2021/12/19

第1話 最初の出会い!中年男と19歳女子大生


第5章 逡巡・決断
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<エッチなデートの約束!>

水太
その後、詳しい場所と時間を決め、ここまで具体化してきたことで、(もしかしたら本当に会えるかもしれない)と、期待は高まったのだが、ここで私は少し迷っていた。

ここまでのやりとりで、性的な話は皆無であり、果たして彼女はそれを意識しているのかどうか、しかしその媒体となっているサイトは出会い系サイトであり、且つその中の『大人の出会い』であり、当然彼女はそれを認識しているはずだが、それ系の話が1切出てこないのは、もしかしてよく分かっていないということはないだろうか。

私はこの今の自分のシチュエーションからも、セックス抜きのプラトニックな付き合いはあり得ず、それは蛇の生殺しに近いものであり、そんな付き合いなら最初から無いほうがましとの思いから、思い切って勝負に出ることにした。

もしそれで軽蔑され、その時点でジ・エンドになってもそれは仕方がない、それよりもそういったことを曖昧にしたままで会って、後でもめたらそれこそ無駄な時間と労力、そしていくばくかの金も無駄になり、そしてそれよりも心理的にダメージを受けることになり、私としてそれだけは避けたかった。

そんな思いを胸に私は携帯に向かった。

「ところで美奈ちゃん、俺、美奈ちゃんと会うのは嬉しいけど、それはどんな付き合いなのかは分かってるかな?」
自分からストレートに告げることは避け、相手がどんな反応を示すかを探ることにした。

すると、間髪を置かずに返信があり、そのあまりの早さに悪い結果を予想したのだが、その返事は拍子抜けするような内容であった。

「分かってますよ、エッチな関係でしょ? そのつもりですよ♪」
あまりにあっさりと肯定されたことで、私の方がやや引き気味になってしまった。

(もっと世間知らずのピュアな女の子と思っていたけど、案外遊び馴れしている、すれた子なんかな、まあこんな出会い系サイトでの出会いだし、それはそれでもいいか)
そう思うことにしたのだが、しかし男女の秘め事を、しかも会ったこともない未知の男性に、あっけらかんと告げる女性に1抹の不安を感じた。

「ずいぶんはっきり言うんだね、驚いたよ(笑)、しかし無理しなくてもいいよ。会って、もし気に入らなかったら、食事だけでもいいし、それも嫌だったらその場でさよならしてもいいからね」

自分でもよくここまで心にもないことを言えるものだと、胸の中で苦笑しながらの返信であった。
「大丈夫ですよ、こうやってケンさんとメールで話してるだけで、ケンさんはいい人だって分かるもん」

「そんなのメールだけでは分からんよ(笑)」

「ケン」とは私のサイト上のハンドルネームで、その後そんな他愛もないやりとりを何通か交したが、もうこれで第1段階の目的は達成したことと、出先でもあったので1旦お開きすることにした。

その日帰宅したのは1〇時で、風呂と晩飯を終えるともう11時を回っていた。

本当はダメ押しの意味でももう少し彼女とメールを交わしたかったが、あまりしつこいと嫌われるかもしれないとの思いからその日は我慢し、翌朝の水曜日におはようメールを送ることにした。

そしてその翌朝、カミさんの目を盗んで朝のメールを送ってから出社、帰宅してまたとりとめのないメールを交わしたりしている内に、デート前日の土曜日になった。

「いよいよ明日だね、そういやこれまで会う約束だけで、会って何をするかまだ決めてなかったね、美奈ちゃんどこか行きたいとこある?」
夜の1〇時をまわっていたが、彼女からはすぐに返信があった。

「こんばんは、すごく楽しみです。私、犬を飼っているんです。明日デパートで犬の首輪買いたくて」
犬の首輪とはあんまり色気がないなあと思いつつも、普通若い女の子なら、自分の身に着けるものとかを欲しがるものなのに、そういったものを要求してこない彼女にむしろ私は好感を抱いたのだった。

「ええ! 犬の首輪! 何か色気ないね(笑)」
「ごめんなさい、駄目ですか?」
「いや、そんなことないよ、デパートは駅前だしね。じゃあそうしよう、その後は軽くランチしようか」
本当はその後にホテルにと言いたかったのだが、いかに相手が承諾しているとはいえ、今の段階ではさすがにそれは表に出せなかった。

青水