アイドルになれないなら死にたい

東京ドブ川ストーリー

恋とUFOーVOL6.乙女失格

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恥の多い生涯を送ってきました。
私には今、恋する女の生活というものが、見当つかないのです。
祖母、母、叔母、姉と女系家族に生まれましたので、学生時代は男性と話すことすら、まともに目を合わせることすら、できませんでした。

とはいえ保育園時代に初恋は済ませてはいました。
同じクラスの「かずくん」、とは公認のカップルであり、赤いモールと白いビーズで作った指輪すら貰いました。
「かずくん」とはわけもわからずはやし立てられるままにみんなの前で、唇を突き出しチューをしていました。
人前でそういった行為をすることの恥ずかしさ、乙女の恥じらいというものを一切知りませんでした。

もし恥が借金だったら、雪だるま式に増えて、生涯で自己破産を4回くらいして、クレジットカードが作れずに、通販も代引きしか利用できずに、今頃手数料でさらなる借金地獄だったことでしょう…ああ恐ろしい。

つまり私には幼い頃から恥じらいがないまったくの乙女失格、
そして更に一重で胴長短足、中肉中背のなんのとっかかりもない容姿でしたから、
私は私のポジションを「笑い」に置くしかなかったのであります。

人間失格でいうところの「そこで考え出したのは、道化でした」です。
太宰治は小説の中で「道化は人間に対する最後の求愛」と言っていましたが
私にとって「道化は私に対する最後の救い」なのでした。

セロハンテープを鼻に貼り、研ナオコのモノマネをするコロッケのモノマネを祖母と叔母から教え込まれてきたくらいなので
道化に関しては、英才教育でした。

こうしておちゃらけ、恥という釉を自ら塗りたくり、
業火にさらされ、私という名の陶器が出来上がったのです。

骨董市で30円で売られているかもしれません。
リサイクルショップの隅の方でほこりをかぶって、変な置物に隠されているかもしれません。
廃墟と化した民家の軒先で水がめとして、夏はボウフラの温床となっているかもしれません。

そんな運命が待っているとわかっていたとしても、もう道化をやめることはできないのです。
そうです、今更なのです。
恥を晒し、恥を上塗りしてきたこの身、今更乙女になどなれやしないのです。

これからもEvernoteという蔵から恥を取り出しては上塗りしていくのです。
そうして私は恥でどんどん強くなっていくのです。
乙女失格万歳!恥万歳!