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【リードとは?】判断方法や獲得方法、課題を解説

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今日は、この「リード」について、少し深く掘り下げて解説します。リードとは、「自社製品に興味を持つ見込み客」のことです。

フィールドマーケティングの主要な仕事の一つが「リードの獲得」です。

この目的のために、フィールドマーケター(フィールドマーケティングを企画・実施する人)は「イベント、展示会、セミナー」などの活動を日夜行っています。

フィールドマーケティングとは何?と疑問を持った人は、「【20年の経験者が語る】外資系企業のフィールドマーケティング」で詳しく解説していますので、ご参照ください。

獲得したリードは、営業チームに引き渡されることになるため、営業チームとの連携が欠かせません。しかし私の経験では、この部分は課題が多いです。

本記事では、以下のトピックをカバーして、フィールドマーケティングによる「リード獲得」について考察します。

  • リードとは何か
  • リードの判断基準
  • リードの獲得方法
  • リード獲得後はどうするか
  • リード獲得における課題
  • 課題を克服するには

リードとは何か

さきほど、リードとは「自社製品に興味を持つ見込み客」と言いました。

では、あるコンタクト情報が「自社製品に興味がある」と判断する人は誰でしょうか?

それが「フィールドマーケター」です。

フィールドマーケターとは、フィールドマーケティングの各種プログラムを企画して実施する人のことです。

イベントや展示会を行うと、会場に来た人、オンラインセミナーに登録・参加した人など、多くのコンタクト情報(=名刺情報)を獲得します。

しかし、これらの人たちのすべてが「自社製品に興味がある」わけではありません。この名刺情報から、いかに多くのリードを作り出すかかがフィールドマーケティングの仕事になります。

フィールドマーケターは、リードのことを「Marketing Qualified Lead」(MQL)と呼びます。

すべての名刺情報から10%のリードが出れば上出来

例えば、展示会に来場して、展示ブースに立ち寄り、営業やシステムエンジニアと会話したとしましょう。立ち寄った人は「情報収集」程度にしか考えず、その人は説明を受けても「購入検討」どころか「興味がまったくわかない」かもしれません。

そのような人は「リード」にはなりません。

実際に、展示会やセミナーを開催して名刺情報を集めたとしても、その中から製品に興味を持つ人が10%~15%くらい出れば上出来です。

フィールドマーケティングの主要な成果物が「リード」

フィールドマーケティングの主要なミッションが「リード獲得」です。

フィールドマーケターの人事査定で重要な指標の一つが「リード獲得数」です。この数字が低いと、給料に悪影響が出ますし、営業チームからも厳しく言われます。

しかし後述するように、質の高いリードの獲得が最近難しくなっています。その課題と克服法については後ほど解説します。

リードの判断基準

さきほど、「コンタクト情報をリードと判断するのはフィールドマーケターである」と言いました。

では、フィールドマーケターはどのようにしてその判断しているのでしょうか。以下、わたしの経験をご覧いただきましょう。

「リード」の判断材料には以下のような項目があります。

  • アンケート
  • 会話シート
  • リードスコアリング

アンケート

セミナーや展示会で、予め用意したアンケートを参加者に配り、その場で回答してもらいます。フィールドマーケターとインサイドセールスが回答内容を見て、「製品に興味がある」と判断したらリードになります。

その判断は、事前に以下の選択肢をアンケートで用意しておき、チェックが入った場合に行います。

  • 近い将来に製品の導入検討あり
  • 製品デモを見たい
  • 見積が欲しい
  • 営業と話したい
  • 業務上何らかの課題がある(課題は自社製品と紐づいていることが必要)

会話シート

これは主に対面での展示会のときに使います。

展示ブースに来た来場者が、ブースで社員と話をして製品に興味を持ち、「展示会後に改めて連絡が欲しい」となれば、その人は「リード」になります。

来場者がブースで社員と話したあと、その社員が「会話シート」と呼ばれる用紙にメモを書きます。その場での会話内容を記載しておき、その後のフォローアップの参考にします。

会話シートでは、下記のような項目が記載されます。

  • 日付
  • 応対した社員
  • 名刺貼付(会話後に名刺をもらい、シートにホチキスで留めます)
  • エンドユーザーか販売パートナーかその他か
  • 会話内容(製品の興味度合いや購入意思、その後のフォローアップ希望がメイン)

これもフィールドマーケターとインサイドセールスが内容を確認して、「これをリードにしよう」と判断すればリードになります。

製品に興味がある人がすべてリードになるとは限りません。例えば個人事業主や学生、零細企業などは、高額なIT製品を導入する見込みはないため、製品興味があったとしてもリードにはなりせん。

以上はわたしの経験によるもので、会社によっては判断基準が異なることをお断りしておきます。

リードスコアリング

リードスコアリングとは、起業が持つデータベースが何らかの行動をしたときに「スコア」と呼ばれる点数を付与して、累積で一定の点数に達したら「リード」にするというシステムです。

この点数付与は、「マーケティングオートメーションツール」で行われます。

マーケティングオートメーションツールとは?

