アメリカ訪問歴10回以上でNYは5度目という友人女性が、双子の娘さんと姪っ子が同時に大学を卒業したというので彼女らの卒業記念旅行に付き添って来ています。NY近辺の有名観光地は行き尽くしたし、娘たちが美術館巡りしてる間、一人で出かけられるような新しいお勧めスポットはないか聞かれました。

 

うーん正直自信を持って回答できるような場所は思い浮かばない。現地で働いて暮らしていると最先端の観光情報には疎くなってしまうのです。日本人や韓国人などアジアからの旅行者は、自国語でのSNSやガイドブックなどが充実していて、ローカル在住者よりもずっとレストランや観光スポットの情報に詳しいことが多いです。やや新し目のスポットであるハドソンヤードとブルックリンのダンボも勧めてみたのですが、既に行ってるとのこと。彼女が、海外旅行をすると現地のスーパーマーケット巡りをするのが好きだといっていたので、人気スーパーマーケットチェーンのWegmansを勧めてみました。「聞いたことはあるけど、まだ行ったことがないので、行ってみたかった」との回答。やった!

 

 

Wegmansは東海岸一帯で店舗展開しています。1916年にニューヨーク州北部ロチェスターで家族経営のグロッサリー(食料品・日用品店)として創業しました。ローカルマーケットに美味しくてヘルシーな食料を提供することを使命に、ニューヨーク州を中心に東海岸エリアだけで展開しています。今でいう地産地消みたいなお店の走りなのかもしれません。店の作りは基本的に郊外型の大店舗なので、マンハッタンとはそぐわなかったのか、これまで店舗はありませんでしたが、ついに昨年秋、地下鉄で気軽にアクセルできるアスタープレイスに店舗をオープンさせたのでした。

 

 

日本からの旅行者がよく観光で訪問するアメリカ系のスーパーマーケットといえば、マンハッタンにも店舗展開するWholeFoodsと最近ブログで紹介したTrader Joe'sですが、Wegmansは郊外立地のためマンハッタンからなかなか訪問が難しかったので、地元日本人コミュニティーでは結構話題になりました。

 

野菜や果物、乳製品の食料品一般を揃えるスーパーマーケットとしての機能はもちろん、お惣菜コーナーも充実しています。ベーカリー、ハンバーガー、ピザ、寿司、そして各国料理の量り売りと、食べたいものは何でもある感じ。店によってはラーメンコーナーもあります。広めのイートインがあるので朝食から夕食まで、どんなシーンにも使える便利さがあります。そして、何より美味しいのです。値段は決して安くありませんが、マンハッタンで毎回外食するよりはずっと安くつきます。うちの生活圏内にも超大型Wegmansがありますが、ちょっとした買い物でも、結局色々買ってしまう魅力があります。さてそんなWegmansですが、日本人にとってなんと言っても魅力なのは、寿司コーナーと鮮魚売り場が充実していることです。鮮魚コーナーはその名も「サカナヤ」と名付けられています。

 

 

 

 

 

 

 

もともとWegmansの寿司コーナーは寿司だけでなく刺身用の魚も置いてあり充実していたのですが、ここ数年、日本の鮮魚卸業者「魚力」と提携して今までは東海岸ではなかなか手に入らなかったような魚も売られるようになってきています。さらには、各店舗で豊洲直送のマグロの解体ショー&即売会なども定期的に開催されており、日本の鮮魚文化を広める役目すら果たしています。うちの近所のWegmansでは、1年に1回の割合でマグロの解体ショーが開催されており、大人気です。直近のイベントでは、入場制限してるくらいでした。マンハッタンのお店も鮮魚売り場、寿司コーナーとも拡張基調で早速ニューヨーカーの胃袋をガッチリ掴んでいるようでした。

 

言葉で説明するよりも写真で見たほうがイメージが湧くと思いますので、以下うちの近所のWegmansで開催された海鮮・寿司フェスティバルの様子を紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

