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【政策活動費と政務活動費は大違い】国会議員だけの闇!地方議員が知らない原資【官僚/県議会議長経験者の視点】

国会議員の「政策活動費」が大問題になっています。

政策活動費=政党から国会議員への寄付金

これが、なぜ非公開のまま放置されてきたのでしょうか。この件については、野党を含めた国会議員全員に重い責任があるのではないでしょうか。

 

国会議員の「政策活動費」は億単位でも非公開のまま放置されてきた!
地方議員の「政務活動費」は1円たりとも間違いが許されず事件化してきた。

 

記事内容

  1. 政策活動費と政務活動費の違い
  2. 国会議員だけの闇とは何か
  3. なぜ使途が公開されなくていいのか
【筆者/やまべみつぐ】について
【やまべみつぐ(山辺美嗣)】
通産官僚、国連(ジュネーブ)、独法(ニューヨーク)での勤務を経て、県議に。日本初の地産地消政策や、地方議員としてロシアとの直接交渉などを実現しました。その後、県議会議長に就任。保守三つ巴の熾烈な選挙戦を経験し、他の候補者の選対としても活動しました。現在、政治行政のコンサルタント。議員引退を機に、故郷の雪国から子や孫のいる関東に転居。孫5人。

目次はクリックしてご覧下さい。

政策活動費と政務活動費の違い

国会議員の「政策活動費」という語は、法律に書かれておらず非公式のもの。
地方議員の「政務活動費」という語は、法律に書かれた公式のもの。

※ 地方議員とは都道府県議会議員や市区町村議会議員の事

 

語感は似ていても、まったく異なるものですので、違いについて説明します。

 

【政策活動費とは】国会議員

政党から所属の国会議員への寄付金


自民党の政治資金収支報告書において、支出項目の名称として使われている。他の政党では、政策活動費のほか組織活動費という名称も使われている。

これまで政策活動費は大きな話題になってきませんでした。ところが、自民党派閥からキックバックされた政治資金パーティーの売り上げが、裏金となっていたことが報道されたことで一気に注目を集めています。

 

政策活動費として、自民党幹事長には1年に5億、10億もの金が渡されていた。
自民党だけでなく野党も含めて、政党の役員には大金が渡っていたとされている。

【政務活動費とは】地方議員

自治体の議会費から地方議員の政務に支出する公金


政策活動費と異なり、支出は地方の条例で細かく規制されている。

政務活動費は、情報公開されている!

支出が適切かどうかは誰でも確認できるため、間違いが指摘され、これまでもたくさん事件化してきました。

ところが

政策活動費は、政党役員である国会議員だけの特権になっており非公開!

国民への周知をなおざりにしたまま放置しててきたのは意図的だったのではないか。そのように非難されても仕方がない状況です。

更に詳しく【政策活動費と政務活動費】

国会議員の政策活動費

なぜ埋もれてきたのか
かつての「政治改革四法」という、大型の政治改革に埋もれて、あまり注目されなかったため、抜け穴になったとの批判があります。

政策活動費は、1994年の政治資金規正法改正でできたものです。
この年、政治改革が断行され「企業団体の政治家個人に対する寄付を禁止」しましたが、その代償として「政党など政治団体だけには政治家個人への寄付を認めた」ものです。

政治資金規正法第二十一条  会社、労働組合、職員団体その他の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはならない。
2 前項の規定は、政治団体がする寄附については、適用しない。
がんばる君
こういう法律って誰が決めるんですか
やまさん
国会議員しか法律を作ることはできません。
がんばる君
え? だとしたら国会議員は自分たちに都合のいい法律を作ろうと思えば作れるわけですね。

地方議員の政務活動費

政務活動費は、2000年の地方自治法改正で出来たものです。
地方分権の推進と地方議会の活性化を目的として初めて地方議会費として認められ、議員個人または会派に交付できることになりました。地方自治体の条例によって使途が詳細に規制されています。

 

ところで政治資金規正法は、政治団体への寄付=「収入」については規制するものの、政治団体からの寄付=支出」について全く規制しない原則になっています。

元になっている法律が違うことで、政策活動費と政務活動費は、まったく性格が異なるものになりました。
やまさん
地方議員に関する法律もすべて、国会議員しかつくれません。
がんばる君
国会議員は地方議員を監視しやすそう。だとしたら国会議員はいったい誰が監視するんですか。
やまさん
監視しようにも、今回のように伏せてあったらわかりませんね。

国会議員だけの闇

国会議員の闇が深そうですね
国会議員の政策活動費の使途は、法的に公開しなくてもよいため、「闇」の世界が出来たのではないでしょうか。

地方議員は、政務活動費について1円であっても不正があれば事件化するのに比べ、政策活動費は億単位で闇に葬られているのです。

 

やまさん
非公開でよい国会議員の政策活動費は、本当に大きな金額で驚きますね。
がんばる君
少なくとも国会議員同士は知っていたってことですか。
やまさん
どこまでお互いに知っていたかはともかく、地方議員に伏せられていたことは事実でしょう。

