ジョブハンティング! 弁護士、派遣、社畜、銀座ホステス、いろいろやってみた。

元派遣、氷河期世代かつ団塊ジュニアの弁護士が外資系や大中小企業など40社以上で働いた経験をもとに、氷河期世代を取り巻く諸問題、40代派遣・フリーターから正社員へのステップアップのコツ、日々思ったことなどを綴っていきます。

日本人はどこに向かっているのか? - 給料について考える ①日本は非実力主義

こんにちは。ヴィヴィアンです。

大変ご無沙汰しております。

激務続きだったり、色々なことがあって何もする気が起きず(かなり弱っていました(笑))、気付いたら前回の記事をアップして2か月以上が経過していました。

まぁ、更新がない時は、たいていなんかあるときです。

更新が途絶えているときは、ヴィヴィアンとかいうババァ、ざまぁ!と思っていただければ幸いです。

 

前回↓は子供に分不相応な教育を受けさせようとするバカ親たちについて書きました。

vivien-moriya.hatenablog.com

最近、日本は給与が安いという記事を毎日のように見かけます。そして、こういった記事にはそうだそうだ!と多くの同調ヤフコメがつきます。ただ、ここでの比較対象は、あくまでも他国の平均賃金なのですね。

 

昨今の日本の給料が安いという話は、単純に他国と比較して低いからとか、もっと贅沢したいから、だから給料を上げろ、という話なのですね。自分の行っている業務やパフォーマンスは関係なく、国全体で賃金の底上げをしろというわけです。もっとも、賃金の底上げによってぜいたくができるかは疑問ですが。

 

業務量や業務の質、難易度、責任等に見合った給与がもらえない場合も給与が安い、と思う人がいてももよいと思うのですが、こういったことについて不満を言う人はあまりいません。

多くの人は同じ職場の同僚や上司と比べたときに、自分の給料を安いとは感じていないということなのでしょう。いったいこれはどういうことなのでしょうか?

目次:

日本は非実力主義

(このブログではあえて「非実力主義」とか「実力主義」と書いていますが、人事用語でいうところの「能力主義」や「成果主義」の合わさったものと思っていただければと思います。具体的には、実力のある人を優先して採用し、又は、実力に応じた条件で採用し、入社後も、能力やパフォーマンスに見合った給与を支払うということをいっています。パフォーマンスの高い人、能力の高い人に高い給与を支払い、そうでない人には低い給与を支払う、場合によってはダメな人は解雇するということです。そもそも実力って?という問題もありますが、ここでは深入りしません)

 

当然ですが、人の能力はさまざまですし、パフォーマンスもさまざまです、適性の有無もあります。サボる人もいれば、やる気満々で大量の業務、難易度の高い業務をこなす人もいます。ですが、私のこれまでの経験では、1しか仕事をしない人も100の仕事をする人も皆似たり寄ったりの給料で働いていました。1の仕事しかしない人の方が100の仕事をする人よりも高い給料をもらっているケースもままありましたね。

 

最近は脱年功序列とかで実力主義の企業も増えてきていると言われていますが、私はそのような実感はまったくありません。たいていの会社では、依然として年齢、勤続年数、経験年数、前職の給与、役割、学歴など実力とは無関係に年収を決めているようです。

評価制度も形だけで、機能していませんよね。

結局、ポーズだけなんでしょうね。

 

1年目、2年目の若手でも勤続30年の人よりパフォーマンスの高い人は少数ながらもいるわけですが、若手というだけではるかに低い給与で働いています。優秀で経験豊富な弁護士が企業へ転職する際に企業経験がないという理由だけで新人と同等の給与を提示されることもよくあります。

 

つまり、日本では、ほぼすべての企業がパフォーマンスや実力に関係なく給与が決まっている非実力主義なわけです。

にもかかわらず、労働者から不満が出ないということは、日本人の多くが、非実力主義を望んでいるのではないかということです。

日本人は非実力主義を望んでいる

私はこれまで、無能な同僚やサボる上司たちのおよそ10倍、20倍の業務量をこなしてきました。もちろん業務の質も彼らとは比べ物になりません。彼らの手に負えない難易度の高い業務も1人でこなしてきました。ですが、私の給与は仕事のできない、又はサボっている彼らとほぼ同じか、2分の1、3分の1ほどでした。