Wegmansを紹介したところ、友人は早速その翌日にアスタープレイス店に行ってくれました。予想通りハマってしまい、ランチだけのつもりが結局午後3時過ぎまで店舗観察、商品ウォッチングで時間があっという間に過ぎてしまったとのことでした。肝心の寿司コーナーや鮮魚売り場はまるでワンダーランドみたいだったと喜んでくれました。ランチは、「ピザのような寿司」を食べて大満足。一方、刺身は塊が大き過ぎで生々し過ぎたようです。日本のスーパーのように、綺麗にツマがついたり食用菊が添えてあったりはしません。それでも、日本のスーパーとは違う陳列などが面白く、日本語表記も誇らしいと、写真を何枚も撮ってしまったと言っていました。海外旅行経験豊富で目利きの高い友人がこれだけ喜ぶのであれば、Wegmansの鮮魚売り場・サカナヤは観光スポットとして合格ですね。実際、X(旧ツイッター)やインスタなどを見ると、既に世界各国からの旅行者の間では隠れ観光地化しているようです。

 

スナック売り場で日本への土産になるようなアイテムもたくさん発見したので、帰国前日に娘さんたちを連れて、ショッピングを目的にまた訪問すると話していました。2回も行ってくれるとは、とても紹介し甲斐がありました。こんなに喜んでくれるのだったら、私も仕事休んで巨大な郊外型Wegmansに車でお連れしましょうかと持ちかけたいくらいでした。まあニューヨーク滞在最終日は色々予定が詰まっているだろうから、変なプレッシャーにならないように、誘うのは控えましたが。

 

 

 

 

 

 

 

現在大好評でストリーミング中のハリウッド制作・戦国スペクタキュラー「SHOGUN〜将軍」の見所紹介の続きです。実は、2024年の真田版「SHOGUN」はゲイ界隈でもざわつきを見せています。それは、もう一人の主人公、三浦按針をモデルにしたイギリスの船乗りジョン・ブラックソーン役を演じるコスモ・ジャービスが毎回のように脱ぎまくり、毛深い感じの男が好きな人にはたまらないシーンが登場するからです。ということで、ゲイブログなのに、最近ゲイ的トピックから遠ざかってしまっていましたが、今日はいい男鑑賞視点満載でいきたいと思います。

 

前回は、「SHOGUN〜将軍」の主演兼プロデュースをつとめる真田広之氏にスポットライトを当てましたが、三浦按針をモデルにしたイギリスの船乗りジョン・ブラックソーンがこのドラマのもう一人の主役です。そのジョンを演じるのはコスモ・ジャービス、アメリカ生まれのイギリス人生俳優、34歳の男ざかり。私も何度か行ったことのあるニュージャージー州・リッジウッドで生まれて両親と共に幼少期にイギリスに渡っています。この役のオーディションを受けるまで日本には一度も行ったことがなかったそうです。三浦按針はほとんど日本のことを知らないまま太平洋を冒険していたという史実に鑑みれば、知日派で日本大好きな俳優が演じるよりもずっとリアリティーがあるように思えます。

 

 

このシリーズでは、毎回コスモ・ジャービスが脱ぎまくります。まず初回の放送では漂着して助けられたコスモが武家屋敷に捉えられ目を覚ますシーンがありました。いきなり全裸での登場で、胸毛がセクシーでした。また、その後も航海のシーンで褌姿で活躍したりと、裸一貫大活躍。また、その他、彼と同僚の船乗りや、ポルトガル人宣教師、通訳などを演じる外国人男性たちも、むさい男たちばかりで、まるでこういう毛深い熊系が好きなゲイの視聴者をターゲットにしてるのではと思うくらいサービス精神を発揮しています。ゲイ的には、彼らみたいな普通にいそうなワイルドな男たちがTVで脱ぐのは妙にそそられます。ハリウッドのヒーロー映画に出てくるシックスパックバキバキの人工的な裸体でなくてリアルな男臭さが伝わってきて目の保養になります。

 

武家屋敷の女中さんたちを前に戸惑う姿

 

30代の男の色気をよく醸し出しています

 