全額、政策の活動に使ったのか

政策活動費は、何に使っても原行法上は基本的に違法ではありません。

「政策の活動に使いました」としておけば何でもありと言えるでしょう。

ただし、もし政策活動費の一部でも、国会議員の個人的なお金としてふところに入るのであれば、必ず個人の所得として申告が必要になります。

個人の収入となったものは、出所が何であれ所得税の対象なので、税務申告しないと違反になるのは当然のことです。

 

ところが、これまで誰も税務申告していない!
つまり全額が政策活動に使われたというタテマエだけで通しているのです。政策活動のどんな使途なのかまったく公開されないため「国会議員だけの闇」といわれるのです。

国会議員の特権

法律は国会議員しか作れないので、自分達に都合の良い法律にしてきたのではないかとの疑いは消えません。

一方、地方議員に対しては監視の目が行き届きやすいよう、実に細部にわたり規制が決められています。

まるで「お金を自由にできるのは国会議員の特権」「地方議員に特権は許さない」と言っているかのようです。

問題の根源はどこに

そもそも政策活動費の何が問題なのでしょう
政治資金規正法に政治資金の支出に対する制限がないことが問題と言えます。
政治資金の支出に制限が無いとは?
政治団体は政治目的に作られているから「当然」政治団体の資金も政治目的に使われるものだという、一見正しそうだが論理のない「トートロジー」がまかり通っているように見えます。
がんばる君
本当に政治目的に使われているのなら、公開すれば疑いをかけらることも無いのでは?
やまさん
なぜ公開しないことを是としてきたのか、理由をきいてみたいものです。

 

トートロジーとは「同じ語の無意味な反復」のこと


例えば、「政治団体だからお金は政治に使われる」、「政治資金だから使途は政治目的である」といった表現は、まさにトートロジーであり詭弁と言われる。

 

がんばる君
そういえば、岸田首相が「二階さんを信用しているので、二階さんは間違いをされていません」と答弁しましたね。これも、トートロジーですね!

これは「論理崩壊の秘法」ともいわれる詐欺的な手法の典型と言われています。

なぜ使途が公開されなくていいのか

政党のお金は、収入だけでなく支出の内容も公開されるべきもの。
がんばる君
何に使ったのかが公開されないと疑惑を持たれて当然ですよね。
政党に入るお金は、政党交付金のように税金を原資にしているものが入っている。つまり「公金」の性格が強い!

 

また、政策活動費以外にもある「その他の公金」も含めて、国会議員に渡されている公金は全て使途を公開すべきではないでしょうか。

国会議員に渡されている「その他の公金」


調査研究交通滞在費(月100万)と立法調査費(月65万円)は、使途の詳細が非公開です。

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【政務活動費問題】地方議員は問題を起こすのに、なぜ国会議員は問題を起こさないのか

政党は私的な組織か

国会議員は政党を公的な組織ととらえる感覚に乏しい恐れがあります。

政党は選挙によって選ばれた5人以上の国会議員を有する政治団体です。つまり「選挙」という公的なプロセスを経て、「国会議員」という公的な立場になった人々の「公的な組織」であると言えます。

また、政党は公的に優遇を受けているので、その意味でも資金は公金と言えます。

政党が受けている優遇措置

1 政治資金は政治活動を目的とした資金であり、政治資金を受け取る政治団体は法人税が非課税など数々の税制優遇を受けている。
2 政治資金の原資は税金(政党交付金など)や税控除(送り手)・非課税(受け手)を受けている寄付金・政治献金などである。

「政治活動の自由」論理への疑問

がんばる君
政策活動費を非公開にしている理由については、「政治活動の自由」とする発言が国会議員からでていますね。

この考えかたには疑問があります。

そもそも政治活動の自由とは、憲法が認める国民の権利。

国民が「政治信条の自由」と「結社の自由」という権利を行使して「政党」を作ることは間違いなく「政治活動の自由」です。だからと言って、「政党」の政治資金支出を制限することが「政治活動の自由」を束縛するというのは論理の飛躍ではないでしょうか。

 

政党の政治資金について「政治活動の自由」だから使途は自由でいいという主張が国会議員にありますが
政党の政治資金について使途を制約したとしても、それは国会を通して行う国民の権利の行使であり、なんら国民の政治活動の自由を侵害するものではないでしょう。

「政治資金の使途を公開すること」は「政治活動の自由に反する」という根拠があるのなら、もっと明確に国民の前に示すべきでしょう。

「政治資金の使途を公開すること」は「政治活動の自由に反しない」ことは明らかだと考えます。

国会議員は特権階級ではない

万が一にも、国会議員が、自分たちの都合のよいように法律をつくって、自分たちの金の使い道がわからないようにしてきたとすれば、それは国民への背信行為です。

国会議員は特権階級と批判されることがありますが、伏せられている「特権」はまだまだ奥があるのかもしれません。

 

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