 

にもかかわらず、会社の上司も同僚も、だれも私が高い給与をもらうべきだとは考えないし、逆に、仕事のできない又は仕事をしない同僚や上司の給与が高すぎるとも思わないわけです。

 

どこの会社もこんな感じなのですね。日本人の多くが、パフォーマンスや実力に見合った給与をもらうべきだとは思っていないのです。なぜって、ほとんどの人は凡人ですし、かといって努力もしたくないですから、実力主義になってそのままなにもしなければ自分の給料を減らされるかもしれないからです。

 

そもそも、日本人の大半が、給料が労働の対価であるという意識が希薄なのです。

 

一流企業勤めなどのエリートの場合、小さいころから遊びたいのを我慢して努力してペーパーテストで良い点数取って一流大学に進学して一流企業に入ったんだから、仕事しなくてもできなくても高い給料もらって当たり前でしょ?と思っているのです。

つまり、小学校や中学校時代の遠い遠い過去の努力に対する対価という認識なのですね。安月給の人たちに対して、若い時に努力しなかったからだ、自己責任だと批判する高給エリートをよく見かけますよね。

高給エリートの中には、ペーパーテスト得意な自分は仕事も超優秀だとか、一流企業で頑張って働いている自分は高い報酬をもらって当然と勘違いしている人もいますけどね。

 

非エリートの場合は、仕事をしなくても、とりあえず所定の労働時間は机に座っているんだから(テレワークの場合はそれすら怪しいですけど)お給料もらって当然でしょ、仕事できる人もできない人も同じ給料なのあたりまえじゃん、だって給料は拘束時間に対する対価なんだから、仕事はできる人、やりたい人がやればいいじゃん、会社は従業員が満足のいく生活を送れるようにする義務があるんだから!みたいな感じでしょうか。だから、ダラダラ仕事して残業して残業代稼いだり、出来が悪いだけなのに残業している自分は頑張っていると勘違いしていたりするわけです。

 

彼らは、自分の給与を時給に換算したことはあるんでしょうか。時給分の価値のある仕事を自分がしているかどうか検証したことはあるんでしょうか。

 

いずれにせよ、エリートも非エリートも自分の働きが帰属する会社にどのような利益をどれだけもたらしているのか、自分が給料分の仕事をしているかどうかなんてまったく頭にないのですね。

 

間違いなく、日本人の大半が非実力主義を支持しているのです。

非実力主義のデメリット・実力主義のメリット/実力主義のデメリット

仕事しない人も仕事する人も皆同じ給料で平等でいいじゃん、という人が多いわけですが、この非実力主義のデメリット、実力主義のメリットはなんでしょうか?

非実力主義のデメリット

・優秀な人が辞める、やる気をなくす

・優秀な人が日本からいなくなる

・無能な人、凡人は努力せず現状維持しようとするか、さらに怠ける

・会社がダメになる、というかダメなまま

・無駄な人件費、経費がかかる

 

無能な従業員はパフォーマンスが低いため、これを補うべく残業するかさらに人を採用しなければならなくなります。私は法務職ですが、一流企業は別として、まあまあの企業でも2、3人に1人の割合でいてもいなくてもよいレベルの落ちこぼれが存在します。彼らのクビを切ることができれば(現在の法律では不可)、1人分の人件費が丸ごと浮くわけです。逆に、優秀とまでいかなくてもまあまあ仕事ができる人であれば、2,3人分の業務を1人でこなせますから、3人の部署であれば、できる人が1人いれば、あとの2人は不要ということになります。2人分の人件費が浮きます。浮いた分、優秀な人の給与を上げればよいわけです。

 

では、逆に実力主義のメリットは何でしょうか?