褌姿も板についています

 

他の役者もクマ系やダディー系の雄くさい男ばかり

 

そしてもう一人、私の大好きな日本人俳優、浅野忠信も武将役で出演しています。浅野忠信はおじいさんが北欧系アメリカ人というクォーターで、幼い頃は髪が金髪で白人のように見えたそうです。デビューの頃はバンドもやっていたように記憶していますが、基本ヤンチャ系の俳優なのかなと思っていました。しかし、その後国内外での活躍はご存知の通りです。若い頃の岩井俊二や是枝裕和など、新進気鋭の劇作家の作品に出演するなど、やはり天才的な能力がある俳優さんなんでしょう。2011年の映画「マイティ・ソー」でハリウッド映画初出演を果たし、その後も国際的な大作にも意欲的に出演、世界各地の映画賞で受賞歴を積み、今や日本を代表する国際派俳優の一人になっています。

 

浅野忠信も今年50歳。真田広之を追う存在の一人

 

浅野忠信は濃い色のスーツが似合う。かっこいいですね〜

 

「SHOGUN〜将軍」では第一話から登場し、真田広之演じる虎永に仕える武将・樫木藪重を演じています。最初は狡猾な役柄なのかと思いきや、遭難した家臣を助けるため崖から降りるなど、サムライ精神にみちた雄々しい姿を見せつけます。身長180センチと恵まれた体格なので、欧米や他アジア系俳優と並んでも遜色ないところが彼の魅力でしょう。20代の頃はガリガリとは行かずとも細身な感じでしたが、ハリウッド映画に出るようになってからは体作りをしているようで、マッチョ・イケオジ路線に転換してきているように見えます。そんな彼も今年50歳になったそうで、これからも才能ある日本人俳優として国際的に活躍してほしいと思っています。

 

全く余談ですが、アメリカの恋愛・性愛カーストでは東アジア人男の地位は低いという話をいつかしたことがありますが、私の経験上、浅野忠信みたいな顔はゲイ・ストレート、人種限らずモテ筋です。彼はクォーターですが、韓国系や日系は、丸顔の方の場合、短髪めにして、顔はつるんつるんさせ過ぎず、汚くもならない程度の無精髭を生やすと、浅野忠信風に見えます。上の写真のような感じが参考。実際、浅野忠信はゲイ界隈で結構人気があります。去年の夏頃、彼がゲイ出会い系アプリに載せるような半裸の写真をインスタグラムに上げてたんですが、NYの老舗エンタメブログ「My New Plaid Pants」に早速取り上げられてました。

 

 

浅野忠信がゲイアプリに登場?とざわつきを見せた写真

 

話はどうでもいい方向に進んでしまいましたが、今日はゲイ的視点から「SHOGUN〜将軍」および主要キャストを演じるお気に入りの出演者をピックアップしてみました。「SHOGUN〜将軍」は全世界で絶賛配信中です。興味を持っていただけた方はぜひ!

 

 

今年に入ってからブログがほぼ転職活動記と化していましたが、円満退社の手はずも整って落ち着いたので、今日は久々にエンタメ関連の投稿です。2−3月は大本山のアカデミー賞をはじめエンタメ業界の賞レースが展開され、良作映画に触れる機会が増えるので紹介したい映画が結構溜まっています。そんな中、今日は最近満を辞してストリーミングが始まった、真田広之主演兼プロデュースでハリウッドが描く戦国時代劇『SHOGUN 将軍』の話題です。

 

 

SHOGUNの新旧キャスト

 

