武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

瞳のある小部屋(作品紹介650)と 洋画家の話あれこれ

2021-12-19 15:24:18 | Weblog

こちらを見つめる目を感じます。

また、小窓がある部屋にいるようで、

古びた喫茶店で静かに過ごしている気持ちがします。

コーヒーのコップも描かれている。

寒い日にストーブが置かれている喫茶店で

静かに物思いをしている一時の時間。

色鉛筆と鉛筆、そしてクレヨンが塗りこまれて、

その色の移り変わりに目がいきます。

この作品は、最近描いたもの。

こういうタッチの作品を見ると、

古い洋画家達の絵を見てきた、描いてきた、武内の時間というものを感じるのです。

油絵のマチエール作りをやってきたということを、

この絵から感じるということです。

 

そういう喫茶店の思い出を。

冬の街を歩くと、少しひなびたような古めかしい喫茶店に入ります。

あまりうるさくないし、ひっそりした感じの。

そこで、画集を広げたり、買った本を見てみたり、

窓があれば道行く人を眺めたりしながら過ごす。

そんな時間をこの絵から思いだしました。

2人でこういう時間を送ることが多いですが、

1人でもこういう時間をよく送っていたことも思い出します。

若い時は、こういう時間を送りながら、ちょっと孤独を感じていました。

この絵は、私にとって、そんな心象風景のようなのです。

 

 

私がヒロクニさんより、知るようになった洋画家について少し書きます。

まず、熊谷守一。

この方の精神を語るとき、「やつは、抜き身で刀を下ろしているからね」と言う。

それを言うときは、必ず立っていて、刀を構えているような感じでいうので、

精神を研ぎ澄ましていることを例えているのか?と。

晩年の熊谷守一の絵を見ると、とてもシンプルで、

何事にもとらわれていない境地にを感じます。

だから、清々しい。

万鉄五郎。よろずてつごろうと読むのですが、「まんてつごろう」とわざと言います。

そして、力を込めて“マン”を強調して教えてもらいました。

こちらは、日本のフォーブから、独自な画風へ発展させ不思議な絵が多くあります。

自画像の頭の上に雲のような形がある絵は、奇妙なのですがなんともいえない魅力を感じます。

寝そべった裸婦の絵があるのですが、

その絵と同じポーズをして寝ているヒロクニさんを見た時、

思わず、「万鉄五郎になってるぅ~」と笑っていうと、

すぐ意味が分ったようで、「そんな事に気づくなんて、さすが!」と言われ、

2人で笑っていました。

↓このポーズ

このポーズで寝転んでいました。

見たらすぐ言ってやるので、寝方を変えてしまったという事があります。

次は、長谷川利行。

この方は武内が師匠という徳山巍氏と交友があったそうで、無頼な画家。

初めて絵を見た時は、「こんな絵があるんだ」と驚きました。

この絵にあるすてばちな精神に恐れおののくと同時に美しさを感じたのでした。

曾宮 一念(そみや いちねん)。

ヒロクニさんが「曾宮 一念は、いいねぇ~」

「曾宮 一念はいいと思ったねぇ~」と、

胡座をかきながら言う時の空を見る眼差しが気になって教えてもらった。

この方野太い線と塊、重力を感じる色の固まりがここちいい。

あまりこういう画風も少ないのかもしれないと絵を見ていました。

鶴岡政男(つるおかまさお)。

こちらは、アトリエに描画が貼ってあって、ユニークな絵だなと思い、教えてもらった。

ユーモアを感じるというのでしょうか?

鳥海 青児。こちらは台所に貼ってある絵か気になってしかたがなくて、名前を教えてもらった。

もう、茶色の美しさ!静物画もただの静物画とは思えない詩情を感じます。

 

その他にもいろんな人がいますが、絵も単純に好き嫌いがあるようで、

興味を引いたり、引かなかったりします。

児島善三郎、鈴木信太郎、菅井汲、坂田一男は、とても洒落ています。

なるほどと思いました。

ヒロクニさんのおしゃれな感覚を認識をしました。

福沢一郎、宮本三郎、松本俊介、村山塊多と来ると、ふ~ん・・・・。

私が好んで見る絵じゃないようという感想を思ったり・・・・。

好みというのは、個性でもあるのでどうしても違うことがあります。

“違い”として認識します。

しょうがないので、無理して賛同はしません。

最後に教えてもらった中で特に印象に残った人に“難波田史男”がいました。

この方は、生きておられたら今、80歳でしょう。

夭折されています。

享年32歳。

この方の本を非常に大切にしていていて、2人で読みました。

「終着駅は宇宙ステーション」という本。

日記なのですが、特に驚いたのは絵柄でした。

私には、とてもヒロクニさんの絵に近い存在に思えました。

絵を一部紹介します。

 

 

↑このような作品群

ヒロクニさんより4年若く、かつ作者が若い時の作品なのですが、

斬新な絵を描く人がいたのだなと思い感心しました。

あまり知られていない画家ですが、こういう絵を描く人がいたということが、

ヒロクニさんには非常に心強くさせるものがあるのでしょう。

枕元に本がよく置かれていた記憶があります。

壁に貼ってある絵や、話す画家のことを知っていく内に、いろんな洋画家のことを知りました。

戦前の生まれの画家の気高い気持ち、

戦中派の新しいスタイルの追求の姿を垣間見ます。

こういうことを感じれるようになったのは、

ヒロクニさんの「何となく絵画教育」の力だと思う。

「何となく教育」いい感じかも?

