禁酒・断酒

薬丸岳「告解」の感想。飲酒運転の怖さと贖罪について考えさせられた小説

 

小説「告解」

  • 文庫本タイトル:「告解」
  • 出版社:講談社文庫
  • 出版日:2022年8月10日
  • ページ数:376ページ
  • 価格:760円(税別)
  • 著者:薬丸 岳 (1969年兵庫県生まれ)

 

created by Rinker
¥836 (2024/04/25 16:33:28時点 Amazon調べ-詳細)

 

小説「告解」レビュー(ネタバレ注意)

小説『告解』

 

記事タイトル入りスライド
【禁酒はメリットしかない】22の効果がメンタル最強への最短ルート!

  うゎ~、また意志の弱い酒好きが入ってきた~   なんてね。冗談です。 ごめんなさい。 禁酒が簡単ではないことは身をもって知っています。 体が慣れるまでは、「飲まない」、「買わな ...

続きを見る

 

あらすじ

小説「告解」の表紙

一流大学に通う20歳の主人公は、酒に酔っているのに軽い気持ちで車の運転をしてしまいます。

深夜の雨中、飲酒運転で年配女性を轢き、その自覚があったのに怖くなってそのまま逃走してしまいますが、結局、逮捕され懲役4年10カ月の実刑判決。

「人生これから」という大人のスタートを切ったばかりの二十歳の青年とその家族、恋人、遺族の人生を狂わせた事件発生後の10年間を描いた過酷なストーリーです。

 

記事タイトル入りスライド
【お酒をやめる7つの方法と断酒のコツ】初期の退屈な時間を潰せ!

  「汚れた川の下流からきれいな源泉の上流に戻れた」 「脳や体の毒を出してオーバーホールできた」 お酒をやめられた今の状態をひとことで言うとそんな感じです 「カラダやメンタルにとっては飲まな ...

続きを見る

 

感想

小説「告解」の背表紙

主人公は、出所後も遺族との関係が続き、待遇がいいとは言えない職を転々としながら日々の生活に苦しみ続けます。

こういう事件を起こすと、被害者遺族のみならず自分の家族もそれまでの平穏の日々から暗闇の日々に突然突き落とされてしまう怖さが書き表されています。

「飲んだら乗らない」

「酒が完全に抜けるまでは運転はしない」

「自分は絶対飲酒運転はしない」

酒好きな人が100人いても99人ぐらいは当然のこととしてそのように思っていると思います。

私も今は酒をやめていますが、飲んでいた頃はそうでした。

飲酒運転をすると名前がニュースに出て仕事も解雇される世の中ですから。

しかし、酒に酔っているときに一刻を争うような緊急事態がもし重なって起きてしまうと、

「ほんのちょっとの距離だから運転しても大丈夫かも」

「もう酔いはさめたから大丈夫だろう」

酔って判断力が鈍った状態に焦りも重なり"雑"に間違った行動をしてしまう可能性を完全否定できる自信がありません。

以下のようなことが同時に重なると、この本に描かれている悲劇が誰にでもおきる可能性はあります。

・友達と飲み会に行く

・同じ日の夜にたまたま大切な恋人からどうしても今夜会いたいと言われる

・恋人を引き留めたい気持ちが収まらず、短距離なら大丈夫と思い込み酔ったまま車を運転してしまう。

・その飲酒運転で横断歩道を歩いていた年配女性を轢いて200mも引きずり死亡させてしまう

・怖くなってそのまま逃げてしまう

 

万一このような事件を実際に起こしてしまうと加害者として悔やんでも悔やみきれない日々が始まります。

「バカなやつだな」

「こんなやつ許せない」

ニュースを知った人の多くがそう思うでしょう。

しかし、どんなに後悔しても時間を巻き戻すことはできません。

頭ではわかっているこの飲酒運転の怖さを今一度誰もが認識すべきと思いました。

 

良い例えになってしまいますが、年末ジャンボ宝くじ1等の当選確率は1000万分の1ぐらいのきわめて低い確率です。

そんな低い確率でも買った人が大勢いれば世の中には当たる人がいます。

確率が極めて低いことであっても、起きるものは起きてしまうということです。

また、飲酒運転のような事件は、運転者の自業自得、自己責任であることに疑いの余地がないので加害者に同情する気にはなれません。

ましてや死亡事件ならどんな報いも当然であり、遺族が同じ目に合わせてやりたいと強く思うのも仕方ないと思います。

加害者は逮捕されると厳しい取り調べを受け、留置所、刑務所、出所後の苦しい世界を長年にわたって過ごします。

日々消えない後悔を背負い、なんとか踏ん張って生き耐え、長期にわたって制裁や償いに苦しみ続けるのです。

ニュースで事件を目にするだけの場合、そのことを直に感じ知ることがないので、

「とんでもないことを起こした奴」

「轢き逃げして認めないぐらいだからまったく反省もしていないのだろう」

厳しい目が向けられた状態から簡単には評価が変わらないのが現実社会なのかもしれません。

ましてや、ググれば昔の事件でも加害者の名前が分かってしまう世の中です。

家族や身近な人の支えがなければ、決して苦しい贖罪の日々は乗り切れるものではないでしょう。

この小説を読むと、ちょっとしたきっかけや悪い縁次第で自分も主人公と同じ運命をたどる可能性がゼロではなく、もしそうなってしまった場合の怖さを体感することができます。

