積読本だった “Never Let Me Go”(「わたしを離さないで」)を読み終えられたので、調子に乗って、カズオ・イシグロの新しい作品:“Klara and the Sun”(邦訳題名:「クララとお日さま」)を読み始めました。
今回は本のサイズも大きく、字も目に優しい大きさで、オーディブルの助けは必要なさそうです。
パート2まで読み終えたところですが、ページ数では3分の1くらいは読み進んだところでしょうか。
「わたしを離さないで」に比べると、それほどネタバレを気にせずレビューが書けそうな本です。
まだ結末を知らない読みかけの段階ですが、感想を書いてみることにします。
主人公のクララは、人工知能を備えた少女(Girl AF)です。この世界では、多くの子どもたちが、「人工友だち」(Artificial Friend = AF)とともに暮らしています。
物語は、クララたちAFが、自分たちを気に入って引き取ってくれる家族が来るのを、ストアで待っているところから始まります。ある種、ペットショップに近いものがあるかもしれません。しかし、AFは子どもの友だちとなるために開発され、人間に似た知能を持っているので、状況はもっと複雑です。
クララの前には、彼女を気に入ってくれる少女が現れます。
その少女は病弱で、またその母親は、厳しく、非常に気難しい人でした。
少女は、クララを迎えに来ると約束しますが、いつまで経ってもストアに戻ってきません。
そんな中、クララにとって難しい事態が起こります。。。
読んでいる間、何か悪いことが起きそうな不吉な予感が漂いつづけます。
これからどういう辛い出来事が起きるのかわかりませんが、「わたしを離さないで」というとても残酷で悲しい物語を書いた作者ですから、相当覚悟が必要かもしれません。
FT(フィナンシャルタイムズ)の書評です:
“It is innocence that forms Ishiguro’s major subject, explored in novels at once familiar and strange, which only gradually display their true and devastating significance.”
(イシグロ作品の主要なテーマをかたち作っているのは、イノセンス(無垢・純真)である。その物語は、身近であると同時に風変りで、そしていつもゆっくりと、その本当の衝撃的な意味を明かしていく)
確かに、「わたしを離さないで」のヘールシャムの子どもたち、「忘れられた巨人」の主人公の老夫婦、みな「イノセント」な存在です。しかし、物語の最後には、最初の印象とはまったく異なる姿を見せている・・・FTの書評、さすがですね(笑)。
そしてこの小説の主人公であるクララは、物語の最後にはいったいどのような姿を見せているのか。
これは気になって仕方がありません。
ところで、この世界のAFは、太陽光線から養分を摂って活動しているようです(エコロジーでとても良い)。
そして、クララは「お日さまは人間を救う存在なのだ」と、無邪気(イノセント)に信じており、「クララとお日さま」というタイトル通り、太陽はこの小説の中で特別な存在です。
果たしてお日さまは、クララたちを救ってくれるのでしょうか・・・
本の装丁も凝っており、窓から太陽が顔をのぞかせているような表紙が面白いですね。
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今日もお読みいただき、ありがとうございました。