中学受験 社会の暗記が苦手な子必見。偏差値50にするには「感覚づくり」が大事

「社会」の指導・学習法

以前書いた、「社会の暗記」や「記憶力がいいとはどういうことか?」についての記事では、イメージを持たせてあげることの大切さについて説明いたしました。

今回は、「社会の暗記に苦手意識のあるお子様」向けに、暗記の方法をレクチャーいたします。社会の偏差値(四谷大塚)を50に乗せたい方には、特に参考になる記事かと思います。

(※ 関連記事はこちら→中学受験「くり返しやればできる」のウソ? 暗記が得意になる家庭学習の方法

社会の偏差値50にするための習慣とは?

会話の中で、「覚える」「忘れる」「思い出す」感覚をつくる

まず、暗記が苦手な子には、「覚える」「忘れる」「思い出す」という感覚を認識させてあげる必要があります。

私たちは、学生時代に何かを暗記することをしてきました。また、日常生活でも「ど忘れしちゃった!」などと言うことがあります。すなわち、「覚える」「忘れる」といった感覚は、大人の場合、成長過程でいつのまにか備わっているものなのです。

しかし、小5〜6で、社会の平均偏差値(四谷偏差値)が50未満の子の場合、これらの感覚に欠けていることもある、ということを知っておいてください。

社会の成績がふるわない子に、「昨日、学校で何を勉強したの?」「友達と何をして遊んだ?」という質問をすると、明確な答えが返ってこないことがあります。つまり、日常的な事柄すら、思い返す習慣がないのです。あるいは、本人の中で頭に何か記憶がぼんやり浮かんではいるが、上手く言語化できないのだと思います。

人は記憶したことを言葉にできて、初めて「覚えている」状態といえます。まずは、子どもにその感覚を植え付けさせてあげましょう。

「覚える」感覚が薄い子に対して、ご家庭でできる対策は次の通りです。塾の授業が終わった後、「今日はどんなことを習ったの?」と聞いてあげてください。「思い出す」「言語化する(覚える)」習慣づくりになります。

最初は上手く言語化できないかもしれません。その場合、「算数はなんの単元教わったの?」「国語の漢字テストはどうだった?」と答えやすい聞き方(具体的で細かい聞き方)にしてあげるのも良いでしょう。

塾の「小テスト」を活用する

塾の小テストも、「覚える」「忘れる」「思い出す」の感覚作りになります。

公立小学校のカラーテストは、多くの中学受験生にとっては簡単すぎます。授業内で繰り返し教わった平易な内容が、テストでは何の捻りもなくそのまま問われるので、わざわざ「暗記する」という作業を挟まずとも、即、正答できてしまいます。

が、中学受験塾の小テストの難易度の高さを考えると、まず意識して「暗記する」ことから始めなければいけません。そして、実際にテストを受けて「あ、この語句、練習では覚えていたつもりだけど、本当は忘れてたんだ」と自身の忘却を認識する。さらに採点答案と答えを見て「あー、そうそう。答えはこれだったじゃん!」と思い出す。そういう感覚づくりに、小テストはうってつけなのです。

余談ですが、映像授業やリスニング教材(←社会科でもこういうのがあります)といったEラーニングが、小学生にとって有用と言い難いのは、「覚える」「忘れる」「思い出す」という感覚がつくられず、ただ受け身でぼーっと聞くだけになりがちだからといえます。

また、よくありがちなパターンとして、小4のときは社会の小テストの点はそこまで悪くなかったのに、小5になりガクっと落ちる、という事例があります。

小4の段階では、小学校同様、何となく塾で授業を聞いても、自然と覚えられる内容も多いのです。しかし小5になると、覚えるべき内容が一気に増えて、内容が難化(抽象概念や、小学生では習わない漢字を使用した語句が増える)する。そこで「覚える」という作業が必要になるはずなのですが、小4の感覚のまま、無策でテストに挑んでしまう。そして、点数が取れなくなる、という流れです。

本来であれば、内容が平易な小4のうちに「自分なりの暗記の仕方」を掴むべきです。今、小4の方は、それが掴めるよう、ぜひがんばってください。

ですが、学習内容が難化し、ボリュームも増えた小5以降で、成績低迷に苦しんでいる場合、学習を全てお子さんだけに任せるのは難しいと思います。以下に書くような形で、親御様が暗記のお手伝いをすることをおすすめいたします。

子どもに向いている暗記方法を見極める

読書様は、学生時代、社会の暗記をどのようにやっていましたか?

「教科書を何周も読んだ」「声に出して読んだ」「何度も語句を書いた」「単語帳をつくった」「一問一答をひたすら解いた」・・・、人によって色々なやり方が挙がるのではないでしょうか?

また、忘れてしまったものを、どのタイミングで繰り返していましたか? 3日後なのか、7日後なのか? 覚える内容や量によっても変わるでしょうし、これも人それぞれです。

何がお子さんに向いている暗記方法なのかを、一緒に探ってあげてください。ただ「覚えなさい」「自分で試行錯誤してみなさい」とだけ伝えて放置するのは、ごく一部の超優秀な子を除いて通用しません。小学生が一人っきりでできることではないことを、どうかご理解ください。

また、ご自分が覚えやすいやり方=他の人も覚えやすいわけではないので、そこもご考慮いただく必要があります。特に大学受験の方法論は、小学生には通用しないことがほとんどです。

親子で一緒に勉強すると、共闘感が生まれ、子どもも「がんばろう!」と前向きな気持ちになれます。上手くいくことを祈っております。自分なりの覚え方が見つかり、覚えるリズムができてきたら、そのうち一人でもできるようになります。少しずつ手を放してみてください。

「感情の動き」を利用して暗記させる

他にも、子どもに暗記をさせる際のコツを書きます。それは、感情を大きく動かしてあげることです。

たとえば、みなさんも一週間前の昼食に何を食べたかなんて、とうに忘れてると思うのですが、10年以上前(10年未満の読者様もいるかもしれませんが)に、ご自身の結婚式で食べた食事の内容は忘れていないのではないでしょうか?

よく耳にする「社会は興味を持って勉強するのが大事」という一般論は、そういう脳の働きを根拠としているものと考えます。たしかに、学習内容を「面白い」と思わせることも、暗記をスムーズにするうえでは大事です。しかし、なかなかそう簡単にはいかない部分でもあります。子どもによっては、そもそも歴史や公民など難解に感じているものなので、「面白い」と感じてもらうようにするのは難しいのです。

とはいえ、感情が動けばなんでもいいとも思います。面白さを追究するのではなく、「感心させる」とか「怖がらせる」とか、そういった方向で感情を動かしてあげて、インパクトを与えることも大切なのだ、と思います。たとえば、戦時中のリアルな惨状を知っていたら、「国家総動員法」という言葉を忘れることも少ないと思うのです。

あとは、「危機意識」という感情も大事です。今までの教え子でも、全然暗記ができなかったのに、1月入試を終えて、2/1の入試が現実的なものになってくると、今まで学習姿勢はなんだったんだ……、というくらい、どんどん覚えられるようになる。そんな子が多々いました。

ですので、たまには「これはさすがに覚えておかないとやばいね!」「去年、◯◯中に受かった子はもうこれを覚えてたぞ」みたいな、危機意識を煽る声かけもありなのです。ただ、こういった声かけは保護者様がやると、必ずお子さんと衝突します。この役目は、塾や家庭教師の先生に任せましょう。


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