「飲酒運転は絶対にしない」

「酒は危険なドラッグ」

そういう戒めを今一度強く感じたい人、

贖罪について深く考えたい人、

禁酒や断酒を継続させたい人、

そんな人に読む価値がある小説だと思いました。

 

ひとつ気に入らなかったのは、出所後も主人公がお酒を飲む場面があることです。

酒で人を殺めるような失敗をして真に贖罪の日々を過ごす人なら「一生お酒は飲まない」という決意をするはずです。

この本の著者にはそのような考えはなかったのでしょうか。

 

 

\アルコール体質の把握が失敗を減らす/

記事タイトル入りスライド
アルコール遺伝子検査やってみた感想(パッチテスト・病院検査との違い)

ここ最近ずっと禁酒をしています。 お酒のドラッグ効果は怖いですよね。 禁酒を定着させるまでは強い意志が必要です。 ひとまず正確なアルコール体質や耐性を確認しておいたほうがいいだろう そう思い、アルコー ...

続きを見る

 

「告解」の意味(ウィキペディアより)

キリスト教の幾つかの教派において、罪の赦しを得るのに必要な儀礼や、告白といった行為をいう。(出典:ウィキペディア

 

created by Rinker
¥836 (2024/04/25 16:33:28時点 Amazon調べ-詳細)

 


禁酒断酒に関する情報やブログが

 

にほんブログ村 酒ブログ 禁酒・断酒へ
にほんブログ村

 

記事が参考になったら「いいね」をいただけると励みになります

あわせて読みたい

嫌なことがあると酒に逃げる人 1

  仕事の嫌なことをつい思い出して気分が沈む せっかくの休日なのに嫌いな上司のことで頭がいっぱい そんなストレスを忘れたくて酒に逃げる、、、 仕事を始めてから10年以上そんな週末を頻繁に過ご ...

記事タイトル入りスライド 2

  うゎ~、また意志の弱い酒好きが入ってきた~   なんてね。冗談です。 ごめんなさい。 禁酒が簡単ではないことは身をもって知っています。 体が慣れるまでは、「飲まない」、「買わな ...

記事タイトル入りスライド 3

  アルコール分解に重要な2つの遺伝子を解析する検査をうけると、私は『飲酒による健康リスクが高いタイプ』でした。 ADH1B【高活性型】 ALDH2【低活性型】 同じタイプの人は日本人に25 ...

禁酒の重要性を説く動画のタイトルスライド 4

  禁酒がメンタルに重要と説く専門家や著名人の動画を集めてみました。 飲酒がメンタルに及ぼす悪影響もよくわかります。 生活の一部となっている酒を断つのはホントに難しいですよね。 でも、これら ...

記事タイトル入りスライド(酒をのまないカッコいい女性) 5

  「酒飲めない男はダサい」 「タバコ吸わない、お酒飲まない男はもてない、つまらない」 最近は、そんな昭和時代のセリフを聞かなくなりました。 むしろ、テレビではほとんど取り上げられなかったお ...

記事タイトル入りスライド 6

ここ最近ずっと禁酒をしています。 お酒のドラッグ効果は怖いですよね。 禁酒を定着させるまでは強い意志が必要です。 ひとまず正確なアルコール体質や耐性を確認しておいたほうがいいだろう そう思い、アルコー ...

記事タイトル入りスライド 7

  お酒を飲まないヤツはダサいしつまらない・・・ そう言ってくる人が職場や周りに一人はいませんか? でも、これってホントにそうなんですかね?   「酒を飲んで一緒にドラッグ気分を味 ...

東京ドーム 8

  先日、東京ドームにプロ野球観戦に行きました。 試合は巨人が勝ち大盛り上がり。 それはいいのですが、ビールの売り子が多い多い、、、 スーパードライ、一番搾り、薫るエビスビール、酎ハイ、日本 ...

禁酒を2週間続ける(記事タイトル入りアイキャッチ画像) 9

禁酒に挑戦するときは、ひとまず最初の1~2週間が肝ですよね。 晩酌や外飲みを完全にやめなければなりません。 夜に時間を持て余すと、 これから先、禁酒を毎晩続けるのはやっぱりどう考えても無理 となって、 ...

記事タイトル入りスライド 10

  昨年からお酒をやめています。 けれど、ときどき"間"がさします。 先日も、予定がない3連休の土曜日に、 「久々にちょっと飲んでみるかぁ。翌日も休みだし1本ぐらいOKだろ~」 断酒をしてか ...

-禁酒・断酒