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遺伝性乳がん・卵巣がん症候群とは?①

5/19/2022 9:30:03

がん

今日のポイント:BRCA遺伝子と呼ばれるものに変異が起こることで生じる遺伝性の疾患

 家系内に【乳がん】になったことが複数いる場合、遺伝性に乳がんになるリスクが高い方が存在します。これを【家族性乳がん】と言います。このうち、代表的な遺伝子にBRCA1/2遺伝子というものがあり、この遺伝子に変異があることで乳がんや卵巣がん、その他いくつかのがんを発症します。尚、BRCA1/2以外には乳がん発症に関わっている遺伝子が見つかっていますが、今回は割愛します。

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 BRCA遺伝子変異は、米女優のアンジェリーナ・ジョリー氏が本遺伝子の変異を認めたため、予防的に乳房と卵巣を切除したことで話題となりました。乳がん発症前の予防切除については、その乳がん発症抑制効果は確実に認められますが(90~100%)、日本では予防的な切除に関しては非常に議論の的であり、得られるメリットとデメリットを主治医と十分に検討しましょう。

 この遺伝子変異により、将来的に乳がんを発症する割合は50%程度と言われており、同遺伝子変異を持たない女性に比べて乳がんの発症割合は5倍程度高くなります。BRCA遺伝子変異陽性の乳がんに乳房を温存する術式(乳房温存術)を行った場合、散発性の乳がんに対して乳房内再発のリスクが高くなる可能性が示されており、そのため最新の乳癌診療ガイドライン(2018)では「BRCA遺伝子変異を有する女性には乳房温存手術が可能であっても、患者が強く乳房温存術を希望する場合以外は、乳房全切除を行うことを弱く希望する」という位置づけになっています。
 
 次回はBRCA1/2遺伝子の基礎的理解についてもう少し詳しく見ていきましょう。
 
 
参考:

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