#68 もう、ぼくは……

もう、ぼくは……

 ぼくの身体の中で何が起きているんだろう?

 痛いよ、つらいよ、気持ち悪いよ……
 何も食べられないよ……

 お姉ちゃんはぼくとの約束を破ったと言ってるけど、ぼくがお姉ちゃんとの約束を守りたくても守れなかった。約束を破ったのはぼくの方だ。

 何も食べられなかったから……

 もう、ぼくはダメだよ……

 お姉ちゃんが、「食べなきゃ死んじゃうよ!」って言うけれど、「死ぬ」って何?
 楽になるんだったら、ぼく死にたいよ。
 ぼくには何のことだかさっぱりわからない。
 ただ食べたくないんだもん。
 食べられないんだもん。

 いつもみたいになりたいよ……

 お父たんもお母たんもお姉ちゃんも、みんなぼくのことをかわいそうな目で見るんだ。
 そしてピリピリしてるんだ。

 いつもみたいにニコニコしてほしいよ……

 ああ、何だろう……
 明日、大きなことが起こる気がする。

 ああ、何だこれ……
 頭がふらふらだ。
 お家がおかしいよ……
 ぐちゃぐちゃになっている……
 何だこれ……

 ねえ、お姉ちゃんってば……

 第一章 終

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