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資格・講座

介護職員初任者研修と教育訓練給付金の受給条件、ハローワークでの支給申請手続き

教育訓練給付金は雇用保険給付としてハローワークから支給される給付金です。受給資格を満たした人は介護職員初任者研修を修了すると、ハローワークで給付金の支給申請手続きをすることができます。

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1.介護職員初任者研修と教育訓練給付金

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、介護の未経験者が基本的な知識と技術を身につけて、基本的な介護業務を行うことができるようにすることを目的し、各都道府県が主体となって実施する公的な研修です。

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介護職員初任者研修は介護保険制度に関係する公的職業資格であり、教育訓練給付制度の対象です。

一般教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金

雇用保険の教育訓練給付金には一般、特定一般、専門実践の3種類がありますが、このうち介護職員初任者研修で支給可能な給付金は一般教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金です。一般教育訓練給付金は給付対象である講習費用の20%で、支給額の上限は10万円までです。特定一般教育訓練給付金の場合は40%で上限20万円までとなります。

ただし、すべての介護職員初任者研修で給付金が支給されるのではなく、厚生労働大臣の「教育訓練給付対象講座」の指定を受けた研修のみが対象となります。指定を受けるには研修事業者が厚生労働省に対して申請をしなければなりませんが、すべての講座がその申請を行っているとは限りません。そのため、希望する研修が厚生労働大臣指定の教育訓練に指定されているかを、申し込みをする前に確認しておく必要があります。

ハローワークで申請すること

教育訓練給付金は講座の割引特典ではありません。また、介護員養成研修事業者(教育訓練施設)から返金されるものではありません。

まず、受講申し込みをする際にはその料金を全額(100%)支払います。このとき教育訓練給付金に相当する額を差し引いて支払ってはいけません。全額支払わなければ受講することができません。そして、介護職員初任者研修を修了した後で、ハローワークに行って支給申請すると給付されます(ハローワークで給付金の振込先口座を届け出る)。

注:授業料は研修事業者に全額支払いますが、教育訓練給付金はハローワークから振り込まれます。

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2.教育訓練給付金の受給条件

一般教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金では、受給資格(受給する条件)は同じです。

教育訓練給付金は雇用保険給付なので、雇用保険に一定期間加入していた被保険者または離職者だけが受給することができます。まったく働いたことが無く雇用保険に加入したことが無ければ対象外です。

教育訓練給付対象者

教育訓練給付対象者とは、受講開始日の時点で、職場で勤務していて雇用保険に加入している人(在職者)または会社を1年以内に離職した離職者のことをいいます(雇用保険法第60条の2第1項)。離職後、1年超経過している場合は対象外です。

教育訓練給付対象者

  • 在職者:雇用保険に加入している一般被保険者または高年齢被保険者
  • 離職者:一般被保険者または高年齢被保険者でなくなってから1年以内

介護職員初任者研修は土日コースや週1回コースなどがありますから、在職者は働きながら受講することができます。また、介護施設で働きながら研修を受ける方法もあります。なお、離職後1年以内の「1年」は延長することができます(適用対象期間の延長)。適用対象期間の延長について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

支給要件期間と受給制限

前述の教育訓練給付対象者が支給要件期間1年以上を満たしたときに教育訓練給付金が支給されます。この「支給要件期間」とは受講開始日までに雇用保険に加入していた期間のことです。要するに雇用保険に1年間加入していればよいです。転職した場合は転職前の期間も通算することができます。

なお、過去に教育訓練給付金の支給を受けたことがある場合は、その教育訓練の受講開始日以降の支給要件期間が3年以上で、かつ支給決定日から3年経過している必要があります。なお、雇用保険の基本手当や傷病手当の支給を受けていても無関係です。

研修事業者には分からない

教育訓練給付対象者で支給要件期間を満たしている人でなければ、教育訓練を申し込んではいけません。

ところで、雇用保険の加入手続きは事業主がハローワークで行うため、雇用保険の加入実績はハローワークしか把握していません。研修事業者(教育訓練施設)側では申し込みをしようとしている人が本当に受給資格者かどうかを判断することができません。また、個人情報であるため研修事業者からハローワークに問い合わせすることもできません。

そのため、実際には、受給資格が無いにもかかわらず、教育訓練給付対象の初任者研修を申し込むことは可能です。しかし、それを受講しても教育訓練給付金の支給を受けることができません。この場合、教習料金は全額自己負担になります。

注:教育訓練の受講申し込みができたとしても、研修事業者が教育訓練給付の受給を保証したことにはなりません(保証するのは不可能)。

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3.修了認定を受けること

教育訓練の修了について

教育訓練給付金は「厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合」に支給されます。具体的には、教育訓練施設があらかじめ設定した「修了認定基準」を満たし、研修事業者(教育訓練施設)が修了証明書を発行することによって修了を証明した場合に限り支給されます。「修了」と認定されなければ給付金は支給されません。

