず…宇宙人との戦闘シーンもない…謎の外国人(関係ない?)…この作品がなぜ選ばれたのか…おそらくは、ウルトラホークの強行ドッキング作戦シーンが人気あるからでしょうね!

 

ということは、今回はウルトラホークと第7話の解説ですな?

 

その通りです!ウルトラシリーズでも人気の高い超兵器じつはウルトラホークですが…じつは制作スタッフが赤っ恥に感じていた、驚きのエピソードがあるので紹介します!

 

あらすじ

街中でガソリンを狙った殺人事件が続発。

宇宙ステーションV3は、キュラソ星から●人鬼が、地球に逃亡したと告げる電波を受信する。

宇宙人はアンヌを人質にホーク1号のβ号を奪い逃走をはかる。

ダンはアンヌ救出のために、強行ドッキング作戦を提案。夜空を舞台に、火花を散らす空中カーチェイスがはじまる!

その39 さすがの円谷英二もキレた●●!

第7話には謎が多いのです。

まず、このダンのセリフの後にキュラソ星人は燃えてジ・エンドとなるわけですが、ダンがセブンに変身した時間がたった7秒間とシリーズ最短記録を打ち出してしまいました。

 

セブンって変身時間とかテレビ局からなんか言われなかったのかな?

 

メイン監督の満田氏によれば、とくに時間設定はなかったようです。逆に初代マンではストップウオッチで本当に3分か時間をはかって投書する子どもまでいたそうです。

 

だから3分間って設定はセブンはやめたの?

 

わかりません。でも、こちらの動画で詳しく解説していますが本当はセブンとキュラソ星人と格闘するシーンがあったそうなのです。という事で、最近恒例となっていますが、脚本にあった本当のシナリオを動画の最後で再現してみたいと思います。

ホーク1号のドッキングからですかな?

 

ええ〜…や、やってみますね。お楽しみに。ところがファンの間では、ホーク1号の特撮が人気のあった回ですが、円谷英二はご立腹だったそうです。

 

ということは、ファンの間では神回とされる、ホーク1号の追跡シーンはあまりお気にめさなかったということですかな?

 

円谷英二は完成映像を観る前に、ライバルであるサンダーバードのスタジオを訪れていたから、尚更気がたっていたのかもしれません…

 

その40 ウルトラとサンダーバードの因縁

昭和ウルトラシリーズの数ある超兵器メカでも、「ウルトラセブン」のウルトラホークの飛行シーンは、いかにマンネリ化しないか…特撮班たちの怨念の最高傑作なのです。

 

怨念?執念の誤りですかな?

 

いえいえ、ウルトラホークは、「ウルトラQ」の放送で起こったとある事件での…円谷英二のある怨念が絡んでいるのです。

 

ひいいいいい

 

時は1966年4月10日、ウルトラ怪獣でお馴染みカネゴンが初登場した…「カネゴンの繭」…怪獣ブームの追い風もあって、視聴率が30〜40%を誇る文字通りのお化け番組となった「ウルトラQ」が、なんと20%代まで落ちてしまいました…

 

え、長く愛されているカネゴンですよ?どうして視聴率が下がったの?

「カネゴンの繭」は、ウルトラQの中でも、人気の高い名作回ですね。ところが、そのチャンネルの裏では、NHKではサンダーバードの放送がはじまったのでした。

 

あのサンダーバードが裏番組だったのですか?

 

いえ正確には、サンダバードは18時からなので、放送時間は重なっていないのですが…ウルトラQの放送前ですね。突然秘密のゲートがスライドして、基地からメカが発進していく、サンダーバードの世界観が、子どもたち与えた衝撃は大きかったでしょうね…

うーん、同じ特撮SFでかっこいいメカの演出が光るサンダバードに対して、「ウルトラQ」は、物足りないかもしれませんな…

 

しかも「カネゴンの繭」の物語は、SFというよりも、お金好きの少年が怪獣になっちゃうという、ほんわかファンタジーでした。カネゴンはなぜか最後にロケットになって飛んでいくわけですが…怒られるかもしれないですが、サンダーバードに比べると…特撮SFとしては弱いとかないとか…

