氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

氷河期支援、目標正規30万人増だが実績は3万人

総務省が発表した労働力調査によると、2022年4月の失業率は2.5%。低水準が続いています。

同年同月の有効求人倍率は、コロナ禍前より大きく下がっているものの1.23倍とこちらも堅調に推移しています。

しかしながら、正社員と呼ばれる働き方の有効求人倍率に限ると0.97倍です。

20年3月までは辛うじて有効求人倍率が1.0倍を上回っていましたが、それ以降は下回った状態が続いています。

つまり正社員に絞った場合、コロナ禍以降の求人数は求職者の数より少ない状態が続いていることになります。  

22年5月12日、時事通信は「正規30万人増、24年度までに 氷河期支援、2年延長―政府」と題した記事を報じました。

 

 

政府は、20~22年度の3年間で就職氷河期世代の正社員数を30万人増やす目標を掲げていましたが、コロナ禍による雇用環境の悪化が原因で実質的な増加は3万人に留まり、期限を2年延長するとのことです。  

正社員有効求人倍率の推移を見る限り、確かにコロナ禍で厳しい状況にあると思います。

しかしながら、3年計画のうち2年が終了しても、目標数の10分の1に留まるというのはあまりに少なすぎます。

もちろん、政府が何も対策を講じてこなかった訳ではありません。行動計画にもとづき、19年からさまざまな施策を走らせてきました。  

就職氷河期世代とは、93~04年の間に新卒で社会に出た年代を指します。内閣府の「日本経済2019-2020」によると、この年代における大学卒業者の就職率は平年よりも10%ポイント以上も低く、高校卒業者も7%ポイント以上低くなっています。  

この年代が就職活動している際にすでに就職氷河期は問題視されていましたが、その頃は主に就活が厳しいという指摘でした。

しかし、就職氷河期の影響期間は社会人としてのスタートを切る時だけに留まるものではありません。今では新卒時の就職が職業キャリアの形成に長く影響を与えることにもフォーカスされ、社会問題として認識されていることの意義は大きいと言えます。  

 

 

ただ、コロナ禍が生じたとはいえ、さまざまな施策を講じているにもかかわらず、正社員数を30万人増やす目標に対して実績が3万人と大きな乖離が出ているのは、そもそも就職氷河期世代に限定して正社員を増やそうとする目標や施策自体が妥当なものではない可能性があります。

理由として以下に3点挙げます。 

1 就職氷河期世代は93~04年に就職活動していた年代で、少なくとも社会に出てから約20年は経っていること

日本は年功序列ありきの人事システムを基本にしていることを踏まえると、もし一度も正社員として就業した経験がない人材を採用しようとする場合でも、社歴20年程度の社員と比較されてしまうことになります。  

会社としては、既に幹部として活躍する人も多いであろう同年代の正社員たちと同水準の給与ベースで迎えるのは難しく、だからといって新卒一年目と同等の給与にするというのも、やはり年代上の整合性がとれません。

就職氷河期世代の採用に当たって、年功序列のシステムは正社員として入社する人にとっても、採用する会社側にとってもやりづらい環境です。

2 解雇周りのルール整備が不十分なため、正社員採用はハードルが高いこと

昨今、理化学研究所東北大学などで働く有期雇用の研究者が、無期雇用転換できる権利が発生する上限10年を超えないよう一斉に雇い止めされる可能性があると指摘されています。

 

 

一流の研究機関で職務に当たるほど優秀な人材であっても無期雇用に転換しづらい背景にあるのは、将来的に余剰人員になってしまうかもしれないという経営上のリスクです。  

もちろん、安易な解雇が認められるべきではありませんが、いざとなった時に解雇するという選択が実質的に不可能となれば、無期雇用が前提となる正社員の採用に対して会社側はどうしても慎重になってしまいます。

それは当然ながら、就職氷河期世代の採用にもネガティブな影響を与えることになります。  

3 正社員という働き方は会社からの束縛が強く、窮屈な働き方であること

会社が強い人事権を持ち、時に本人の意に反した職種や勤務地への異動を命じられることもあります。

また、残業を厭わず長時間拘束されることも覚悟しなければなりません。

しかし、中には特定の職務限定でスキル・経験を磨きたいと考える人がいます。

また、社会に出て18年以上経つ年代層の多くは、配偶者や子どもがいるなど家庭を支える立場です。

家庭の事情で勤務地限定、短時間、短日数で働くことができるなど、正社員ではありつつも柔軟性を有した形での就業を望む人もいます。

就職氷河期世代には、長期安定的な就職を望みつつも、職務も勤務地も無限定で長時間労働を基本とする正社員と呼ばれる働き方が合わない人たちが多数存在するのです。

これらの根本的な課題が解決しないまま、就職氷河期世代だけの正社員数を増やそうとしても、そう簡単に事が運ぶはずがありません。

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