もるるんのよくばりポケット

いろーんなことに興味がある、ミーハーな働く主婦もるるんの日常や思ったことを書いていこうと思います☆☆

「イノセント・ピープル 〜原爆を作った男たちの65年〜」 見てきました

2024-04-07 01:27:53 | お芝居
「イノセント・ピープル 〜原爆を作った男たちの65年〜」 東京芸術劇場 シアターウエスト 2024.03.21 19:00~

お友達に誘われて、このお芝居に行ってきました。
行く前に、感想とかちょこっと見たら、なかなか重い話らしいと。。。覚悟して見に行きましたが、
重いというより衝撃的に感じました。
アメリカ人の考え方のお芝居を日本人が演じるって、、、それも原爆の話なんで、すごいものを見たなと。
内容が内容なのに、引き込まれて、2時間ちょっと(休憩なし)の芝居があっという間でした。

話の内容は
「アメリカ ニューメキシコ州ロスアラモス。原子爆弾開発に従事した科学者ブライアン・ウッド。ヒロシマ・ナガサキに落とされた2発の原爆を作り上げた5人の若者たち。これは、彼らが歩んだアメリカの「第二次世界大戦後」の物語である。アメリカは朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラン・イラク戦争と、戦地へ若者を送り続けた。戦後も原爆・水爆製造に携わるブライアン。しかし、彼の息子はベトナムへ、そして娘はヒロシマの被曝2世と結婚する。」(公式より)

1963年のアメリカ、ブライアン・ウッドの家族がBBQの準備をしているところから始まる。
そこに18年前、一緒に仕事をしていた仲間が次々とやってくる。ブライアン・ウッド(山口馬木也さん)は今もその研究所にいる。グレッグ・シウバ(内田健介さん)は海兵隊、キース・ジョンソン(三原一太さん)は自動車メーカーのGMに勤めている。そしてカール・コワルスキー(阿岐之将一さん)は医者、ジョン・マッケラン(森下亮さん)は高校の教員をしている。彼らはルームメイトであり、当時一緒に研究をしていたが、18年ぶりの再会となる。
研究所の20周年と18年ぶりの再会とブライアンの息子ウィリアム(池岡亮介さん)のUCLA合格を祝って乾杯をする。
ブライアンの娘シェリル(川島海荷ちゃん)、妻のジェシカ(川田希さん)、またキースの妻ニナ(水野小論さん)、そしてジョンの教え子で妻になるリンダ(堤千穂さん)も参加していた。
海兵隊のグレッグは、いかに海兵隊がすばらしいかをみんなに話す。それを真剣にきいていたのはウィリアム。彼はUCLAにはいかずに海兵隊に行きたいと思っていた。そのことは妹のシェリルだけが知っていた。
ウィリアムは父と母に自分の決意を話すが、ブライアンは反対する。しかしウィリアムは決意を曲げなかった。

1943年のロスアラモス研究所
ブライアンとキースのところへ、ジョンが32面体なら核分裂反応をうまく発生させ、爆弾にできることがわかったと喜び勇んでやってくる。ジョンはずっとその計算をしていたとのことだ。
そこへカールがやってきて、女子寮のシャワーが壊れたから、二人の看護婦に自分たちの寮のシャワーを使わせてほしいと言ってくる。ブライアンたちは大興奮。看護婦のルーシー(大部恵理子さん)とジェシカがやってくる。まずルーシーがシャワールームへ向かう。キースとグレッグはあとを追いかける。
ブライアンは残ったジェシカの隣に座って話をする。

1975年のアメリカのとある店
ベトナム戦争が終わりパレードが行われるらしい。店にはグレッグと彼の妻のマーシャ(安川摩吏紗さん)が星条旗模様のハットをかぶってご機嫌。
ブライアン夫婦、キース夫婦、ジョンの夫婦もやってくる。キースの妻ニナは日本に旅行に行ってたとのこと。原爆投下された広島にも行ってきた
しかし、原爆資料館には不快感しかなかったと言う。日本人は被害者だと言ってそんな写真しかなかった。日本はパールハーバーや南京で人をたくさん殺しているのに、おかしいとおこっている。日本人はみんな同じ顔をしているとバカにしている。
そこへウィリアムが海兵隊の制服で車椅子で入ってくる。ベトナムの戦地で国のために戦ったことをスピーチしてきたのだった。
外のパレードでは花火も行われているが、ウィリアムはその音に敏感になって怖がる。
シェリルが日本人男性とやってくる。日本人男性はスーツで白い面を被った姿。シェリルは彼タカハシ・ヨウイチ(小日向春平さん)と結婚したいと言う。ブライアンは日本人との結婚は絶対反対だと言う。