マーケティングオートメーションツールとは、イベント等で獲得した名刺情報をデータベース化し、それに対して育成のための各種マーケティング活動を行うためのツールです。

例えば、メルマガをスケジュール化して自動配信したり、自社のオンラインセミナーをメールで告知します。ツールの中には、セールスオートメーションツールとシステム的に連携するものもあります。

メルマガを配信したとします。配信してメールを開封したらXX点、クリックしたらXX点、資料をダウンロードしたらXX点のように決めておき、一定の点数に達したら「リード」として判定されます。

判定されたリードは、マーケティングオートメーションツールによりフィールドマーケティングや営業に自動的にメールが配信されます。その後営業がフォローアップします。

ほとんどの外資系IT企業では「マーケティングオートメーションツール」が導入されています。有名なツールはEloqua、HubSpot、Marketoなどがあります。

リードの獲得方法

フィールドマーケターは、いかに良質なリードを効率よく獲得できるかについていつも考えています。リードを獲得する方法はいくつかありますので、以下主要な方法について見てみましょう。

  • 自社イベント
  • 展示会
  • メディア主催のセミナー
  • パートナー主催のイベント
  • テクノロジーパートナー主催のイベント
  • ウェブページへの問い合わせ

自社イベント

自社で独自に開催する大規模イベントやオンラインセミナーを指します。

イベント参加者には事前登録してもらいます。イベント当日は登録者に来場(対面)もしくはオンライン参加してもらい、プレゼンやデモなどのコンテンツを見てもらいます。その際にアンケートなどを行い、リード判定します。

自社イベントに、販売パートナーやテクノロジーパートナー(後述)をスポンサーとして招待する場合もあります。パートナーの製品が魅力的であれば、集客に期待できます。

展示会

コロナ禍では対面の展示会は減りましたが、コロナ禍以前ではリード獲得の主要な手段の一つでした。ブース展示だけでなくセミナーを組み合わせることもあります。

リードの質は展示会によります。自社の製品に適した展示会に参加するとリードの質は高まるでしょう。

メディア主催のセミナーやオンライン広告

IT関連のメディアが主催するセミナーやオンラインセミナーは盛んにおこなわれています。そこで自社の製品を紹介して、そこからリードを獲得します。

リードの質は、自社開催イベントに比べると落ちますが、新しい名刺情報を取得できるメリットがあります。予算は各社によって違いますので、ターゲット顧客やスポンサープランをよく検討して、参加すべきかを判断します。

メディアによるオンライン広告でも名刺情報は獲得できます。しかしリードになることはほとんどありません。この活動は、リード獲得というより「新規名刺情報獲得」や「アウェアネス向上」が目的になります。

パートナー主催のイベント

「パートナー」とは、販売パートナーやテクノロジーパートナーを指します。

テクノロジーパートナーとは、例えば自社の製品とパートナーの製品が連携して使われる場合、その相手先のパートナーのことを「テクノロジーパートナー」と呼びます。

テクノロジーパートナーは、独自に自社のイベントを開催するケースがあります。そのイベントにスポンサーとして参加して、リード獲得を目指します。

このようなイベントに参加すれば、新しい名刺情報を獲得できます。リードの質は、一般に自社イベントに比べるとやや落ちます。

メール

メールを複数回送信して、製品の興味を少しずつ上げていくプログラムにより、リードが生成されます。これは前述の「リードスコアリング」により可能です。

自社が持つ名刺情報のデータベースに対して、製品の興味を上げていく活動を「ナーチャリング」と呼びます。ナーチャリングとは、育成を意味します。

このようなメールプログラムでは、メールをクリックした先にある「ランディングページ」で製品の詳細を説明します。例えば、ランディングページで動画やダウンロード資料を用意して、製品の良さをアピールします。

リードスコアリングから生成されるリードは、イベントから獲得したリードよりも質は劣ります。メールの開封やクリック、資料ダウンロードから生成されるリードは、製品への興味がまだ薄いことがほとんどです。

ウェブページへの問い合わせ

企業のウェブページにある「お問い合わせ」から来るリードです。

実はこれが一番質の高いリードです。なぜなら、見込み客のほうから企業に問い合わせをするためです。このリードは直ちに営業に渡す必要があります。内容は、例えば以下のようなものになります。

  • XX製品について導入検討しているので折り返し連絡が欲しい
  • お客様がXX製品について興味を示しているので連絡が欲しい
  • XX製品についての詳細なスペックを教えてほしい

見込み客は、具体的な製品について導入検討をすでにしており、製品を指名するケースがほとんどです。また見込み客だけでなく、システムインテグレータのように「自社が買うのではなく、その先の顧客に売る」企業から連絡がくるときもあります。

フィールドマーケターにとっては、このウェブページ経由での問い合わせが増えることが一番良いことです。ただ、直接的にウェブページへの問い合わせを増やす方法はありません。普段の活動で間接的に増やしていくことが求められます。

