相続登記で戸籍が廃棄されているときは廃棄証明書を添付

2022年5月7日土曜日

相続登記 添付書類

要旨

相続による所有権の移転の登記の申請において、除籍謄本または改製原戸籍の一部が滅失などしていることから、その謄本を提供することができないときは、戸籍および残存する除籍等の謄本に加え、除籍等の滅失等により「除籍等の謄本を交付することができない」旨の市町村長の証明書が提供されていれば、相続登記をして差し支えない。

(平成280311日民二219)



相続した不動産の名義変更をする登記のことを相続登記といいます。

相続登記には、亡くなった方の出生から亡くなるまでの戸籍謄本すべてと、相続人全員の現在の戸籍謄本が必要になります。
 


 


戸籍の情報は現在ではコンピューターにデータで保存されていますが、コンピューター化される前は紙に記載されていました。

 

なので、戦争や災害などで戸籍が消滅して存在しない場合があります。

 

その場合には、物理的に戸籍謄本を添付することはできず、相続人を完全に確定することができません。

 

しかし戸籍謄本を添付できないからといって相続登記できなくなるというのは問題があります。戸籍謄本に代わる書面で、相続人を推測して登記するしかありません。

 

そこで、単独で相続する人が作成した「一切の責任をもつ」旨の差入書を添付して登記申請することは許されず、戸籍が消失している旨の市区町村長の証明書が必要になります。




単独で相続する人が作成した「一切の責任をもつ」旨の差入書には、客観的な証拠能力はありませんし、戸籍が消失している場合は、市区町村長がその旨の証明書を発行してくれるからです。


以前は、戸籍が消失している旨の市区町村長の証明書に加えて、「他に相続人はない」旨の相続人全員の証明書が必要でした(昭和440303日民事甲373)。

 

しかし、先例の取り扱いが変更されて、「他に相続人はない」旨の相続人全員の証明書は不要となりました。



今回は以上です。

 

ここまでお読みいただきありがとうございます。