介護職員初任者研修の場合、厚生労働省の通達により修了の要件が定められており、その要件を満たした場合に修了と認定されます。

参考法令
介護員養成研修の取扱細則について(平成24年3月28日厚生労働省老健局振興課長通知・老振発0328第9号)(抜粋)  13.修了証の発行 修了証は、「9.こころとからだのしくみと生活支援技術」の中で、介護技術の習得が講師により評価され、かつ修了評価の結果が所定の水準を超えるものであることが確認された受講者に対して発行するものとする。

全部出席する義務がある

介護職員初任者研修の研修科目と研修時間数は細かく定められており、合計で130時間の講義と演習を受講する義務があります。いっぱんに教育訓練給付の対象となる出席率は70%や80%でよいとされていますが、介護職員初任者研修の場合は全部の科目(10科目)について定められた研修時間数の履修義務があるので、原則として「出席率100%」でなければなりません。

研修事業者によっては欠席した時間の補講または振り替え授業を認める場合があります(申し込み前に確認しておいたほうが良い)。また、通学の時間を規定よりも多めに設定して出席率80%をクリアすればよいとする場合もあります。いずれにしても全部の研修科目の履修と130時間以上の受講は絶対にクリアしなければなりません。

注:補講、振り替え授業、レポートの再添削、修了認定の追試験などにより追加料金が発生した場合、追加で支払った費用は教育訓練給付金の対象外です。

修了試験などの合格

通信学習の提出課題(筆記)がある場合は合格するまで再提出を繰り返し、すべての課題をクリアしなければなりません。

さらに、介護職員初任者研修の場合、実技と修了試験の合格が必要です。担当講師により介護技術(実技)を十分に習得したものと認められなければ、修了試験を受けることはできません。

介護職員初任者研修の修了条件

  • 実技:「こころとからだのしくみと生活支援技術」で介護技術の習得が講師により評価されること(介護技術を適用する各手順のチェックリスト形式などによる評価)
  • 修了試験:1時間程度の筆記試験を実施しその結果が所定の水準を超えること

修了試験は全国統一のものではなく、厚生労働省が定める「修了時の評価ポイント」に基づいて各研修事業者が作成するので、その難易度は各研修事業者によって異なり、合格とする得点率も異なります(得点率70%以上や60%以上が多い)。不合格だった場合は到達目標に達するように補講や追試験を実施しますが、それでも成績不良であれば修了証は交付されません。

修了試験の基準の例

  • 修了試験の得点率70%以上
  • 修了試験の得点率60%以上
  • 優、良、可、不可の可以上
  • レポート得点率70%以上、修了試験の得点率75%以上

授業料の割引ではない

教育訓練給付金は「当該教育訓練を修了した場合」に支給されるもので、受講の申し込みをしただけで返金されるものではありません。修了条件をクリアできなかった場合の授業料は全額自己負担となります。

4.受講から給付金申請までの流れ

実習は少人数のグループワークで行われるため、定員が少なくなっています。申し込みが早めに締め切りとなる場合がありますのでご注意ください。

指定講座を探す

厚生労働大臣の指定を受けた介護職員初任者研修を検索するには、厚生労働省の指定教育訓練講座検索システムを使います。支給申請には各講座の「指定番号」が必要です。

2023年(令和5年)4月1日現在で、教育訓練給付対象の介護職員初任者研修を実施している教育訓練施設は次のとおりです。この一覧には初任者研修の直後に実務者研修を行うセット講座も含まれています。都道府県は本社の所在地であり、各地に教室を持つ教育訓練施設もあります。なお、この一覧表は当サイトが研究および分析のために独自に取得したデータであり、内容は一切保証しません。

支給要件照会

教育訓練給付金が支給されるかどうかはハローワークにしか分からないのですから、念のためハローワークに行ってその確認(支給要件照会)をしておきましょう。

ハローワークに「教育訓練給付金支給要件照会票」を提出すると、すぐに調べて回答してくれます。このとき、受講する予定の介護職員初任者研修が厚生労働大臣の有効な指定を受けた講座かどうかも調べてくれますから、検索システムでその介護職員初任者研修の「指定番号」も調べておくとよいでしょう。

支給要件照会で回答してくれること

  • 自分が受講開始日の時点で受給資格者かどうか
  • 申し込み予定の研修が厚生労働大臣指定講座かどうか
  • その教育訓練が「一般」か「特定一般」か

受講申し込み

支給要件照会をするとハローワークから「教育訓練給付金支給要件回答書」が交付されます。

一般教育訓練の場合、一般教育訓練給付金の制度を利用することを伝えて、支給要件回答書を添えて申し込みをします。なお、支給要件回答書を添付しなくても教育訓練給付の対象となりますので、申し込みの際に支給要件回答書の提出を求められていない場合は、支給要件回答書を添付しなくても良いです。

