あしたのジョー心理学概論~矢吹 丈 その心の病~ PART42 | 心を和らげる相談室 HEART

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あしたのジョー心理学概論~矢吹 丈 その心の病~ PART42

 

誰からも愛されない葉子

 

葉子のボランティア活動は、

犯罪者などを強くいみ嫌ったうえでの反動形成の部分の他に、

葉子自身が常に周囲の人々から尊敬や賞賛を

集めようとしている傾向に着目して語ることができる。

 

葉子は、最後にジョーに告白することを除いては、

誰も愛さなかったし、誰からも愛されなかった。

そしていつも愛情に満ち足りていなかった。

 

祖父(白木幹之介)は、葉子を愛していたが、

孫としての彼女への愛情であって、

一人前の人格への愛情ではなかった。

 

そして、両親はついに彼女の生活に姿を現さない。

葉子は孤児であるジョー以上に、

両親という親密なコミュニケーションの対象を喪失したことに、

大きな不安と怒りを抱いている。

 

葉子は無条件で受容される愛情を知らないで育ったからこそ、

自分の居場所を作るために一方的な善意の仮面をかぶっての

不自然な演技を続けるのだ。

 

 

葉子は、アメリカの少年院内でのボクシング対抗試合の

具体例をもちだして、力石をけしかけて、

ジョーから受けた自分の私憤を晴らすように仕向けるなど、

周囲の人間を自分の目的のために利用する。

 

葉子は、自身も含めた人間関係を相互の目的達成のための

手段としてしか捉えていない。

 

そのためにジョーを愛し始めるや、

ジョーに有用であるように、ひとりよがりに動き回って、

お節介呼ばわりされるのだ。

 

 

慈善家、劇団長、実業家としての葉子は、

有能であり、多くの人達から尊敬され、賞賛された。

しかし、

ハイティーンの女性の多くが全人格を賭けて挑戦する、

「私とあなた」という実存的な関係の中での、

愛情をついに得ることはなかった。

 

 

 

 

では、本日はこの辺で失礼します。

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心を和らげる相談室 HEART   代表     杉野 茂広