2025年確定申告戦略の続き
配当金を確定申告することによるメリット(配当控除、外国税額控除)と、確定申告することによるデメリット(税金、社会保険料)。
この二つを天秤にかけて、2024年に受け取った配当金の確定申告戦略を検討していく。
配当金(2024年)
課税口座(特定口座)において、2024年に日本株、外国株から受け取った配当金は下記になる。
外国株
(配当受け取り時の為替レートで換算)
つまり、課税口座で保有する株式に関して、トータルで933,780円の配当金を受け取り、その中から92,934円を外国税として支払い、128,822円を所得税として支払い、42,046円を住民税として支払っている。
配当控除/外国税額控除
配当控除は「総合課税」での確定申告、外国税額控除は「総合課税 or 申告分離課税」での確定申告で税額控除を受けることができる。
ただし、申告方法は統一させる必要があるので、配当控除を受ける場合は外国税額控除に関しても「総合課税」での確定申告が必要になる。
配当控除
所得が330万円以下であれば、「総合課税」で確定申告することによって配当金にかかる税率を7.2%まで低減させることができる。
通常は20.315%の税金がかかり配当金支払い時に源泉徴収されているが、確定申告することによってその差額分が税額控除される。
外国税額控除
源泉地課税された外国所得税は、「所得税の控除限度額」を限度として、当該年の所得税額から差し引くことができる。
所得税の控除限度額は以下の計算式で求められる。
外国税額控除とは?確定申告のやり方や記載例、計算方法を解説! | マネーフォワード クラウド確定申告
確定申告戦略
2024年に受け取った日本株の配当金のどれだけを確定申告(配当控除)し、また外国株の配当金のどれだけを確定申告(外国税額控除)するのが一番メリットがあるのか。
税額控除額試算
4つの条件で税額控除額を試算してみる。
計算結果は下表。
受け取った配当金を全額確定申告した場合(条件1)は126,923円の税額控除を受けることができるが、日本株のみを全額確定申告した場合(条件4)は税額控除は36,584円にとどまる。
やはり、確定申告する所得総額が大きくなればなるほど税額控除額は増えていく。
国民健康保険料試算
しかし、所得総額が大きくなればなるほど逆に国民健康保険料は高くなる。
税額控除を試算した4つの条件における国民健康保険料を計算すると下記のようになる。
- 条件1: 126,694円
- 条件2: 67,056円
- 条件3: 22,063円
- 条件4: 22,063円
当然のことながら、所得総額が大きくなるに従い保険料も多くなる。
ただし、所得額が43万円以下であれば、所得割が0円となり、均等割は7割減免された22,063円となるため、保険料は22,063円で一定となる。
確定申告戦略まとめ
4つの条件における税額控除額、国民健康保険料をグラフにする。
受け取った配当金(日本株、外国株)のすべて確定申告する場合(条件1)、税額控除額は一番大きいのだが、国民健康保険料と相殺されるため手元に残るお金はほとんど無くなる。
確定申告する所得総額が減るほど保険料低減の効果が大きく、税額控除との差額(手元に残るお金)が拡大していく。ただし、43万円以下では保険料は一定となるため差額(手元に残るお金)は再び縮小していく。
つまり、国民健康保険料7割減免基準である43万円以下ぎりぎりで確定申告するのが一番金銭的にメリットがあるという結果になる。
また、所得額(確定申告)を43万円以下とすることで、「住民税非課税世帯」の他のメリットも享受することができる。