日々是雑感

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デリシャスパーティー プリキュア総括

2023-01-29 21:55:19 | アニメ

初見の印象

1話を見ての印象としては「あれっ、これプリキュア以外の女の子向けといわれているコンテンツからの影響を受けまくってないか?」って事だった。私はそれを「パクリ」という言葉をもって糾弾したいわけじゃない。それらのコンテンツもまたプリキュアからの影響を受けているだろうし、そこから生じる「トレンド」を生かしていく事自体は責めるべき事ではないだろう。それをどう自分たちのものにしていくかだ。最初の頃はそれがうまく働いているように見えた。だがまさに最悪のタイミングで例の事件は起こった。

不正アクセス事件

不正アクセスによる5週間の放送中断、その影響がどこまであったのかという本当の所はわからない。ただそこを機に物語のバランスが崩れてしまったと感じたのは確かだ。「それは最初に説明しておかなきゃダメなんじゃね?」とか「もうちょっと人間関係を醸成させてからこのエピソードをやればもっといい効果をもたらすのに」とか「今更それを言い出すの?」とかどうもお話としてちぐはぐな面が目立つようになった。そしてその影響を攻めの象徴ともいうべきブラックペッパーとキュアフィナーレがもろにかぶってしまった。

キュアフィナーレとブラックペッパー

敵だったジェントルーが光堕ちしてキュアフィナーレになるという展開をするためには菓彩あまねという人物がどのような人物であるかを早い段階で提示し、物語に深くかかわらせるべきだった。だがそこを完全な準備不足、描写不足のまま投入せざるを得なかった。投入時期をずらすことができなかった事情があったであろうことは推察できるが、そこら辺が足を引っ張ってしまった感は否めない。

ブラックペッパー=品田拓海に関してはキュアフィナーレ同様の準備不足という側面はあった。だがそれ以上にブラックペッパーという存在をどういう位置に置くのかという作り手側の明確なビジョンを感じなかった。ある時は「いつものみんな」のように仲間に加わったかと思えば、別なエピソードではまるでいないかのごとく扱われる。物語の軸の一端に関わるべきキャラクターでもあるのに、その場に参加する事もかなわない。結局最後まで「トレンド」と「プリキュアとしての在り様」、そして「タキシード仮面の幻影」のはざまでいささか中途半端な立ち位置になってしまった。物語の最初から最終決戦までプリキュアと共に戦いの場に立ち続けたローズマリーとは対照的に。

まとめ

このブラックペッパーをはじめとして「デリシャスパーティー プリキュア」という作品はプリキュアというシリーズとして相当攻めていたのは間違いない。その攻める過程において様々な事をやろうとしていたのも感じる。それ故にそのすべてを中途半端に背負ってしまったのではというのが正直な感想。もし本来の予定通りだったらどれくらいの事ができたのかというのは確認のしようがないが、5週の放送休止が無ければと惜しむ気持ちに間違いはない。

「攻める姿勢は評価したいし、同情すべき点もあるが不十分だった」というのが総括になるかな。次回からは「ひろがるスカイ! プリキュア」。前情報を見た感じでは「女の子向けのヒーローもの」という本来プリキュアというシリーズが目指すべき王道に純粋に立ち返ろうという気概を感じた。それがどこへ向かうのか少し距離を置いて見守りたいと思う。


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