学生の頃ならいざ知らず、大人になってからの言動には慎重さが必要です。
人の悪口、噂話はその最たるものですよね。
つい言ってしまった悪口、軽い気持ちで笑った噂話が、後で思わぬ形で自分に返ってくることもあります。
身もふたもない言い方になりますが、社会生活において一番大切なのは「保身」です。
悪口の作法
悪口にも作法があります。
生きていく以上、大嫌いな人や敵意をむき出しにしてくる人とも、表面上うまくやっていかなくてはいけません。
大嫌いなのに、関係性を切れない相手と折り合っていくのは、辛いものですよね。
自分の中だけにため込んでいると、疲れるし体調を崩すことだってあります。
そのストレスを発散できるのが、健全な悪口というものです。
ただ、悪口も言霊なので自分に返ってきます。
そして先ずは保身。
後で自分がトラブルに巻き込まれたり、嫌われる危険を考えておかなくてはいけません。
その危険を最小限に抑えて、ストレスを吐き出すための悪口の作法をご紹介します。
その場限り
悪口を持ち越してはいけません。
つまり「あの人、この前こんなこと言ってた」なんて他の人に話してはいけない、ということです。
その場で言い合った悪口を、噂話として流すのは重大なルール違反。
ダメージは「口の軽い人」「信用できない人」といった評価で、自分に返ってきます。
自分が言った悪口だけでなく、人が言ったことも全部忘れてなかったことにしてください。
ストレスを解消するために言ったことなので、スッキリした後は何も残さずにお互いに忘れましょう。
一回限り
人の悪口は、それが辛辣であればあるほど、もっと言いたくなるものです。
「同じ人の悪口は1回限り」と決めておきましょう。
人の悪口には中毒性があるので、習慣にならないように「1回だけ」と決めておくのです。
1回吐き出したら、もうおしまい。
「この前の続き」は無しです。
そうしなければ、「いつも集まって人の悪口を言ってる人達」と見なされてしまいます。
関係性のない相手
どこからか話がもれてしまうのを防ぐため、悪口は関係性のない相手を選んで言いましょう。
ママ友の悪口を、別のグループのママ友にしてしまったら、自分でトラブルを引き寄せるようなものですよね。
職場も同じです。
離れた場所に住んでいる友達や別の会社の友達など、関係性の無い相手に話しましょう。
どこの誰かわからない人の悪口を聞いても、他人に話しようがないので秘密が守られます。
噂や悪口というのは、相手がどこの誰だか知っているから面白いわけです。
知らない人が何をしようと、誰も興味ないので秘密は守られます。
「絶対に誰にも言わないでね」
が守られたためしはないので、最初から安全な相手を選びましょう。
ギブアンドテイク
悪口に限らず、人間関係の基本はギブアンドテイクです。
自分の悪口を聞いてもらったら、人の話もちゃんと聞いて、いい感じの相槌をうってあげましょう。
つまり「否定」ではなく「肯定」です。
「それは考えすぎじゃない?」とか「でも、その人だって悪気はなかったんじゃない?」なんて話の腰を折るのは無しです。
「人の悪口を聞く」というのは、結構うっとうしいものです。
知らない人の話ならなおさらです。
お友達が「それで?」「ひどい人だね、よく我慢してたねー」などと優しく聞いてくれるのは、友情の証、あなたへの好意であって、本当に興味があって聞きたがってるわけではありません。
話を聞いてあげることで、あなたを励まそう、元気づけたい、と思ってくれているだけ。
ですから次に、あなたにできることはギブです。
お友達に「聞いて欲しい悪口」ができた時には、喜んで聞いて肯定の相槌をうってあげてください。
責任をもつ
自分の悪口は最後まで、自分で言いましょう。
「そんなに悪い人じゃないと思うんだけど・・・でもね、こんなこと言われたの(以下略)」のように自分の被害状況だけを話して、相手への悪口をお友達に言わせるのは作法に反します。
そんな人に限って、友達が「酷い人だね」「イヤな奴!」とか言ってくれても、のってこないものです。
「いや、そんな悪い人じゃないと思うんだけど」
「本当はいい人かもしれないし・・・」
と自分だけは「悪口を言っていない善人」のフリをしたがります。
悪口を言ってもいいくらいの事件があったのなら、自分で最後までキッチリと「ホントに嫌なヤツ」「顔見てるだけでムカムカするわ」くらいの事は言ってください。
「自分の代わりに人に悪口を言ってもらおう」という魂胆を見透かされると、次第に話を聞いてもらえなくなります。
感謝
自分がストレスや怒りではちきれそうな時は、つい周囲が見えなくなりがちです。
一方的に悪口を聞かされる相手の気持ちにまでは、考えが至りません。
「私がこんな酷い目にあったんだから、友達なら聞いてくれるのが当たり前」
「誰だって、こんな話を聞いたら酷いって思うでしょ」
でもそれは、あなたの気持ちであって、お友達も同じ気持ちとは限りません。
本当はもっと楽しい話をして、明るい気持ちで帰りたかったかもしれません。
疲れて体調が悪かったかもしれないし。
自分の相談事は後回しにして、あなたの話を聞いてくれたのかもしれないし。
久しぶりにあなたとのおしゃべりを、楽しみにしていたかもしれません。
それなのに、延々と人の悪口を聞かされたわけです。
とりあえず、悪口を聞いてもらった時は「聞いてくれてありがとう」と必ず言ってください。
人の悪口を聞かされるのは、本来気持ちのいいものではありません。
深刻であればある程、聞かされる方もイヤな気持ちになるものです。
その不快感を消してくれるのが、「感謝の言葉」です。
最後に「ありがとう」と言われただけで、不快な気持ちは晴れるもの。
悪口を言った本人も「聞いてくれてありがとう」と言葉にすることによって、なんとなく気持ちが明るくなるはずです。
悪口だけでなく、感謝の言葉も言霊なので忘れずに言ってください。
「ありがとう」は幸運を引き寄せる魔法の言葉でもあります。