日本でも話題になっているようですが、『SHOGUN 将軍』はこちらでも大好評です。私たちはHuluで見ていて、視聴者数も今季ドラマの中ではトップクラスと聞きました。テレビでHuluのストリーミング画面を開くと大抵トップページに表示されます。原作は作家のジェームズ・クラベルによるフィクション小説で、歴史上の実在の人物三浦按針(ウイリアム・アダムス)をモデルにした物語です。1980年にはアメリカのテレビで実写化もされています。その後、編集の上映画化もされており欧米における日本関連のコンテンツではいまだに伝説的な作品です。当時「SHOGUN」と名のついた日本食レストランが全米各地にできたというエピソードもあります。また島田陽子がヒロインを演じ「国際派女優」と呼ばれるようになったきっかけの作品でもあります。なお、1980年版の主演は三船敏郎。今回の『SHOGUN 将軍』は、そんなレジェンド作品のリメークとなるわけですが、ディズニープラスの公式サイトでは、以下のように描かれています。

 

「徳川家康ら、歴史上の人物にインスパイアされた「関ヶ原の戦い」前夜、窮地に立たされた戦国一の武将<虎永>と、その家臣となった英国人航海士<按針>、二人の運命の鍵を握る謎多きキリシタン<鞠子>。歴史の裏側の、壮大な“謀り事”。そして、待ち受ける大どんでん返し。SHOGUNの座を懸けた、陰謀と策略が渦巻く戦国スペクタクル・ドラマシリーズ。」

 

 

初回を見た感想ですが、とても良かったです。時代劇の素養のないアイドルタレントが出演するような一部の日本の時代劇や最近の大河ドラマなどよりずっと重厚です。さすがに真田広之がプロデュースに関わっているだけあり、アメリカ人から見た可笑しな日本像があまり見られず、日本人を演じる俳優陣も皆さんちゃんとした日本語を話してます。CGなどの技術の進化もあると思いますが、さすが、巨額予算を注ぎ込んで製作されているだけあると思いました。評価はこれからご覧になる皆さんそれぞれですが、私は「ラストサムライ」(トム・クルーズ主演)出演以降の真田広之のハリウッドでの活躍をウォッチしてきていますが、この『SHOGUN 将軍』は、そんな真田氏がこれまでハリウッドで培ってきた努力、築いてきた人脈、そして経験してきた苦難などの集大成だと思っています。アメリカのエンタメでは、日本と中国がごちゃ混ぜになって表現されたり、日本人の役を韓国系が演じたりというシーンが多かったことは事実ですが、ここ数年の間に、尊敬を込めた日本文化の浸透が少しずつ広まっており、ハリウッドでその役目を果たしているのは他ならぬ真田広之氏です。

 

 

2年前に公開されたブラピ主演の映画「ブレット・トレイン」に出演した真田氏が日本公開での舞台挨拶で凱旋帰国した時に、自分はこれから日本文化の橋渡しをするミッションがある、というようなことを話していたインタビュー記事を目にしたことを覚えています。「ブレット・トレイン」自体は日本を忠実に描くというような作風ではありませんでしたが、それでも真田氏の登場シーンによって締まりができて、日本へのリスペクトが感じられる作品になっていたことは確かです。

 

 

その時に語っていた自身のミッションを実現したのが『SHOGUN 将軍』といっても過言ではないでしょう。今回も業界誌のインタビューで、日本の描写をできるだけ精巧に描き、日本人の役は日本の俳優さんが演じられるように様々な努力をしたことを話していました。実際日本人の有名俳優も多数出演していますが、真田氏が働きかけた様々な努力、というのは日本の芸能界みたいな「ゴリ押し」とか「事務所バーター」などでありません。日本人俳優が、作品を理解しオーディションで役を獲得できるような努力への導き、そして、ハリウッドでの制作現場での振る舞いもきちんと身につけてもらう、といったようないわばコーチングのようなことを意図したという意味です。出演者の一人の超ベテラン俳優さんが、「オーディションを受けているときに、誰の後ろ盾があるわけでもなく、頼れるのは自分のみ、初心に帰った」と何かのインタビューで話していましたが、長年アメリカで働く者としてとても共感するものがありました。どんな業界であれ、こういう自立心がないとアメリカではやっていけないのです。

 

 

家臣を演じている西岡徳馬氏、78歳にしてハリウッド挑戦!