リード獲得後はインサイドセールスと営業でフォローアップ

リードを獲得したあとは、リードはどのように処理されるのかを、外資系IT企業を例に以下見てみましょう。

  1. インサイドセールスが電話をかける
  2. 電話した結果、営業との面談がOKになったらスケジュールを調整して営業に渡す
  3. 営業がフォローアップする

インサイドセールスによる電話

インサイドセールスは、リードとなった人に対して、以下のような内容で電話をかけます。

  • イベントへの参加のお礼を述べる
  • 製品の興味度合いを聞く
  • 営業との面談の許可をもらう

営業との面談許可をもらったら、スケジュールを調整して、面談アポを取ります。その後は営業がフォローします。

営業によるフォローアップ

インサイドセールスからリードを受け取った営業は、見込み客と面談して製品興味度合いや導入意向などを確かめます。

面談後、営業が「この見込み客は脈あり」と判断すれば、継続フォローとなります。この時点でリードは「Sales Accepted Lead」(SAL)になります。

営業が「SAL」を継続フォローした結果、数か月後に見込み客の受注確度が上がり、購入予定時期や金額が明確になったしましょう。その場合は、「Sales Qualified Lead」(SQL)となります。

最初はMQL(Marketing Qualified Lead=リード)から始まり、上記例ではSAL→SQLとステータスが変化します。リードのステータスはセールスオートメーションツールですべて管理されます。

営業が見込み客と話した結果、「見込みなし」と判断すれば、そのリードは「Disqualified Lead」となり、以後ナーチャリングのプロセスに戻ることになります。

イベントのオンライン化に伴うリード獲得課題

わたしが実際にリード獲得活動をしてきて痛感したことは、「オンラインイベントでは高い質のリード獲得が難しい」という点です。これはフィールドマーケターにとっては死活問題になります。

コロナ禍でイベントやセミナーがオンラインに移行しました。その際に、オンラインイベントから獲得したリードの質が低下していることに気が付きました。

直接見込み客と対面で話をできるかどうか」はリードの質に影響を与えます。直接話ができれば、見込み客の興味度合いがすぐにわかります。見込み客も、システムエンジニアや営業と直接話をすることで興味の度合いも高まります。

オンラインイベントでは、直接ウェブ会議などの仕組みで直接見込み客と話をすることが激減しました。実際、チャットなどはほとんどしてくれません。それが「オンラインイベントではあまり質の高くない」傾向となる原因です。

オンラインイベントは、対面のイベントやセミナーと比べると登録や参加のハードルが低いです。気軽に参加できるぶん、「ほとんど製品に興味がない」参加者が増えました。これも「リード獲得の難しさ」に関係しています。

課題を克服するには

以上の課題に対しては、わたしは三つの対策があると考えています。

営業との連携

イベントにせよ、展示会にせよ、営業の意向や考えを考慮しないで実施すると、まず質の高いリードを獲得できません。

なぜなら、例えばイベントの企画段階で「狙いの顧客や訴求コンテンツ、集客、フォローアップ」などを営業とすり合わせておくことで、実行がスムーズに行くためです。

これを行わずにフィールドマーケターが勝手にイベントを実施すると、営業が集客してくれなかったり、フォローアップしないことがあります。私はあるイベントで、営業との事前すり合わせを行わずに実施して痛い目に合いました。

「カスタマージャーニー」の考え方を取り入れる

フィールドマーケティングの一連の活動に、「カスタマージャーニー」の概念を取り入れることも有効です。

カスタマージャーニーとは、見込み客を人物化して、その人が製品を認知、検討、購入するまでのプロセスを時系列で把握する概念です。

フィールドマーケティングに求められることは、単にイベントだけやるのではなく、「カスタマージャーニー」を考慮したうえで、適材適所にメールやオンライン広告なども組み合わせて、包括的な活動を行うことです。

これがひいては質の良いリード獲得につながります。

イベントだけやっていても、カスタマージャーニーの一面だけを捉えるだけなので、今の時代ではリードは発生しにくく、ナーチャリングもできません。

オンラインイベントを企画するときは、ターゲットとなる人物像に対して「カスタマージャーニー」の各フェーズで一連の活動を設計したうえで行うことです。

PDCAサイクルを回すことが必要

カスタマージャーニーの考え方を取り入れるのに加えて、私がフィールドマーケティングでやっていたことは、以下のサイクルです。

  • イベントや展示会を実施して、リードの数と質を検証する
  • 数や質が落ちているときは改善点を考える
  • 改善点を次回の施策で試して効果を見る

失敗も数多くしましたので、すべてうまく行ったわけではありませんが、このようなPDCA(Plan Do Check Action)サイクルは必要です。

まとめ

コロナ禍以降はオンラインイベントや展示会が主体になりました。フィールドマーケティングによるリード獲得戦略は、イベントのオンライン化により曲がり角に来ていると言えます。

このオンライン化により、イベント単体でリードを獲得することは難しくなっています。この課題を解決するものが「カスタマージャーニー」の考え方であり、PCDAサイクルを回していくことです。営業との連携強化も欠かせません。

ではまた!

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