「心理的安全性」とは何なのか?論文やGoogleのデータもご紹介

人間関係/コミュニケーション

リーダーとボスの違いは何かと問われれば、リーダーの仕事は開かれているが、ボスの仕事は隠されている。

リーダーは導くが、ボスは強いる。

-セオドア・ルーズベルト(アメリカ合衆国第26代大統領)
  • 生産性を高めていこう!
  • 効率的に仕事を進めよう!

というのは、多くの会社である話なんじゃないかと思います。

生産性を高めるテクニックは世の中に溢れかえっており、個人の場合も組織の場合も、あれこれ試行錯誤しながらより良いものを見つけようとしているところなんじゃないでしょうか。

あらゆるテクニックの中から、本当に効果のあるものを見極めるのも難しいところ。

そんな中で、生産性を高めるには「心理的安全性がかなり重要なんじゃないか?」という話があるのでまとめていきたいと思います。

組織の生産性を高めるとなれば仕組みを変えたり、リーダーのスキルを向上させる、などがあると思いますが、実はもっと根本的なところに重要な要因があるとしたら?

そんな話です。

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ソーシャルサポートの不足はタバコよりも体に悪い

「心理的安全性」の話の前に、鈴木裕さんの著書『科学的な適職』で紹介されている2010年のメタ分析を見ていきます。

約30万人を対象にした大規模な調査で、「ソーシャルサポートの有無と早期死亡率」の関係を調べたものです。

結果分かったことは、良い上司や同僚に恵まれない人はそうでない人と比べて、平均して50%早く死亡する傾向がある、ということでした。(R)

これは運動不足やタバコの喫煙よりも悪影響が大きいと、研究チームは指摘しています。

以下のような環境ではソーシャルサポートが欠けている可能性があり、注意が必要です。

  • 競争が激しすぎる
  • 従業員に対して成果をフィードバックする仕組みがない
  • 育休や健康維持のための助成金など、「従業員が困ったときは会社がなんとかする」と感じられるようなメッセージがない

心理的安全性とそのメリット

話を心理的安全性に戻しましょう。

心理的安全性とは、「自分が無知、無能、邪魔などネガティブに思われるような行動を取ったとしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられる状態です。

「例え無知な質問や失敗をしたとしても、この仲間からなら絶対に非難されたり馬鹿にされないし、いざとなれば助けてもらえる!」と心から信じられる、という感じですね。

単純にゆるい環境を作るとか従業員同士の仲がいい環境という話ではなく、「人が互いを尊敬し、オープでいられる環境であること」が心理的安全性を醸成すると、組織心理学者のアダム・グラントさんは言っています。

以下の図は、アダム・グラントさんの著書『THINK AGAIN』で、心理的安全性がある組織とそうでない組織の特徴を比較したものです。

出典:『THINK AGAIN』
  • 「心理的安全性」があることで、リスクや失敗を恐れずにチャレンジし、仮に失敗しても周りからのサポートがあるのでメンタル面の悪影響もない。その結果、失敗から素直に学び、次に繋げていくことができる。
  • 建設的に意見を交わしたり悩みを打ち明けることで、チームや個人がより良いものになっていく。

上記のようなものが、心理的安全性がある文化の特徴だと言えるのではないでしょうか。

心理的安全性がなぜ重要だと考えられているのか?

心理的安全性は、ハーバード大学で組織行動学を研究しているエイミー・エドモンドソンさんにより行われた調査がもとになっています。

マシュー・サイドさんの著書『失敗の科学』などでも紹介されている有名な研究です。

医療過誤の防止と心理的安全性の関係に興味を持ったエドモンドソンさんは、ある病院の医療チームを対象に調査を行いました。

結果分かったのは、「心理的安全性が高いチームほど、医療過誤の報告が多かった」ということ。

この結果を見ると「心理的安全性が高いと気が緩んでミスが増える!やっぱり厳しさを全面に出して緊張感のある雰囲気を作り出すことが重要だ!」なんて思ってしまいそうですが、重要なのはここから。

もう一つ分かったことは、「心理的安全性があるチームは、医療過誤の報告は多かったが、ミスの頻度は少なかった」ということでした。(R

また、もう一つGoogleが社内の180の部署を対象に行った調査によると、「生産性の高いチームとそうでないチームの最大の違いは心理的安全性の有無だ」という事が分かっています。(R

失敗に厳しい組織では、ミスは隠されるか報告が遅れ、問題が明らかになった時には取り返しのつかない事態に陥ってしまう。

一方で、心理的安全性がある組織では失敗にもオープンで、失敗から学び改善していく事が出来る。

失敗から学ぶ事の重要性は先述の『失敗の科学』に書かれていますが、心理的安全性のあるチームは、まさに失敗から学んでいく事で生産性をより高めていくために必要な要素として、重要なものになるんじゃないかと思います。

最初の話のようにソーシャルサポートのない環境は心身に大きなダメージをもたらす一方で、心理的安全性は従業員の健康のためにも、チームの生産性を高めるためにも非常に重要な要因になるのではないでしょうか。

まとめ

ここまでで「心理的安全性」の重要性などをまとめていきました。

ざっくりまとめると、

  • ソーシャルサポートのない環境では、早期死亡率がタバコや運動不足より悪いレベルで高まる
  • 一方で、心理的安全性があると生産性が高まる。理由は積極的なチャレンジや失敗から学ぶ文化が醸成されるから。Googleは社内180の部署の調査から、「最高のチームに必要なのは心理的安全だ」と言っている。

もちろん「心理的安全性さえあれば全て問題なし」という話ではないと思いますが、失敗から学び、建設的な意見を交わし、積極的にチャレンジをしてより良い組織を作っていく上では間違いなく重要なものなのではないでしょうか。

また、従業員として働く会社を選ぶ時にも、「心理的安全性」がある会社を選んでいきたいですね。

※今回の記事でご紹介した本↓

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