 

真田氏は、作品のプロモーションでニューヨークにも来てくれました。製作陣や共演者を従えて様々な現地メディアにも登場し、まさにその姿は将軍そのもの。ニューヨーカーの間では、いまだに日本人俳優といえば「三船敏郎」というイメージがあります。ミッドタウンの高級ジャパニーズレストランに「MIFUNE」と名前がつくくらい有名なアイコンですが、ゆくゆくは真田氏も三船敏郎さんの地位に達するのではと思うくらい、いや後進の育成と言う意味ではそれ以上の貢献をされていると思います。現在の真田氏の活躍は単にハリウッドにおける日系俳優の重鎮というだけにとどまらず、きちんとした日本の文化を発信する文化人、そして伝道師としての役割を担うくらいの影響力を持つに至っていると思います。ここ数年のアメリカをはじめ海外での飛躍的な日本文化の浸透の一端は真田氏が担っているといっても過言ではないでしょう。

 

今回もニューヨーク凱旋の後は、首都ワシントンにも乗り込んだとのこと。映像作品のプロモーションで首都に乗り込むとは、真田氏の活躍にますます期待するばかりです。「SANADA」の名が「MIFUNE」に並ぶのはそう遠い日ではないように思います。

 

マンハッタンでのプロモーション活動(今年2月)

 

 

ニューヨークでのキャリアチェンジの体験を現在進行形でお届けしてきた転職シリーズ、ついに完結編です。コメントをくださり応援いただきましたブログ仲間の皆様ありがとうございました。50前にして、転職を決断いたしました。

前回のブログで、オファーされた給与の上げ幅は思った程ではなかったけれど、その他福利厚生がとても良かったということを書きましたが、そういった条件面ではほぼクリアして、旦那の合意も得ました。色々悩みましたが決断の決め手は、転職先の雰囲気や人間関係が良さそうだったことです。やはりこの歳になっての転職は、新しい経験を積むことも大切ですが、職場の人たちがいい人達なのか、チームでうまくやっていけるかということがもっと重要なのかなと思いました。幸いにして、あちらの会社には何人かうちの会社から転職して行った人たちがいるので、色々相談に乗ってもらいましたが、例の超絶イケメン上司のベネディクト・サンタバーバラ氏は私の見立て通り面倒見のいいボスで彼を嫌う人はいないとか、みんな彼のチームに行きたがってるとか、いい話ばかりでした。チームの一人一人もごく普通の人たちで、サイコパスみたいな輩はいないとのこと。世界中どこでもそうだと思いますが、たまに職場の癌、地雷社員みたいなのが生息してたりするので、要注意なのです。競争が激しいニューヨークは特にそういう傾向がありそうな気がしています。もちろん、入ってみないと本当のところはわからないと思いますが、知り合いからの内部情報は心強いです。

 

 

超絶イケメン上司にお世話になることにしました

 

そうして、もう一つ転職の決め手は、キャリアディベロップメントの可能性です。今の職場にも愛着はありますが、これ以上同じ環境でキャリアアップしていきたいかと問われると即答できない自分がいました。なんとなく10年後も同じようなことしているイメージしかなかったのです。具体的には表現できないのですが、今の会社にはあまり期待されていないというか、生かさず殺さずみたいな扱い。それに組織が小さい分ポストも限られているので自分でも動こうとしない、という悪循環。よって新しいことに挑戦できず、今までの経験をアウトプットするだけ。若い人たちから追い付かれて、こちらが知識や経験を全て共有したら、給料の安い若い社員たちにとって変わられていづれはお払い箱になるのではという不安はいつもありました。一方転職先は組織が大きい分、上にも横にも動ける可能性があると思いました。サンタバーバラ氏との面接の時に、将来的にマネジメント職への興味や可能性を打診されとても新鮮に感じました。転職先がそういうポテンシャルを私の中に見出してくれていることは決断のファクターになりました。

 

結局、正式オファーをもらってすぐ自分の中では意思決定したのですが、返事は期限ギリギリまで引っ張りました。というのも、同時に今の会社をきれいに辞めるシナリオを考えなければらなかったのです。

 