 

ま、間が悪かったという事ですな。

 

この視聴率の結果と、サンダーバードの世界観に円谷英二は、かなり衝撃を受けたようです。円谷英二は、1967年の夏にサンダーバードを撮影した、イギリスのスタジオにまで、直接視察に訪れたことを日記に書き残しています。

 

1ドル360円時代…なかなか、海外には行けない時代…円谷英二にとって、サンダーバードの登場はよっぽどショックだったのですな!

 

イギリスだけでなく、アメリカのディズニーやUSJなど、当時の最先端をいく特撮現場の視察を行ったとこのことでした…。もともと、ウルトラマンシリーズの基礎となった「ウルトラQ」自体、アメリカの「トワイライトゾーン」のような、海外のSF特撮作品を目指して作られた作品なんです。しかし、テレビ局の意向によって、怪獣メインの特撮番組となった経緯があったりします。

 

なるほど、ウルトラシリーズは、いまではアメリカ、マレーシア、中国と海外に人気が広がっていますが、もとは海外輸入の映像作品にかなり影響を受けていたのですな。サンダーバード55も去年くらいに上映されて、懐かしかったですな。

 

さて、そんなサンダーバードのスタジオを見学した円谷英二なんですが、意外なことにスタジオの小さくて、想像していたほど設備もないことに驚き、「うちとやっていることは変わらないじゃないか」と言っていたそうです。

視察に行く前から、円谷英二はサンダーバードを超える「ウルトラマン」の後続番組の企画をスタッフに依頼…それで、できたのが「ウルトラ警備隊」です…

 

は?「ウルトラセブン」ではないのですか?

 

その41 「ウルトラ警備隊」誕生の秘密

いえいえ、元々「ウルトラセブン」は、ヒーローものではなく、宇宙ステーションに基地がある、隊員たちの物語というメカメインの物語でした。

 

驚きですな。宇宙ステーションV3は、その名残ですかな?

本当はV3はセブンの企画にも「前衛基地、ウルトラ警備隊の宇宙での本部」という設定としていて、V3を中心に月や宇宙を舞台にウルトラ警備隊の物語を書こうとしたのに、事件の切欠となるのみで、地球防衛軍基地の管轄の…なんなら左遷先のような扱いを受けてしまうのでした。

 

怪電波解読の権威のミズノ隊員の影の薄さが物語っていますな…

https://twitter.com/Blue_be_kon/status/1389558718212104192?s=20&t=ioySmw0vdMp1t36IwW2lyA

おやじさん言い過ぎ!これには、すでに東映が「キャプテンウルトラ」という…宇宙を舞台にした同じ様な語を放送していたのと、「ウルトラマン」が大成功したことから、「ウルトラセブン」はヒーロー路線に軌道修正した事や、「サンダーバード事件」が原因となったのでしょう。その代わり、円谷は「マイティジャック」を制作するわけですが…

 

「マイティジャック」の運命からすれば、セブンの路線変更は正解だったかもしれませんな。

 

それはわかりませんが。第7話のようにセブンの登場時間が短く、戦いもあっけなく終わる理由は、ウルトラ警備隊を主役とした、ウルトラホークやマグマライザーなど超兵器をメインとした路線の名残かもしれませんね。

 

当時を振り返った制作スタッフはこう言います…

 

その42 ウルトホーク恥ずかし過ぎる…

と怒られそうな話ですが…山がスライドしたり、ロケットが発進したり…とサンダバードをあまりにも意識したつくりになってしまったと池谷仙克さんなど、当時のスタッフは漏らします。

どういう事です!?誰もがわくわくしたあのウルトラホークの発進シーンを恥ずかしいとは!

 

とはいえ、メカが空中合体・分離する発想や滝をわって発進するなど、オリジナルを超えたスケールの作品になりました。それはスタジオの大きさは倍で、ウルトラホークのレプリカの大きさも1m以上あったからです。

 

あの「フォースゲートオープン」の発進がいいんだよ!

