仮登記を命ずる処分があった場合、職権で所有権保存登記されない

2022年5月11日水曜日

仮登記 所有権保存

要旨

未登記不動産について、所有権移転登記の仮登記仮処分命令に基づく仮登記申請があった場合は、仮登記権利者から仮処分命令正本を添付して保存登記を申請すべきで、職権で保存登記はすべきではない

(昭和350907日民事甲2221)

 

所有権の登記がない不動産について、処分の制限の登記がされた場合、登記官が職権で所有権保存の登記をします(不動産登記法76条2項)。

 

処分の制限の登記とは、たとえば次のような登記などです。

  • 差押えの登記(民事執行法47条3項)
  • 仮差押えの登記(民事保全法47条3項)
  • 仮処分の登記(民事保全法53条3項)
  • 破産手続開始の登記(破産法258条)


しかし、所有権移転の仮登記を命ずる処分(不動産登記法108条)がされた場合には、職権で所有権保存登記がされることはありません。この場合は、仮登記権利者が仮処分命令正本を添付して所有権保存登記を申請すべきです。

 

仮登記を命ずる処分とは、何らかの理由で仮登記義務者が登記に協力しない場合に、仮登記権利者の申立てにより裁判所が命ずる処分です。仮登記を命ずる処分があったときは、仮登記権利者は単独で登記申請することができます。


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