 

 

 

現実生活では、庭で収穫。

↑庭に自生していた山芋の蔓が毎年延びていました。

“むかご”を収穫していましたが、

もしかして土の中で山芋が大きくなっているかもしれないと思い掘ってみました。

3ヵ所から出て来ました。

洗って、すりおろし、食卓に。

普通に山芋だったので、新鮮な体験でした。

植えていないのに!というところが嬉しくさせる。

たぶん、鳥がむかごを落としていたと考えられます。

しかし、根の多い庭でその多さにたじろぎます。

どうも、蔓ニチニチ草の根がいたるところにまわっている模様。

 

↑庭にあるレタスの葉とサラダ水菜を摘み、

たまねぎのスライスときゅうりの細切りのサラダ。

はまっている食べ方があって、写真にあるとおり、

フライドオニオンナッツのふりかけと、塩、オリーブオイルをかけて食べています。

もう、ドレッシングの複雑な味より、このシンプルさにはまっています。

この時は、「ニンニクを焼いて」とヒロクニさんから言われ、

焼いたのですが、残すので、サラダにトッピングしてしまいました。

それも合うみたい。

ヒロクニさんは、マヨネーズでいいらしく、こちらもドレッシングに飽きているようです。

カルパッチョを作ってみても、わさびと醤油が一番と言われたし。

まだまだ、ヒロクニさんは、まだ髭が伸びていて、

くちびるの横からひん曲がったりしていて、「髭って、曲がるんだー」と驚き。

なんか、バタ臭い感じ。

今日も、絵画制作に励んでいるようです。

 

今日は、私達の中での洋画家あれこれ。

名前ばかり羅列になってしまって、

分り難かったかもしれないと思いつつ。

好き嫌いは、個性の1つだと思っています。

だけど、どこが好きで、

どこが嫌いかというのは掘り下げるのは、

自分を知ることの手がかりになると思います。

そんな感じで身近に絵を楽しんで頂けたらいいと!

最後まで読んで下さったかた、ありがとうございます。

 

 

 


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2 コメント

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Unknown (ともりん)
2021-12-23 21:51:41
アルファベットのJのような顔で、じーっと見つめられています。あまりにも視線がまっすぐすぎて、その純粋さに自分が恥ずかしくなるように感じました。
この作品を、古びた喫茶店の深いワインレッドか濃いブラウンの厚いびろうどのソファにゆったり座って眺めたいなと思いました。
色の塗りこまれた感じが油絵のようにもガラスのようにも感じられて、この質感は実物で見てみたいと思いました。
瞳と体のブルーが美しいです。ヒロクニ先生の作品、私はブルーとピンクに目が惹かれることが多いように感じます。
この作品をずっとながめていると、淹れたてのハンドドリップのコーヒーが飲みたくなってきました。

知らない画家さんの名前がたくさん出てきたので、グーグルで検索しながら読みました。
さほりんの文章を読みながら画家さんの作品を見ていると、教科書でさまざまな画家さんの作品を見ているのとは全然違う感じ方が湧きあがってきて、新鮮でした。
私はいわゆる「有名」な画家さんの作品しか知らないため、「この作品はすごい」という世間的な先入観で作品を見ることが多かったのだと気が付きました。
うまいとかすごいとか立派とかではなくて、素直にその作品が好きか嫌いか、感動するか心が動くかという感覚で作品にふれていくと、自分の感覚も心地よい気がする、と思いました。

庭から山芋が!驚きました。むかごは、子供の頃にお味噌汁の具としてよく登場していました。庭のむかごを採るのは子供の仕事でした。
サラダに焼いたニンニクのトッピングしたことはないですが、確かにとても合いそうです。市販のドレッシングは、舌が飽きてしまうように思います。
もちろん美味しいのですが、ドレッシングの味だけで食べている感じが強いように思います。塩とオリーブオイルは私も好きです。ポン酢とごま油もおすすめです。

年の瀬も押し迫ってきました。
寒くて空気が乾燥していますが、おふたりとも健康でお過ごしいただけますように。
この絵は油絵的というのは言えています。 (さほりん)
2021-12-25 09:51:08
コメントありがとうございます。
この絵は、最新作でアトリエで吊るされていた作品です。今までにない感じが目を惹きました。色鉛筆の塗りこめられ方が変わっています。私は、目というか表情に純粋な感じがして、気持ちを透明にしてくれるような感じがする。ともりんと、同じようなことを思っています。ブルーとピンクは、ヒロクニさんはよく使う色です。私は軽いブルーの色を使っているのを見るとときめくことが多いような?好きな要素があるのだと思っています。レトロな喫茶店を思いながら、この絵を見ていました。

検索しながら見てくれたとのこと。頭が下がります。ヒロクニさんの好みの洋画家というのも特徴があると漠然と思っています。大家というより少し脇にいる画家が好きなような気がしています。だから、知らない人ばかりでした。日本の洋画家って古臭くて暗そうという先入観があってあまり感心をよせていなかったのですが、目からうろこ的でした。しかし、よく検索して観てくれましたね。たいへんだったでしょう?私は、つどつど知っていったのに、一気に観られたということは・・・。お疲れ様と肩をたたきたい衝動にかられます。

むかごはみそ汁にも合うのですね。知らなかった。ポン酢とゴマ油もしてみます。トーストを焼く前にバターと砂糖を塗って食しました。ラスクのようになって、美味しいと思いました。しばらく、こちらの食べ方にはまりました。こういう何気ない情報交換って、面白くって楽しいです。
今日はクリスマス。
いい時間を過ごされますように!
コメント、ありがとうございます。ともりん、ありがとうね!

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