アメリカではAt willと言って基本的に、社員側はいつ辞めてもいいし、会社側も社員をいつクビにしてもいいような習慣がありますが、大抵の会社では辞職するときはある程度の余裕を持って上司に知らせることになっています。私の会社は予告期間1ヶ月前に設定されています。職種や会社によっては、辞める意思を伝えたと同時に追い出される場合もあります。これは社員へのリベンジや意地悪ではなく、機密流出を防ぐという合理的な理由があります。商品開発をやってる部署の社員とか、上級管理職の社員がやめる時にはこういう扱いを受けることがあります。予告期間の1ヶ月分の給料払いますから、明日から来なくていいですよ、という感じ。もちろん未消化の有給なども払い戻されます。

 

私の部署はそれほど機密性の高い仕事をしているわけではないので、1ヶ月前に辞表出して、引き継ぎして、余裕があれば有給とって有給未消化分は最後の給与で精算していくという流れで辞めていく感じです。有休消化に入る時にパソコンは返却させられるかもしれないくらい。ここ数年でうちの部署から辞めて行った人の様子を見ると、いきなり辞表を出すのではなく、口頭で辞意を表明して、退社日を合意して正式な辞表を提出するというパターンがほとんどなので、私も今週の初めに上司に辞意を伝えました。

 

見慣れたこの景色ともあと少しでお別れ

 

普段おとなしい私が、「二人で話したいことがあるので、時間を割いていただけませんか?」とアプローチしたのであちらも雰囲気を読み取り覚悟していた感じでした。どこに転職するかなどはいう義務はないのですが、同じ業界内なので今後の関係も考えて転職先の会社名はこちらから出しました。そしたら、上司は、「やっぱりね」みたいな顔してましたが、向こうでどんな仕事するのとか、転職の期限は、とか一般的なやりとりになりました。上司はチーム内の仕事の割り振りを考えたいので、翌日もう一度話せるかと聞かれ、こちらも承諾しました。こちらは、1ヶ月後には転職したいという希望を伝えようと思いましたが、今までお世話になっていたのであくまで双方合意、円満退社を目指しました。上司の立場では「パソコンと社員証置いて出ていけ、」といって即日私を追い出すこともできたはずなので、穏やかな反応に感謝するしかありませんでした。

 

翌日、結局6週間後の退職ということで合意し正式な辞表をメールで提出しました。有給が80日分くらい溜まっていて、理論的には全部消化して数ヶ月海外放浪生活などもできるですが、現実問題それは夢物語で、転職先もそんな先までは待ってはくれないだろうと思います。落とし所はこんな感じかなと思います。社内規定で有給を買い取ってくれるのは60日分が最長なので、20日分くらいは捨てるか消化しなくてはいけない、ということで、この6週間は、初めの2週間で今の仕事を片付け、引き継ぎできるものは引き継ぎして、それが済んだら有休消化に入るというプランにしました。こんな時ではないとゆっくり休めないので、この間に日本に一時帰国でもできればいいなと思っています。

 

余談ですが、大昔に日本の会社を辞めて留学したとき、当時の会社から、有休消化は認めないとか、後任が決まって引き継ぎが終わるまでは辞めさせないと言われたことを思い出しました。実際に留学するために日本を出発する3日前まで働かされました。別に社費留学でもないのに、そんな義理はなかったんですが、当時は純粋で従順だった私、まんまと日本の会社の価値観に染まっていたんだなと思います。もう時効かもしれませんが、不当労働、賃金未払いで訴えてもいいかもしれません。こういう時にアメリカで働いていて良かったなと思います。アメリカの会社は後任の手配などは上司の責任であって辞める社員にその責を課すことはないです。ましてや未使用分の有給休暇は年俸制で働く社員の場合契約に定められた賃金同様なので、有休消化は権利で、未消化分の支払いは会社の義務です。日本ではいまだに有休消化も買取も認めない慣行があると聞きましたが、こちらでは、そんなことしたら契約不履行、労働契約違反、場合によっては詐欺で会社は訴えられるでしょう。

