2022年6月29日水曜日

医師のキャリア形成

 

医師は医学部を卒業して国家試験に合格し、臨床研修医になった瞬間から医師としてのキャリア形成が始まります。ここでいうキャリアとは臨床として経験を積んでいくことを指し、研究・学位取得などのアカデミックキャリアのことではありません。

まず医師になって5年間は通常研修医・専攻医として臨床医としての研鑽を積むことになります。ここで大事なことはたくさんの症例を診て臨床感覚を鋭くしていくこと。通常は何にもできない新人バイトみたいな立場で病棟に置かれるので、指導医や先輩看護師、時には事務スタッフなどに求められることをひたすらこなすことで、徐々にできることが増えていく時期です。時には自分の担当患者以外の症例にも興味を持って、他の担当医のやり方や、時には失敗事例を自分に置き換えて疑似体験をすることも必要です。

いろいろとできることが増えていくと、自分が日々診療をしていく中で「これは楽しいぞ」と思うことが自然と出てきます。それが将来的な自分の専門性につながればいいし、そうでなくても自分の得意領域が見えてくる瞬間でもあり、同時に仕事のやりがいにもつながっていきます。

 まずは周囲から求められることを全力でやり、なるべくできることを増やしてていくこと、その中で自分が本当にやりたいことを見つけていけるのが理想の医師としてのキャリア形成だと思います。


2022年6月22日水曜日

寝起きはすこぶる良い

 

もともと眠りが浅い体質からなのか、夜間の電話呼び出しが常時あるからなのか、夜中であっても物音にすぐに反応できます。夜間の地震にはほぼ気付くし、携帯の呼び出し音は2コール目には出る(携帯を取り落として出られなくなることはあるけど)。

「え、先生起きてたんですか?」と電話越しに言われるくらい普通に電話に出るので相手はびっくりするらしいです。まあ、あくまでも返事をはっきりしているだけで頭が前覚醒しているわけではないので、話の前半の内容が理解できず、もう一度聞き直してしまうことはあるんですが。

でも目覚まし時計に全く反応しない、起こしても返事だけで起きてこない私以外の家族の面々をみると、私のこの寝起きの良さは医者向きといえるのかもしれない。

以前当直中に電話に出ないので当直室まで心配して見に行った看護師が、いびきをかいて爆睡している医師を見つけて憤慨した、という話も聞くので、それよりはましなのかな。

でもこれからさらに歳をとってさらに熟睡感のない睡眠の日々になることは若干の心配材料ではあります。


2022年6月15日水曜日

消化器外科医になったきっかけ

 

「どうして外科医になろうと思ったのですか?」と時々聞かれます。

質問の相手が医療者と非医療者では多少答え方は変わってきますが、基本的には

「手術という治療手段をつかって患者さんの病気やケガを治すのは、外科医にしかできないから」

 

といった答えをしています。

学生時代に様々な科で実習をしてみて、手術が業務に入っている診療科は診断より治療に診療の重心があり、自分に合っている気がしました。

 

特に消化器外科では消化管を吻合する手技に非常に興味をそそられ、腸を縫って寄せておくだけでつながるんだ、と感激した記憶があります。

 

消化器外科医になって20年以上になりますが、この診療科を選んで後悔したことは一度もありません。

しんどいなあ、と思ったことは数えきらないほどありましたけど。

今でも時々・・・。

2022年6月7日火曜日

他人を攻撃しがちな人は自信がない?

 

他人の失敗や能力を非難し攻撃しがちな人はどこの組織にもいます。はたから見ると自分のことを棚に上げて相手を責め立てているような方もいます。


冷静に見るとそのような方に共通するのは、

 「自分自身の能力や人格に自信を持てていない」

ことが多いように感じます。


自分が指摘されたくないこと、攻められたら困ることがあるばかりに、先に周囲の人の欠点などをみつけ指摘することで自分が指摘されたくないことを隠しているのかもしれません。