 

発進シーンもスタッフには不満があったそうです。ホーク3号が滝を割って発進するシーンは、滝にあたって機体どうしても下がってしまうのでした。理由は滝をきれいに映像にとるため、砂を混ぜていたのでなおさら、滝の水圧にまけて高度が下がってしまいがちだったとか…

 

ホーク3号って帰りは、どうやって格納されていたのでしょうな?

 

ネット情報ですが「4th gate open」とは4つのゲートがあるわけではなく、最終ゲートが4番目という裏設定があるとか?

 

なんだかんだ、スタッフは本気で作り込んでいたことがわかりますな。

 

セブンのメカと発進の格好良さは、初代マンの反省が大きくあるそうです。初代マン第1話でハヤタがウルトラマンと衝突する時に乗っていた、ビートルは円谷英二の一存でデザインが決まり、スタッフから不満出たり…予算削減のため、他の映画作品からメカの使い回しがあったりと…いまひとつ満足の結果となりました。

 

小型ビートルけっこう子どもの頃好きでしたけどな。

 

という反省から、セブンは天才芸術家成田亨の手によって、すべてトータルデザインされたので、飛行機だけでなく車、地底戦車、潜水艇まで…デザインの完成度は高く、長くファンに愛されていますね。

 

隊員服からウルトラセブンまで、セブンのクールな世界観は成田亨につくられたということですな!天才過ぎるすげえ…

 

セブンの企画書には「2001年宇宙の旅」や宇宙ブームについて書いてあるので、それにも影響を受けての事かもしれませんが…ウルトラホークが銀色ベースの色をしているのは、アメリカのロケットが初期は銀色をしていたからのです。しかし、いまのロケットのように、白色にちょうど1960年代後半からカラーチェンジしていたので、もしかしたらウルトラホークも白色になっていたかもしれませんね。

白いヤツといえば…ガンダムとワイトベースですな(キラリ)

 

ところで不思議なのは、ここまで作り込まれているウルトラホークなのですが…どうやって操縦しているのか謎が多いんですよね。

 

確かになぜか操縦桿もみあたりませんな。

 

その43 既にオーパーツ化?ウルトラホークの撮影…

スイッチひとつで発進したり、着陸したりできるので、勝手にオール自動操縦なのかと思ったりしていますが…この操縦席のセットは見えない部分は、ペットボトルのキャップがボタンになっていたりと、出演者から暴露されていますね。

 

経費削減のための涙ぐましい努力があったのですな…

 

機体もいわずもがなピアノ線で吊られているので、見えてしまったら撮り直しの繰り返しだったようですね。

 

きりもみ飛行したり、勢いよく宙返りしたりと、敵の宇宙船とのドックファイトシーンは、本当に飛んでいるように映ってみえますな。

こうした操演と呼ばれる、巨大なマリオネットの技術もCGや合成が、投稿主の母のようなポンコツでも簡単にできるようになったことや、お金をかけられない映像づくりを求められるようになった、現代では、失われつつありそうです。

 

昔の特撮を再現してサンダーバード55に対する評価は、なんだか尻すぼみに終わってしまいましたな…

 

テレビが4Kから8Kへと、リアル高画質に進化したことで、今まで見えなかった部分まで見えてしまうようになりました。これは特撮界に大打撃だったのでは?

 

詳しくは「シン・ウルトラセブン」の予想のなかで日本特撮の危機について語りましたな。

 

話は戻るのですが、第7話はモデルにしていたサンダーバードを超える演出となったのでは?

 

では、最後に本編に比べたら月とスッポンでございますが…本当はこうなるはずだった…セブン第7話の脚本を再現してみます。

 

その44 幻となったキュラソ星人とセブンの戦い

※詳しくはYouTubeにて!

 

次回は狙われた街ですが…これは星の数ほど語り尽くされているので、最近流行りのスタイルで紹介したいと思いますので