島津スピーカーの音作り(まとめ)

2023年09月16日 | 店舗・メディア・対外 情報

※ 写真は 島津Model-3(最終製品版)

 

 オーディオユニオンお茶の水店にて、来る9月18日に 島津Model-3 の試聴会(→ 詳細はこちらから)が行われます。10cm口径のDSS振動板を採用したModel-3の製品化完了という事で、当社にとっては一つの節目となりますので、試聴会にお見えになる方々へのご参考ということも含めて、今回のアップにて改めて島津スピーカーの音作りの特色と技術ポイントについてまとめさせていただきます。

 

 ご存知の通り、DSS振動板が当社のキーデバイスであり、「分割振動の本質排除」が特長です。では何故この事に拘るのか?

 ところで、分割振動を排除した非常に硬い振動板の音質は、凄い低音が出るとか、超高音域の伸びが凄いとか、そういった事を想像される方がおられるかも知れません。しかし、島津スピーカーの問題意識は異なります。音楽を愉しむ(音楽性を再現する)ために必要な本質的な音質要件とは何かという問いです。結論から申し上げると、以下のポイントに集約されます。

・ 生楽器、生声の実体感(或いは実在感)が明瞭である

・ 演奏表現の強弱、表情、深み、生き生き感を克明に再現する

・ コンサートホールの生々しい空間やステージ感が再現される

 

 ところで、スピーカーの約100年の歴史において、当初は再生音域が狭く、中音域しか記録、再生する事が出来ませんでした。しかし、その制約の中でも、如何に音楽(音楽性)を生々しく再現するのか、という問題意識による改善努力がなされ、様々な個性の名器スピーカーが登場しました。

 そしてその後、再生帯域の拡大の努力がなされ、現代では高音再生も低音再生も大幅に向上しました。がしかし、音楽性の再現は本当に向上しているのでしょうか? 「凄い低音」や「凄い高音」についての話題は多くても、中音域である「音楽性」については、なおざりな扱いになってしまってはいないでしょうか。島津スピーカーでは、この「音楽性」について、現代のスピーカーが何処かに置き去りにしてしまったのではないか、という問題提起をします。

 さてここで、振動板の分割振動問題を取り上げます。従来の(ドーム形を含む)コーン型振動板の最大の弱点は「釣鐘モード振動(※1)」と考えております。しかもこの問題は、従来の振動板では構造的に解決が不可能です。この振動は非常に低い周波数から発生しますので、3way、4wayといったマルチスピーカーシステムによって各スピーカーの受け持ち音域を狭くしたとしても解決しきれません。

 そして、島津スピーカーでは、この釣鐘モード振動の排除が「音楽性」の向上のためのブレークスルーである事を見出しました。即ち、釣鐘モード振動の変形に対して極めて強度の高いDSS振動板の登場と相成った次第です。

以上

※1. 「釣鐘モード振動」に大きな問題がある事についての解説は → こちらから

 

追伸

 来る試聴会では、上記の音質要件を実際に体感していただくべく、色々な音源を吟味してお持ちします。お楽しみに!

 

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