 

過去のことを色々思い出し、日本企業を辞めた時の恨みつらみへと話が脱線してしまいましたが、今回の転職話に時系列を戻しますと、円満退社の環境が整いそうだと確認したので、転職先にも正式な返信をしました。手続きは全て採用ポータル上で進みます。オファーレターや条件が示された個人アカウントにログインして、「Accept」(承諾)をクリックするだけです。スマホのアプリケーションでもできます。「Accept」したら、あちらの会社の人材情報に正式に社員として登録が始まる、、という流れで、早速ソーシャルセキュリティーナンバー(社会保障番号)とかパスポート番号を入力するリンクが次々に送られてきました。ああ、ついに転職するんだな〜と実感しています。6週間以降に開始というのも認めてくれました。

 

採用手続きは全てキャリアポータルやアプリ上で進行していきます

 

数時間後には上司となるサンタバーバラ氏からウェルカムメッセージのメールが来ました。本当はこちらからも連絡しようと思ってたのですが、先手を打たれました。以下、サンタバーバラ氏からのメール文面です。

 

Dear NW, 

I have heard you accepted the job offer. Congratulations on your new assignment, and welcome to our team again. I am very looking forward to working with you, and hope to see you in few weeks.  

 

日本語訳:NWさん、ジョブオファーを承諾していただいたと聞きました。転職おめでとう、そして我がチームへようこそ。あなたと一緒に仕事をすることを楽しみにしています。数週間のうちにお会いしましょう。

 

もちろん嬉しいことは嬉しいのですが、すごくアメリカ的というか、チームメンバーを常にモチベートして鼓舞し、チームのパフォーマンスを最大限に引き出そうとトレーニングされているリーダー、という感じで、妙に感心してしまいました。

 

こうして来月の下旬には新天地にて勤務を開始することになりました。とりあえず、この転職シリーズはここで終幕を迎えますが、これから6週間で仕事を片付け、新旧の同僚に挨拶したりと忙しくなりそうです。その過程で面白いことがあれば、ブログに書いておきたいと思います。また、もしかしたら日本に一時帰国してゆっくりするかもしれません。普通の休暇だと溜まったメールとか気にしがちですが、新しい会社に入るまではメールを気にしなくてもいいので、思い切り休めそうな気がしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先週ある日、以前うちの会社でインターンしてた若いアジア人の男の子が会社に遊びにきていて、立ち寄ってくれました。遊びに来てる、と言ったら失礼ですが、毎年4月の税金申告書類の提出のためにインターンしてた時の給与明細が必要とかで、それを人事部に取りにきていたようでした。メールでやりとりすればいいようなことなのにな〜と、一瞬穿った見方をしてしまうのは、私が彼の中のあざとさや小悪魔性を見抜いているからなのですが、でも良く言えば愛されキャラで人たらしの彼らしいともいえます。

 

5分で済む用事で来たのに、知ってる社員みなに挨拶しているようで、もう2時間近くいるようです。彼と同じ時期にインターンしてその後うちの部署に本採用になった友達とハッピーアワーに行くとかで、私も誘われましたが、、、。50近いおっさんが、20代の若者社員と3人で一緒に飲みに行くわけないだろ〜と言いたいところでしたが、「あ、そういえばこの子、こういうところあったな〜」と色々懐かしくも感じました。そう言う天然ボケキャラがある一方、欲しいものは手に入れるしたたかさも隠し持っている彼なので、きっと私のところに来たと言うことは、何か私から欲しいものがあるんだろうという予感。ブログなので、思いっきり言ってしまうと、私、一部のアジア人(アジア系アメリカ人ではなく)のこういうちゃっかりしたところがあまり好きじゃないんです。たかり上手で、ある意味意地汚いというか、欲しいものは手に入れるけど、それに対する恩義や儀礼という概念はないというか。もちろん、個人によるんでしょうけど。

 