精神的に余裕がない上司ほどパワハラをしがちなのも致し方ないのかもしれませんが、そのような人から責められるのはやりきれないし、こちらのメンタルも辛くなります。


せめてそういう人に対しては

 「他人を攻撃してないと自分がやられるから、こんな行動をとるんだな」

と思って自分を守るしかないのかとも思います。

あなたのその指摘はこのような理由で理不尽で的外れです、と言ってあげたいけどやっぱり無理だし、余計疲れてしまいますよね。


2022年6月1日水曜日

心が疲れている時は

心が疲れてるなーって時があります。ストレスが多かったり、不安なことが重なったり、大人なら少なからずそういった時はありますよね。

そんなときはなるべく大事な決断をしないことにしています。

無理して決めなくてもいいことを判断するだけの余裕はないし、あとで後悔することでまた疲れてしまうので。

頭をぼーっとさせて、思考の流れるままに漂わせておきます。

そんな時間がない時はなるべくルーチンワークだけですむように、そして機械的にこなせることだけですむようにするといいかもしれません。

ストレス発散と称して辛い時に身体を動かしたり、お酒を飲むことも控えるようにしています。

何もしたくなければないもしなければいいんです。

そうはいってもそんな時間を作ることが出来ないから疲れちゃんうんですけどね。


2022年5月25日水曜日

外科医という仕事

外科医という仕事はいろいろな業務で成り立っています。一般的に言われるのは「手術」を仕事の中心に据えた業務ですが、私自身は内視鏡もやるし、当然外来診療も病棟業務も、少し前までは(うちは人手不足の中規模病院なので)お手伝いで、手の足りない内科外来のお手伝いもしていました。

手術という侵襲を伴う治療を行う以上、患者の術前術後管理は厳密にやらないと大きく結果に影響するし、患者さんやご家族からの信頼を得るためには多くの準備と配慮を要します。さらに多くのスタッフをまとめ、情報を共有し方針を立てていくためのエネルギーも不可欠。それ故に大変でもあるのですが、それがあることで同時にやりがいも得られ、いままで続けてこられたのも確かだと思います。

もはや「王様」然とした外科医が診療を一人で回していくことは現代の医療では不可能であり、外科医はオーケストラでいえば指揮者であり、時にはソロアーティストであり、舞台監督もやりつつ公演のプロデューサーもこなすマルチプレーヤーでなければいけないのかもしれません。

当然人間性も問われることは必定、ですよね。

2022年5月18日水曜日

病院に最初に会話する事務スタッフとのやりとりで大切なことを教えます

 

もしみなさんが病院やクリニックを初めて訪問した場合、その医療機関で最初に会う人は医師でも看護師でもなく、受付などの事務スタッフになると思います。保険証の確認から問診表の記載方法説明など、誰でも経験があるのではないでしょうか。

事務スタッフも医療従事者ですので、相応のトレーニングを受け、患者さんの状態を把握し、医師・看護師に情報を伝達する大事な役目を担っています。

でも最初に会う事務スタッフにどのように対応してもらうかで、大きくその医療機関の印象は変わってきますよね。

受診する側の気持ちとしては、最初に会った人に全部お話しすれば医師まで情報が通じてあとは適切に処理してくれると思いがちですが、なかなかそうはなりません。ですから、はじめから全部伝えたいことをぶつけるのではなく、要点を絞って、「どういう症状が、いつから、どのように出現しているか、何が今心配なのか」を整理して伝えることをおすすめします。

事務スタッフはいろいろお話を伺いますが、治療方針や医師がどのような判断を下す可能性があるかを事前に説明することはできませんし、してはいけないと指導されています。

つまり最初に医療機関で対応してくれる事務スタッフには、要点を簡潔に伝え、最終的に医師が診断や治療方針の判断を下す際に必要な細かい情報は診察時に分かるようにお話しする方が良いと思います。

そうじゃないと「さっき受付の人に言ったのに、また同じ話をしなくちゃいけないの?」ということになってしまいますので。

医師のキャリア形成

  医師は医学部を卒業して国家試験に合格し、臨床研修医になった瞬間から医師としてのキャリア形成が始まります。ここでいうキャリアとは臨床として経験を積んでいくことを指し、研究・学位取得などのアカデミックキャリアのことではありません。 まず医師になって 5 年間は通常研修医・専攻...