実力主義のメリット

・少子化対策になる

 ※出身大学で評価されることがなくなる → 子供の教育にお金をかける必要がなくなる → 教育費に金がかかるから子供を産まないという言い訳ができなくなる→ 現金バラマキの必要がなくなる

・育児で仕事を辞めても、実力があれば簡単に復帰できる

・挽回のチャンスを得ることができ、格差是正に寄与する

・就職活動時の経済状況の影響を最小限にできる

・会社全体の士気が上がる

・優秀な社員周辺のパフォーマンスが上がる

・ダメ社員が辞めるか、努力するようになる

・優秀な社員が集まってくる

・人件費等の経費を抑制できる

・無駄な業務がなくなる

・業務の効率化を図ることができる

・(まともな国民の間でのみ)公平感、納得感が得られる

 

優秀な社員を採用すれば、ただちに競争力を獲得して会社の業績があがるのかというと、そんな単純な話ではないですよね。ですので、会社の業績アップはメリットとして挙げていません。これは日本経済の停滞とも関連しますが難しい問題だと思います。

 

実力主義の一番大きなメリットは、なんといっても誰でも実力さえあればチャンスが与えられるという点でしょう。実力主義というのは格差の固定化を緩和する働きをします。大学を出るまでの環境に恵まれず、条件の良い会社に就職できなかった人や、大学に進学できなかった人、引きこもっていた人、人生のどこかでドロップアウトした人でも実力があれば、又は実力をつければ道が開けるわけです。

 

生まれ育った環境や出身大学、就活時の景気でほぼ全てが決まってしまうなんて、こんなに不公平で不合理なことはないと思うのです。人生は長く、何が起こるか分からないのですから、目指すべきは、いつでもやり直せる世の中、チャレンジできる世の中だと思います。

 

また、人口減少が進み働き手が少なる中、年齢に関係なく、バックグラウンドに関係なく、いかに優秀な人材を発掘して活用していくかがこれからの日本経済回復の一つのキーポイントになると思います。

実力主義のデメリット

・無能な人が困る

・怠けたい凡人が困る

・楽してぜいたくをしたい人が困る

 

う~ん、これくらいしか思いつきません。。

無能な人についてはセーフティネットでなんとかすればよいですし、怠けたい人に配慮する必要はないですし。

日本人の意地汚さ

基本、日本人は意地汚いのです。

日本人の多くが、給料は、子供のころに頑張った対価とか今現在頑張ったことに対する対価だとか、机に座っている時間に対する対価だとか本気で信じているのです。だって、その方が楽だもんね。

 

なんで頑張ったからって高い報酬をもらえるのでしょうか?なぜ、会社の自席に座って過ごしたことで報酬がもらえるのでしょうか?業務や成果と何の関係があるのでしょうか?

有能な人や努力してスキルを磨いてきた人が、なぜ能力のない人や怠けている人の分まで、変わらない給料で働かなくてはならないのでしょうか?なぜそれが平等なのでしょうか?

 

海外の人に、日本ではまったく仕事しない人も大量の業務をこなしている人も同じくらいの給与か、むしろ仕事しない人の方が給与が高い場合もあるという話をすると、必ず「アンフェアだ」いいます。そして、彼らは高い専門性やスキルをもって高度な仕事をしている人が高い報酬を得るのは当然だと考えていますし、簡単な仕事をしている人、仕事ができない人は賃金が低いのは仕方がないと言います。

 

ついでに、日本人は、同じ仕事をしていても派遣社員は正社員より低い賃金でよいと考えていますよね。これもまた分けわからんのですよ。

海外の人に、この話をしたことがありますが、なかなか理解してもらえませんでした。

 

どうも海外では(国によっても違うかもしれませんが)、給料は労働に対する対価であることが理解されているようですし、働きに応じた給与をもらうのは当然と思われているようなのです。

 

それにしても、この日本人特有の意地汚さや給料平等主義、非実力主義っていったいどこからきているのでしょうね。

日本人ってすごく変わってますよね。