小倉唯さんの全てのSNS投稿が止まってから、10日が経っています。
公式が「遅いお休み」と言っているのですから、活動再開を待つしかないのですが、心配です。
一方、ペッピーノさんは元気で働いてくれています。特段変わったことはありません。
というわけで、ブログタイトルに関連した話題は、更新したくてもネタがないので…
今回も「その他」の記事を。
世に出回る、デマや陰謀論、トンデモ情報とかニセ科学の類にはいろいろあります。
昔は流言飛語といって、人の口から口へと直接伝えられるものだった、そういう情報ですが…
今はインターネットが普及したせいで、さらに高速度で、たくさんの人に伝わってしまいます。
それで人々がパニックに陥ったり、暴力沙汰になったりという危険も、かつてに比べてずっと大きくなりました。
それにしても…
まともな情報よりもトンデモ情報やデマの方が、より広く早く伝わり、人々に強く信じられがちなのはなぜでしょう。
そういう悪質な情報には、より大衆を引き付ける魅力が、あらかじめ仕込まれているのか。
それとも大衆の方に、悪質な情報の方を、より受け入れやすい下地ができてしまっているのか。
その中でも、健康や安全に関わるデマやトンデモ話には、特に「千里を走る」力が強いようです。
生命に関わることは、人を不安に陥らせやすいからなんでしょうね。
みんな、コロッと信じたり、簡単に騙されたりごまかされたりする。
なかでも新型コロナに関する誤情報や陰謀論は、目に見えない、まだわからない所のあるウイルスが相手だけに…
特別に強力な力を発揮するようです。
反ワクとか、数年前のアビガン待望論とか、今のイベルメクチン信奉とか。
そうしたものは、医師免許を持っている人や、看護師など医療関係者にさえ信じる人が一定数いるくらいです。
医療関係者は、一般人からすると、全部が「専門家」のように見えちゃいますから…
そういう人が間違った認識を持ってしまった場合は、社会的な害が大きくなります。
また、マスメディアも、感染症やウイルスのことにあまり詳しくない医師を「専門家」として起用してしまったり。
たとえばテレビのニュースショーの、プロデューサーとかディレクターだって、しょせんはみんな「素人」だし…
なにより、センセーショナルな情報を流して「視聴率を取る」ことを第一に考えていますから…
依頼、打ち合わせの段階で、そういうことを言ってくれそうな人を選って起用します。
そうでなくても、他と違うこと、ショッキングなことを話す人ほどメディアに気に入られますから。
お金のために、あるいは名前を売るために、わざと極端なことを言う人も出て来ます。
または逆に、厚労省とかに睨まれない、穏便で都合のいいことだけを話す「御用学者」を使ったり。
いずれにしても、すべてのメディアが流す情報には、大なり小なり、何らかの偏り、バイアスがかかっているから…
どの角度から見ても全面的に正しい、パーフェクトな情報なんて、厳密に言うと存在しません。
だからあらかじめ、そのつもりで見たり聞いたりしないといけないのに…
一般の人は「テレビで言ってたから本当なんだ」と思ってしまう、クセがついているんですよね。
一方、マスコミでも扱わないような、よりショッキングな情報が、ネットの世界には転がっていて。
たまたま目にした情報が、その人の心の琴線みたいなものに触れてしまった場合…
「自分だけが知り得た真理!」
と思い込んで「信者」になってしまって、頑迷にこだわり、人に拡散するということもあります。
カルトにハマる人の多くが、心に不安や不満を抱えているのと同じに…
病気に関しては多くの人が不安を抱きますし、長く続くコロナ禍の不安や不自由さに、不満を募らせています。
カルト宗教にハマる人と非常に似た心理状態に、大衆全体が支配されているのですから…
妙な言説が出回るのも、それを信じてしまった人を翻意させるのが難しいのも、当然と言えば当然かもしれません。
かといって、政府や厚労省のいうことが、正しいというわけでもありません、たぶん。
なぜなら、彼らは極めて政治的な立場にある人たちで、科学よりも政治の論理で物を言ったり、決めたりするからです。
また、彼らはとても忙し過ぎますから、その事だけに専心している専門家ほど、勉強できていませんし。
「じゃあ何を信じればいいの?」と思うかもしれません。
これは、このブログで何度も繰り返し言って来ていることですが…
こうした物事に関しては、何かを、誰かを「信じる」という態度が、最初からもうダメです。
信じるというのは、信仰の世界です。
信仰を否定はしませんが、科学的に考えたほうが良い物事まで、信仰するやり方で考えたらダメだということ。
できるだけ多くの情報(データ)を偏らず集めて、それを冷静に分析して、考えて、やってみて…
その結果をまた評価して、修正して、ということを繰り返しながら、より正解に近いものを自分で見出す。