特定一般教育訓練の場合は、受講開始1か月前までに訓練前コンサルティングと受給資格確認手続きなどの事前手続きが必要です。事前手続きにより「教育訓練給付金(特定一般教育訓練)受給資格確認通知書」が交付されますからこれを提出します。

講習費用の支払い

申し込み時には教習費用を全額(100%)支払います。教育訓練給付金は修了を認定された場合に、ハローワークから支給されるものですから、給付金相当額を差し引いて申し込んではいけません。

申し込みは本人名義で申し込みをし、全額本人名義で支払いをしなければなりません。本人名義でない申し込みや、本人名義でない支払いは不可です。家族や勤務先の名義は不可です。クレジットカード払いの場合は本人名義のカード、銀行振り込みの場合は本人名義の振り込み、ローンを組む場合も本人がローン契約をしなければなりません。

受講、修了認定

介護職員初任者研修の130時間のうち通信教育により学習できる時間は40.5時間以内と定められているため、残りの時間については必ず通学(スクーリング)となります。

1回平均5~6時間の実習を行うものとして16日前後の出席が必須となります。週1回の通学なら約4か月、週4回の通学なら約1か月かかる計算となります。ただし、実際には、入校式とオリエンテーション、介護施設の見学、修了試験などの授業以外の時間もあるため、毎日通学で最短1か月、週1回通学で最長6か月程度で修了となります。

所定の出席率を満たすとともに、授業中または訓練期間終了後に行われる修了試験等に合格して、教育訓練施設に「修了」を認定されると「教育訓練修了証明書」と「領収書」が交付されます(これらはハローワークに提出する書類です)。修了できなかった場合は給付金が支給されません。また、支払った授業料は返還されません。

卒業後に「教育訓練給付指定講座修了者アンケート」へ回答します。このアンケートは集計して研修事業者が厚生労働省へ報告することが義務付けられています。

給付金の支給申請

教育訓練給付金の支給申請手続きは、修了後1か月以内に本人の住所を管轄するハローワークに「教育訓練給付金支給申請書」を提出することによって行います。支給申請書には研修事業者が発行した「教育訓練修了証明書」「領収書」を添付します。

支給申請の際、給付金の振込先口座を届け出ます。支給決定後7日以内に指定口座に振り込まれます。

5.その他の注意点

途中で終了した場合

教育訓練給付金は修了試験に合格した場合に支給されるので、途中で終了した場合は支給されません。やむを得ない理由により途中で終了することになっても支給されません。その場合であってもすでに支払った講習費用は返還されず、全額自己負担となります。

キャンペーンを利用する場合

教育訓練給付金対象講座と独自の割引制度を併用することは可能です。キャンペーン等の特典を利用して割引を受けた場合は割引後の価格が教育訓練経費となります。また、一定の条件を満たした場合に受講料を全額返金することが予定されている制度を利用した場合、教育訓練給付金の対象外です。

6.教育訓練給付金以外の制度について

教育訓練給付金以外の制度を利用した場合は、原則として教育訓練給付制度と併用することはできませんのでご注意ください。

職業訓練、求職者支援訓練

ハローワークでは失業者(求職者)向けの職業訓練を実施しています。テキスト代とその他実費は自己負担ですが、受講料は無料となります。ただし、介護職員初任者研修は人気で高倍率のため、必ず受講できるとは限りません。

また、雇用保険に加入したことが無く、または無職の期間が長かったために教育訓練給付金の受給資格がない場合、求職者支援制度により月10万円の職業訓練受講手当や通所手当、寄宿手当が支給される場合があります。

地方自治体が行う受講費助成金

地方自治体(都道府県または市区町村)が地元の介護職員の人材を確保するため、介護職員初任者研修を終了した人に対して受講料の全部または一部を補助する「受講費助成金」の制度があります。制度の内容は自治体によって異なります。ただし、その自治体の住民で、その自治体の区域内にある介護事業者に就職を希望する人または就業中の介護職員に限られます。
助成金は、本人が受講料を負担したときに本人に支給される場合、事業主が受講料を負担したときに補助される場合、研修事業者に支給され受講料が無料となる場合などがあります。

ひとり親家庭自立支援給付金

ひとり親家庭(母子家庭の母または父子家庭の父)の場合、事前に都道府県または市区町村役場(福祉事務所、福祉担当部署)の窓口で相談をしてから介護職員初任者研修を受講し修了した場合、教育訓練経費の60%が支給されることがあります。

短期訓練受講費

教育訓練給付金の受給資格がない場合で、事前にハローワークで受講指導を受けてから介護職員初任者研修を受講し修了した場合、支払った受講費用等の20%が支給されることがあります。ただし、1か月以内で修了するものに限られます。

7.補足説明

生活援助従事者研修、介護に関する入門的研修

生活援助従事者研修(旧ヘルパー3級)、介護に関する入門的研修について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。