「アートコラム Conceptual Cafe」大晦日の恒例企画。2024年にアップできなかった展覧会をまとめて紹介(整理)するコーナーです。

 

早いもので5年目となりました。諦めた原稿はスイスイ書けるというこの矛盾。それでは早速始めましょう。


 

  とても近い遠さ NTTインターコミュニケーションセンター

ICCの展覧会は作品を理解するのが大変で、それをわかりやすく説明するのも大変なので、ま、年末企画でいいか、と避ける傾向がありまして、今年もそうなりました。


古澤龍


これは映像を立体と定義して、その再生は立体の切断面の移動とした時、切断面の角度、動かし方を変えることでシームレスに違う時間の画像を結合した映像を再生する試みです。どうです。何を言っているか不明でしょう。


米沢柊


アニメーションの表現に「オバケ」と呼ばれるものがあります。動きをシンプルに強調するために、キャラクターの一部のような図形をフレームに入れたりします。それをあえて抜き出して、絵や動画を制作してしています。オバケなので、なんかよくわからないものが浮遊しています。


たかくらかずき


ゲームっぽいインターフェースの作品です。キャラクターを動かして、画面上に浮遊している平仮名を17文字集めて川柳をつくり、バーチャルな神社に奉納するものです。これはブームが去った感のあるNFTアートの仕組みも組み込んでいます。


 

  彫刻の森美術館


彫刻の森美術館は「舟越桂」の企画展は執筆しましたが常設展示は触れませんでした。早歩きでひと通り巡ったのですが作品も変わっていましたので、近いうちにリベンジします。






ヘンリー・ムーアとか久しぶりでした。




ピカソ館もまた今度。

 


  箱根美術館

 

箱根美術館は庭園の神仙郷が良すぎて、美術館の方を端折りました。立派な火焔式土器、弥生式土器、埴輪がありました。





大型の土器、陶器のコレクションは珍しいです。日本中の大型の甕を集めています。少し地味なので、空いているのもわかります。一階の企画展示室では吉田博展が行われていました。





  西川勝人 静寂の響き DIC川村記念美術館



休館が発表されているDIC川村記念美術館。先日2024年12月26日に、今後の美術館運営の方針が発表されました。「ダウンサイジング&リロケーション」を進めるということで要点は


  • 千葉県佐倉市から東京に移転。佐倉市の施設の扱いは地元と今後協議。
  • 保有するコレクション数は1/4に縮小。3/4は売却を目指す。
  • 運営は単独ではなく公共性の高い団体との連携を前提。

そのまま終わることにならなくて良かったです。多くの方々の反対の署名、団体の声明など、これまでの活動が評価が形になって表現されたことが決定に影響を与えたそうです。連携する良い運営先が見つかることを祈ります。

さて、西川勝人です。表現の手法は多彩ながら、通底する思想が感じられます。白い彫刻作品、大形のガラス作品を用いたインスタレーション、色のついた板ガラスを重ねた合わせた色彩作品、白い花びらを集めたインスタレーション。
 繊細で微弱なものの中にある変化・差異を地道にストイックに組み上げ、周囲の環境の変化を取り込んでいる。地味すぎて正直すこし退屈ではあります。



  シアスター・ゲイツ:アフロ民藝 森美術館


結構難解な企画展でした。作品勝負という意味では潔かったです。




日本人の知らないような日本の歴史、文化も知っていて、よく考えて構成されていました。



しかしアメリカ国内での活動実績をわかりやすく見せた方が、とっつきやすかったと思います。



「アフロ民藝」というワードはいい響きですが、厳密な定義はなく、日本人でも共感する人は限られるでしょう。



タール・ペインティングは最初ゴミにしか見えませんでした。説明読んで、ずっと睨んでやっと入ってきました。こういう自分を洗脳するような見方はおかしいですが、アメリカの文化、歴史に根差した表現を理解するにはアリかと。



  大吉原展 東京藝術大学大学美術館



大吉原展は色々あって書くのはやめました。大人の事情とでも言いましょうか。




なかなか取り扱いは難しい。それでも「鬼滅の刃 遊郭篇」はしっかりアニメ化され、来年のNHK大河ドラマは「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」です。この場所、この時代の魅力をうまく表現する方法はあるのでしょうね。



  長安 夜の宴 唐王朝の衣食住展  日中友好会館美術館



日中友好会館美術館は飯田橋にあります。入場料は無料。美術館というよりギャラリーに近いです。



唐の時代、長安のピンポイントの企画です。といっても300年あります。女性の流行の髪型の変遷の展示が面白い。



再現動画。顔が2倍の高さ。盛ってます。



唐三彩などの展示も。これは確か複製品。素人にわかりやすい展示内容で、難解になりがちな中国美術を理解するのにはうってつけでした。



   



さて、駆け足でしたが今年のお蔵出しもここまでです。他にもいろいろ思い出したものの、触れ始めると年内の公開が不可能になりますから、心を鬼にして打ち切ります。


今年も読んでくださった方、いいねをしてくださった方、本当ありがとうございました。よいお年お迎えください。

来年もアートコラム Conceptual Cafe をよろしくお願い申し上げます。


 

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