棟方志功記念館に行きました。


前回のコラム、十和田市現代美術館に続き、ただいま青森県アートツアー中です。


棟方志功記念館には以前も訪れたことがあります。いい記念館なのですが、展示スペースが2部屋しかなく展示点数が少ないので、遠くからこのためだけに来るのはオススメしにくいです。どこかとセットで行くのがいいでしょう。


今回観に来たのは、来年2024年3月31日に閉館することに決まったからです。コロナによる長期的な来館者減少により財源の確保が厳しくなったこと、開館から46年経ち施設も老朽化、バリアフリーへの対応も難しいことから、閉館を決定。今後は青森県立美術館に移管し保管や展示を行なっていくそうです。なくなる前に覗きに来ました。




この記念館は建物の前の小さい庭が素晴らしい。



藤やツツジが咲く季節で、そこかしこに熊ん蜂がブンブン飛んでいてビビリました。





記念館が無くなるとこの庭も無くなってしまうのでしょうか。板画は運べても庭を運ぶのは大変です。そこは青森県の今後の取り組みに期待するとしまして中に入ってみましょう。



さて、展覧会の企画は「REMEMBER 〜雑華山房主人と鎌倉山〜」。棟方志功は売れて東京に出てから鎌倉市鎌倉山に別荘兼アトリエを構え創作に励んでいました。住んでいる場所を雑華山房(ざっけさんぼう)と呼び、その主人が自分という意味です。その頃の作品を展示しています。



「華厳」。二文字で画面を埋めるには、技術以前にエネルギー、熱量、胆力、が必要です。棟方志功は熱量のアーティストです。掛け軸からまさにだダイヤモンドのようなオーラがはみ出ています。


花矢の柵


これも熱量がすごくて何が描かれているかわからなです。掘りまくって、インク付けまくって、刷って、黒過ぎです。4人の女性、4頭の馬、八咫烏、兎がいます。アイヌの儀式を参考にしているといいます。女性たちは花矢、笛、鼓を手に踊っています。東北から南の方へメッセージを放つという想いを込めています。青森県庁正面玄関を飾るために制作したこの大作は幅7メートル。記憶に誤りがなければ、板木39枚を使っています。雑華山房の芝生の庭に板を並べ一気に制作したといいます。板画は大きな壁画にするには不利な手法な気がするのですが、全く関係ないようです。

 


二菩薩釈迦十大弟子


12点1組の作品です。普賢菩薩、文殊菩薩、釈迦の十大弟子で12点。全部撮影しましたがこの写真を選びました。選んだのは右側「舎利仏の柵」です。舎利仏はバラモン出身で智慧第一とされています。釈迦の信頼があつく、般若心経で「舎利子」と何度も説法で呼びかけられるあの人です。棟方志功のイメージでも一応、頭が良さそうな顔立ちをしていると思います。




実際に使用していた彫刻刀。あの猛然と板を削りまくる映像で、その手に握りしめられていたものでしょうか。



入り口にある胸像です。偉大な芸術家にふさわしく威厳のあるものにという趣旨なのでしょうが、こういうのタイプの方ではないでしょう。


好きなことは3つ。

  • 制作すること
  • 茶を嗜むこと
  • 家族と過ごすこと
絵にするとこうなります。



作品、人格ともに人間的な魅力に富んだ芸術家です。天才肌に見えて、実は、自己演出、盛っているところもある。

今回の旅ではその全貌はつかめませんでしたが、そこは心配ありません。今年2023年10月から東京国立近代美術館で「生誕120年記念 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」が開催されます。

続きはその時に。今回はここまで。



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