1945年7月
ブライアンたちは水爆実験がうまく行ったことを喜んでいる。
原爆をヒロシマに落とそうとしている、そして戦争を終わらせようとしている、、、それをジョンはそれはいけないことだと恐怖に思っている。

2003年
ジョンは亡くなっていた。
グレッグやブライアンたちは911の同時多発テロを受け、イラクを攻撃すべきだと話していた。
グレッグにはリチャード(神野幹暁さん)と言う息子がいて、彼も海兵隊に入ってバグダッドに行く予定だった。が、それを車椅子のウィリアムが止める。
自分のようになってもいいのか。自分も海兵隊にあこがれて入隊したが、ベトナムの戦争でこのような体になって、恋愛もできなくなったと。ウィリアムは車椅子生活のため、ヘルパーのベロニカ(保坂エマさん)がいつも世話をしていた。
ジョンの妻のリンダが、夫の死は自殺だったと告白する。原爆の開発をしてきて自分のやったことによって、10万人という人の命が犠牲になってしまった。それを心を痛めていたと。自殺はキリスト教では認められていないので、事故死ということにしているのだとも語った。
医者のカールは自分も命が長くないと話、昔の被ばく実験の話を始める。人間がどのくらいプルトニウムを浴びても大丈夫か実験していたのだと、その時のデータがあるから今、原発があっても大丈夫なのだと。グレッグたちはモルモットだった。お前の体には実験で浴びていたプルトニウムがたくさんあるから、すぐ死んでいてもおかしくなかったと。


1945年のヒロシマ、ナガサキに原爆が投下されたときの音と、そして喜んでいるアメリカ人たちが描かれる。

2010年
ブライアンとグレッグが悲しんでいる。リチャードはイラクで命を落としてしまった。
オバマ大統領はスピーチで、今後は核を保有しないといった。ブライアンは怒っていた。
シェリルの夫のタカハシは白い面をはずし、ヒロシマに原爆投下されたときのことや、その後の話を話始める。彼は被爆二世だったのだ。

ブライアンは、ウィリアムとウィリアムのヘルパーであるベロニカとヒロシマを訪問する。
シェリルのお葬式に訪れたのだった。タカハシは自分とシェリルの子供たちをブライアンに紹介する。
ブライアンはシェリルとタカハシの出会いを聞く。タカハシは原爆を学ぶためにアメリカに留学していて、そのときに通訳してくれたのがシェリルだったと。
シェリルは自分にとてもよくしてくれたと。
タカハシは、ブライアンに、アメリカ人として原爆のことをどう思っているのかと聞くが、ブライアンは答えなかった。さらに、タカハシはブライアンに謝ってほしいと要求するが、ブライアンは謝ることができなかった。
それを見ていたベロニカが語りだす。ベロニカはもともとインディアンの一族だった。家族はウランが取れる鉱山で働いていた。そのウランは原爆に使うためだった。その町の人たちは多くがガンにかかって死んでしまった。ウランには放射性の物質が含まれていて、それを掘る仕事を長い間していたからだ。きっと罰があったのだと、ベロニカはタカハシに謝る。
そこにタカハシハルカ(花岡すみれさん)が来る。彼女はシェリルの娘で、お腹には新しい命が宿っていた。ブライアンはそのお腹に手を伸ばそうとする。

ここで幕


上にも書いたけど、衝撃的でした。
この話の作者が日本人だというのにもまた衝撃。
アメリカ人の視点で、原爆を作った人と、実際に原爆を落として戦争を終わらせたこと、その後の日本とのかかわりなどを描いていて、
少し嫌な気持ちになるところもあったり。
アメリカ人の日本人への差別の描き方が、想像を超えてて、そんな風に我々日本人のことを思っていたのかと。
特に日本人はみんな同じ顔。。。と。タカハシが最初白いお面をかぶってでてきたのには、やるせない感じになった。

ヒロシマの原爆資料館は、私たち日本人にとっては、被害者であることは当たり前で、あの事実を後世に残しておかなくてはいけないという
視点から展示があるのは、ごくごく普通のことだったけど、あれをアメリカ人が見たらそうは思わないということは
まったく思いもよらなかった・・・
アメリカ人はパールハーバーのことばかり言う!って思ってたけど、確かにアメリカ人からすれば日本の奇襲によって命を落とした人が
たくさんいるわけだから、被害者であり、、、
もちろん規模とか問題の大きさとかは、違うけど、それはちゃんと日本人も考えなければいけないと、初めて思い知ったという。。。