それが、科学的な態度です。
何かひとつのものを、頭から信じてしまうのも…
何かに凝り固まって、考え直さない、というのもやめましょう。
でも本当は人って、科学よりも信仰のほうに、より親和性が高くて、親しみを持つものなんですよね。
そうはいっても「科学的に考えよう」という意識があるのと、全くないのとでは、全然違ってきますから。
がんばりましょう。おたがいに。
ひとつだけ言っておくと。
新型コロナ治療のために、イベルメクチンを服用するのはやめた方がいい、と息子が話してました。
「あれは、家畜の寄生虫病の治療のための薬なんだから…
まあどうしても飲みたいというなら、馬の薬だと承知の上で、自分の責任で飲めばいいけど」と。
しかも一時期、新型コロナに効くといわれた量は、人間が虫下しとして飲む用量よりも相当多くなるそうで…
「いろんな種類の、深刻な副作用が心配されるレベル。死ぬ可能性もある」とのことです。
ちなみに、新型コロナに効くという研究報告には、データに重大な改竄や誤用が見つかったりなどで…
報告した研究機関が、その後、自説を撤回しています。
それにしても、アビガン、イベルメクチン、ゾコーバと、日本人のしろうとが飲みたがる薬は、一貫して…
「国産、もしくはそんなにおいがする」薬ですね。
農産物みたいな「国産神話」があるのか、それとも、単なる国粋主義なのかわかりませんが。
でもイベルメクチンは、抗寄生虫薬としての「元になる物質」を日本人の大村智氏が発見した、というだけで…
イベルメクチンそのものは、アメリカのメルク社が薬として開発し、製造したものですから。
使ったら、たぶん大村先生にもお金は入りますけれど、儲かるのは主にメルク社か…
その後ライセンスを買った会社です。
同じメルク社からは別に、新型コロナの薬として、ラゲブリオ(モルヌピラビル)というものが出ています。
この薬も、息子によると副作用や、使うにあたっての禁忌はあるらしいですけれど…
イベルメクチンなんか流用することに比べたら、確実に効くし、副作用という点でもはるかにましだとのこと。
イベルメクチン信者の人には、反ワクの人も多いようですけれど…
ワクチンの危険性(これもゼロではない)を恐れているのに…
もっと危険な、大量のイベルメクチンを服用することは平気、というのは…
薬学の専門家からすると、正気の沙汰ではない、ということだけは理解しておきたいですね。
ちなみに、かつて話題になったアビガンは、新型コロナには全く効果がないと分かりました。
もともとインフルエンザの治療薬として世に出たものの、副作用が深刻などで、ほとんど使われなかった薬。
ゾコーバは、塩野義が開発し承認を通した新型コロナの薬ですが、かなり「使い勝手が悪い」薬であるため…
医療現場ではあまり使われず、製造した分の10分の1以下しか使用されていないようです。
国が、200億円を投じて買い上げたそうですが、9割以上は無駄金になっているということですね。
やっぱり、もし経口治療薬を使うとしたら、多くの医師が採用しているように…
パキロビッドパック、ラゲブリオなどを服用するのがいいのでしょう。
いずれにしても、デマは真実よりも魅力的に聞こえるというのが、人間の性だということ。
気を付けましょう。
※以下、26日11:30追記
イベルメクチンは薬学博士の大村智氏が1974年に、静岡県のゴルフ場の土の中にいた放線菌の一種が出す物質、アベルメクチン(エバーメクチン)に抗寄生虫効果があるということを発見したのに端を発する薬です。
(この業績で大村博士は、41年後の2015年に、アメリカの共同研究者と一緒にノーベル医学生理学賞を受賞)
そのため、この薬を「自然のもの」つまり生薬の一種だと勘違いして、信奉している人もいるようです。
しかし薬としてのイベルメクチンは、土の中にいる放線菌を利用しているのではなく、アベルメクチンを化学的なプロセスで合成して製造しています。
なので、生薬の仲間ではなく、普通の西洋医学で用いられる合成薬と同じです。
人間の体には自然のものがいい、という考えでイベルメクチンを使用したがっている人は、この薬はそういうものではないということを知っておきましょう。
また、うちの息子が少し乱暴に「馬の薬」と言っていましたが、馬専用の薬ではなく、もともとは家畜やペットの「虫下し」として利用するため開発された薬です。馬のほかに、牛、犬などに使用されています。
さらに後年になって、アフリカ大陸特有の、ブヨに噛まれることで発症する風土病にも効果があることがわかり、メルク社が人間用の別名称の製品を作って無償提供し、年間約4万人が救われる結果になっています。
ただし、新型コロナに使用すると効果があると一時喧伝された容量は、アフリカで人間用に処方されているものの数倍の量で、ほぼ効果がないにも関わらず、深刻な副作用が懸念されます。