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書評

【書評】「究極の鍛錬」読んでちょっと頑張ろうと思ったよ

手のケガがまだ完全には癒えておらず、キーボードも打ちにくいなど不便に過ごしております。

そんな中でも「拳腕立て伏せなら痛くない!!」と大発見をしまして、拳腕立て伏せ100回を日課にしております。なんというかまあ、我ながら成長したな、我ながらマゾっぷりがすごいなと思います。

思い返せば昔から自分を鍛えるのは好きだったように思います。

私RPGやパワプロなどの育成ゲームが好きなのですが、それはキャラクター自身の能力が経験や練習によって向上していくのが好きだったんだろーなーと自己分析しています。そりゃ筋トレハマるよなメンタルにもいいし。

そんな中今回読んだ本は「究極の鍛錬」。うーん、タイトルから格式高いマゾそうな雰囲気がします。

「1万時間の法則」はもう否定されまくってるけど……

私、ある程度は才能ってもんを信じている立場なんですよね。優生学的思想は好きではないですが、生まれ持ったモン(優れた遺伝子などを指す。家庭環境はこの場合度外視で)の影響はデカいと考えております。

前回、「ADHDの正体」という本の要約記事で、「ADHDは遺伝と考えられていたが、実際はちょっと違いそう」という内容の文章を書きました。

しかしそれでも、やっぱり「生まれ持ったモン」はあるだろう、強いだろうと思っておりました。

例えば、大谷翔平は193センチの恵まれた身体だから速球を投げることや打球を飛ばすことに有利、みたいな。

極端な例とはわかっていますが、私の如くなる卑屈なニヒリストはこういった例ですら頭に貼り付き「才能持ってる奴には勝てねンだわ」と不貞腐れる材料にしてしまいます。

昔、「1万時間の法則」というのが流行りました。「トッププロは例外なく1万時間訓練してる」というものです。

しかしこの法則は既に否定されまくっています(外部記事)。

「9999時間の訓練ではダメなの?」というトンチの効いてない批判に始まり、「もっと短い練習時間で習熟している人もいる」という反例を挙げることで。

「短い練習時間で達人になれる人がいるなら、やっぱり世の中才能じゃないか」、そう嘯きたくなりますが、しかしそれでも一個人にできることは頭と身体と時間をフルに使って頑張ることしかない。

「究極の鍛錬」はその指針となり得る本です。

「才能って過大評価されてるんじゃね?」説

この本、元のタイトルは「Talent Is Overrated」。「才能は過大評価されている」。

例えば天才的な作曲家として知られているモーツァルトは、35歳で短い生涯を終えるまでに数多くの名曲を残しました。

これを才能と言わずしてなんという、と言いたくなりますが、再考の余地があるとのこと。

彼は父親によって3歳からみっちりと音楽の英才教育を受けており、21歳で「ピアノ協奏曲第九番」を作曲するまでの18年の曲はパッとしないものでした。

実に18年もの間音楽の訓練をしてきたことになります

また、ハンガリーの教育心理学者ラズロー・ポルガーは、自身の「偉大な能力」を持つ人物に関する研究成果から、「自分でもそういう人物が作れる」と確信していました。

で、彼はそれを証明しようと、自分と結婚し子供を作ってくれる女性を公募しました。ブッ飛んでますね。

で、女性が見つかり、3人の女の子が生まれました。マジでブッ飛んでますね。

ラズローは自身の「偉大な能力を持つ人物は、後年偉業を成し遂げる分野で、若い頃から集中して励んできた」という説を証明するため、3人の子供にチェスをみっちりと教え込みました。

ラズローが平均的なチェスの腕前だったにも関わらず、3人共全員トップの成績を持つにいたり、長女に至っては最年少でグランドマスターになったとのこと。

このようにしてみると、遺伝子というより環境、というより訓練、練習、鍛錬が大事なのかなあって気になってきますね……

「究極の鍛錬」ってなに?

で、肝心の「何が究極の鍛錬足らしめるか」という条件ですが、このように定義されています。

  1. 実績向上のために特別に考案されている
  2. 何度も繰り返すことができる
  3. 結果へのフィードバックが継続的にある
  4. 精神的にはとてもつらい
  5. あまりおもしろくない

とのこと。

確かに頷けます。

私の趣味の楽器演奏に例えると、ダラダラとアニメを観ながらギターを手癖で掻き鳴らしているだけの時期は全く成長を感じませんでした。

この曲のこのテクニックをマスターする!(実績向上のため)」と決め、何度も小節を反復練習し(何度も繰り返す)、それを録音して聴いて(フィードバック)自分のヘタさに辟易しながら修正する(精神的につらい)、という過程をちゃんと辿ったときが一番ギターが上手くなった時期でしたが、これ、あんまりおもしろくなかったです(笑)

身近な例だと、文字は普段から書いていますが、「もっと字を上手く書こう」と思ったら自分がどんな字を書いてどのようになれば良いのか集中して分析しつつ練習する必要がある、という感じ。文字、適当に書いても高校生くらいから全く上手くなってる気配ないですもんね。

 

この本、ひたすら鍛錬の大切さを説いてきます。「一流と二流を分けるのが一人でこなす鍛錬」と書いてあり、身が引き締まる思いでした。

また、本書ではビジネス、音楽、チェス、スポーツなどでどのように訓練するか、訓練したら何が違うかを述べていましたが、

・音楽は決まったことをやるのだからなおさら入念な準備(鍛錬)の必要性が高いだろう

・ゲームの上達の方法もっと知りたいなあ

など、自分の好きな分野での向上心が湧いてきましたね。がんばろ。