ブライアンたちは誇りをもって、原子爆弾を開発してきたわけで、技術者としては当然誇りをもって研究してきたわけで、
それが戦争に使われて、戦争に勝って終わることができたというのは、彼らにとって名誉なことだったと思う。
でも時代がたって、その爆弾によって命を失ったり、まだ苦しんでいる人がいることがクローズアップされて、
ブライアンたちのすべてが否定されるようになってきたのは、すごく苦しいことだと思う。
最後、どうしても日本人に謝罪できなかったのは、ブライアンのプライドが許せなかったんだなと、、、そこは少し理解できた。

ただ、ジョンは自分たちの関わってきた技術によって、たくさんの命を奪ったことに耐えかねて
自殺してしまう。苦しんで苦しんでというその気持ちがつらかった。

青春をかけて原子爆弾の開発に携わってきた5人の若者は、それが戦争で使われたことと引き換えに
それぞれの大きなものを失っていたのだなと思った。作った者、使った者、使われた者、誰もが大きなものを
失う。。。戦争などしていいはずがない。当たり前ではあるが、ものすごく強いメッセージを感じた。

それと、ウィリアムのヘルパーさんのことば。。。
インディアンの人たちがウランの採掘に携わって、、、たくさん亡くなった話。
アメリカ人にとっては、インディアンの人も違う人種であり、その当時は彼らの命も、日本人の命も同じように
考えられていたんだなと。人種差別って、日本人はあまり理解できないけど、でも、当時のアメリカ人はそれが
当たり前だったんだなということに、これも衝撃的な出来事だった。


そういえば、、、お酒って、普通お酒に見える液体を使うか、入れたようにして液体は使わないという感じだけど、
この芝居では、砂のようなものを使っていて、なかなかいいなと感じました。斬新だったけど。


主なキャストの感想
ブライアンの山口馬木也さん
彼の舞台を見るのはたぶん2回目かな。20代から80代まで演じられていたけど、
違和感なく演じてて、さすがの俳優さんだなと感動しました。特に声の演じ分けが素晴らしいなと。
こういうお父さんいるなという、、、アメリカだとか日本とか関係なく、親子の関係とかは
変わらないな~と感じることができた。

シェリルの川島海荷ちゃん
舞台は初めてなのかな?私は舞台で拝見するのは初めて。
10代の頃の若々しい感じはかわいかったけど、タカハシを連れて帰ってくるときとかは、大人びた感じをだしていて
なかなか舞台もいいね。と思いました~
思ったより出番が少なかったから、もっと見たかったかな。

グレッグの内田健介さん
海兵隊のすばらしさを語るところが、すごく印象的。自分の仕事に誇りをもって、強く語る人ってよくいるけど
(私はあまり好きではないけど)あ、こういう人いるいる!って思えて、とてもよかったです。

ジョンの森下亮さん
ジョンは5人の中では一番普通の感覚を持ってる人だったんだなと。
計算した紙を何部屋にもわけて置くくらい熱中して計算して。。。命をかけて計算してようやくつかんだ32面体・・・
だけど、それを使えば、たくさんの人を殺してしまう。。。その恐ろしさに気付いていて、葛藤する。。。そういう
繊細な部分がすごく出ていたと思う。だからこそ、最終的に耐えられずに自殺してしまったんだろうと。

ジェシカの川田希さん
夫によりそう、しっかりした妻という役柄がぴったりでした。
結婚前のナースのときの若々しい感じもよかったけど、研究者の夫とともに生きている妻という姿もよかったです。

ウィリアムの池岡亮介さん
ベトナム戦争で負傷して、車椅子姿になってしまって、自分の人生、自暴自棄になってしまう演技がよかった
花火の音にすらおびえてしまう、、、そんな自分が嫌になってしまったんだろうなと。あんなにあこがれていた海兵隊に入ったのにと。

ニナの水野小論さん
ナイロンのお芝居で何度も拝見させていただいています。お久しぶりに見れて嬉しかった。
誰とでも打ち解けられる明るい人を、はつらつと演じておられました。
ニナの広島原爆資料館に行ってきた感想に、衝撃をうけました。そっか、アメリカ人が見るとそう思うのかと。

それから、
ベロニカの保坂エマさん
エマさん、なかなか出てこないから、ちょっとやきもきしちゃった。
新感線以外のお芝居でみるのは初めてです。
でも、最後にすごく重い話をしてましたね。アメリカ人の人種差別の話、、、
それを淡々と話すのがとてもよかったです。



今、この舞台を再演したということは、ちょうど映画「オッペンハイマー」のこともあってかなと思った。
国、人種、時代、いろんなことが絡み合って、こういう悲劇的なことが起こったわけだけど、
今生きてる私たちが、これからの世代のことも考えて、きちんと向き合っていかなければいけないと、強く思った。
すごくいい作品を見れてよかった。。。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« しまむー!しまむー! VSセ... | トップ | 最高だ~ VS浦和戦 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

お芝居」カテゴリの最新記事