クレオパトラはバラを愛したか?、ということに関して、私の調査結果をまとめる。
→クレオパトラがバラを愛したと明確に記す記述は見つからなかった。クレオパトラとバラを結びつける記述としては、アテナイオスの著作、プリニウスの著作が見つかった。
・アテナイオスの著作によると、クレオパトラがアントニウスをもてなす宴では、床から約50センチほどバラの花びらが敷き詰められていた。詳しくはこちら
・プリニウスの著作によると、クレオパトラはバラを毒を仕込む道具として使った。※プリニウスについてはここまであまり触れてこなかったので,後日まとめる。
上記のどちらも、クレオパトラがバラを愛したという根拠にするには少々弱い。個人的にはクレオパトラがバラを愛した、とは断言できるものではないと思うが、当時の世界でバラが希少で上流階級に愛されていたことを鑑みると、クレオパトラもバラを愛した可能性があるとはいえるだろう。
また、おそらく女王クレオパトラとは別人のクレオパトラという人物が書いた本には、薔薇のオイルを使う記述があったようだ。こちらの内容が女王クレオパトラと混同され、後世にクレオパトラはバラを愛した、と伝わる原因になった可能性もある。
京成バラ園で撮影 |
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最後にこんなサイトをみつけた。
http://www.attalus.org/names/c/cleopatra.html
紀元前 323 年から 30 年までの、ギリシャ・ローマ時代の資料を簡単に検索できるサイトで、なんと各人物の年代ごと・出来事ごとに、それぞれに関連する資料・文献を一覧で見ることができるサイトである!
例えば、クレオパトラがアントニウスに会いにタルソスに向かったシーンは、下記のようにまとまっている。
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41/14(※紀元前41年、サイト内のイベント番号14番、という意味)
Cleopatra sails in a golden barge to meet Antonius at Tarsus.
* Read Plutarch's account
@Joseph:AJ_14'324; ヨセフス「ユダヤ古代誌」14巻
Plut:Ant_25'1-27'5;* プルタルコス「対比列伝」のアントニウスの章
Appian:BCiv_5'8; アッピアノス「内乱記」5章8節
Athen_4.147'e-148'b, 6.229'c; アテナイオス「食卓の賢人たち」
DioCass_48.24'1-2; { Hölbl_p240-241.} ディオ「ローマ史」
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このサイトは、ロドス島のソクラテスを調べているときに見つけたのが、最初からここ見ればよかったじゃあああん…と思わずにはいられない。それぞれの資料の英訳にすぐに飛ぶことができる、非常に優れたウェブサイトである。
しかし、寄り道しながら調べ物をするのも楽しい。今回の調べ物で、私は人生で初めてシェイクスピアの作品を読んだし、クレオパトラという女性医学者の存在など、最短ルートでいっていれば知ることのなかった知識を得ることができた。
ということで、クレオパトラとバラに関する調査結果をまとめた。ここでいきなりプリニウスが出てきたが,プリニウスは今後「クレオパトラは真珠を愛したか」の項目で登場する予定であり、その際バラに関する記述にも触れる。
次回は『クレオパトラはモリンガオイルを愛用したか?』のテーマで投稿予定である。
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