多分、私はこれまでの人生経験で、このインターン君のようなタイプの人間はあまり好きではないので、何となく彼に対しても鬱陶しさを感じるのだと思います。さっさと話を切り上げて5時半にグランドセントラル駅を出発する通勤急行で帰宅したかったので、帰る準備をしていましたが、なかなか出ていく気配はありませんでした。きっとインターン同期が仕事終えるまで私のところで待ってる算段なのでは、とまたまた穿った見方をしてましたが、うぜ〜と思う直前のところで、「NWさんって少し痩せました?」とかおじさんが喜ぶようなことを言ってくるホスト気質は健在。おもむろに上着も脱ぎだし、ワイシャツ姿を見せつけてくる(←もしかしたら私の妄想かもしれませんが)。彼の国には兵役があって、元々日本人の同年代の子達に比べるとがっちりしてる人が多いのですが、久々に見た彼はジム通いしてるのが一発でわかるくらいバルクアップしてて、まるで誘惑されてる感じがしてしまいました。

 

通勤急行の出発時間が迫っていたので、そろそろ出るね、と席を立ったら元インターン君は神妙な顔して、僕今度結婚するんです!と驚愕発言。私は一瞬混乱。つい去年は一人で寂しいとか言ってたのに、いきなり結婚??どんな男見つけてきたのかと内心思いましたが、彼はゲイだと確証されたわけではないし、私も彼にはカミングアウトしてないので、「へ〜そうなんだ。どこで結婚式するの」と微妙〜な切り返ししました。以下、驚愕のやりとり再現。

 

元インターン君:「”彼女”はボストンに住んでるので、まだ決まってないんです」

 

私:(「えっ、女性と結婚するの?」←心の声。思わず確認したい気持ちは抑えて)「おめでとう。実家のご両親が喜ぶんじゃない。お母さんから早く結婚してほしいって言われてるって言ってたよね。」

 

元インターン君:「あ、あの話覚えててくれたんですね」

 

私:「でも、本当に良かった。おめでとう。彼女は同じ国の出身の人なの?」

 

元インターン君:「同じ**の出身ですが、今はアメリカ国籍。」

 

私:「なるほどね、、。でも本当に良かった!」(「グリーンカード狙い??」←心の声)

 

元インターン君:「ありがとうございます。すごく幸せです。」

 

こんな感じで可愛いアジア系カップルになるのでしょうか

(写真はプロゴルファーのコリン・モリカワとその奥さん)

 

そもそも彼は今学生ビザに付随したOPTと言う滞在ステイタスなので、大した収入もないはず。それなのにいきなり結婚、って、、、。皇室から嫁もらっておきながら司法試験3度目の正直でやっと合格した小室さんと渡り合う度胸です。彼女と出会ったきっかけとか、ボストンとNYでの遠距離恋愛のこととか、色々と聞きたい好奇心はあったのですが、彼の決断を尊重してそれ以上聞くのはやめました。例によって、別れ際はゲイ友とするみたいなねっとりとしたハグ。若い彼の肌はすべすべしてて思わず頬キスしてしまいそうな誘惑に駆られましたが、彼は一応ストレート宣言したわけだし、ここは職場、振り切りました。ただ、彼はハグしてきたときに、ちゃっかり私の肩に顎を乗せてきて、手で私の脇腹を押さえてきたことにはやはり彼はただ者ではないなと感じざるをえませんでした。別れ際もなんだか物欲しげな、寂しげな顔してたし。彼は私から何が欲しいのだろうか?

 

私自身の転職活動のことは言いませんでした。まだ会社の誰にも言ってないので、彼から漏れるのは困るなと思いました。また次回彼が会社に来た時、もし私が転職していたら、私のオフィスは空室になっているか後任の誰かがいることになるので、彼はその時どう思うのだろうか。色々な想いや妄想が交錯しながら家路につきました。

 

まあ、所詮他人のことを分析したところで正解を得られるわけでもないし、このインターン君は私の人生にさほど影響を与えるとは思えないので、考えるのはやめましたが、なんとなく、またいつか私の前に現れるのではないかという予感があります。

 

3月に入って日が伸びてきました。