映画「デューン 砂の惑星 PART2」(2023年) | 明日もシアター日和

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観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ

音楽 ハンス・ジマー

ティモシー・シャラメ/ゼンデイヤ/レベッカ・ファーガソン/オースティン・バトラー/ハビエル・バルデム

 

 PART1は Amazon の Prime Video=デスクトップPC画面サイズで観たのですが、PART2は誘われて映画館で観てきました。原作であるフランク・ハーバートの小説「デューン砂の惑星」はずいぶん前に読みましたが、いろいろ忘れてる。

 

 アウトライン→西暦10190年。宇宙帝国の皇帝(クリストファー・ウォーケン)はアトレイデス家に、希少な物質メランジの産地である砂の惑星アラキス(惑星の先住民フレメンの言葉ではデューン)を支配していたハルコネン家に変わってそこを統治するよう命ずる。しかし皇帝と結託していたハルコネン家の襲撃を受けアトレイデス一族は殺される(ここからPart2→)その後継者ポール(ティモシー・シャラメ)はハルコネン家を倒すためフレメンに協力を求める。フレメンにとってもハルコネン家は圧政者だ。母(レベッカ・ファーガソン)の指導により超能力が備わっているポールは、さらに “命の水” を飲んで覚醒。フレメンの信頼を得た彼は救世主として崇められる。ポールたちは巨大なサンドワーム(惑星に生息する全長数百メートルの砂虫=メランジや “命の水” を生成している)を操りながら戦い、ハルコネン家に勝利する。ポールは皇帝を退位させ、その娘(フローレンス・ピュー)を娶ることで新皇帝に即位するが、それを認めない領家の連合が宣戦布告、ポールとフレメンは聖戦に臨む決意をする(Part3に続く)。フレメンの戦士チャニ(ゼンデイヤ)はポールと愛し合っていたが、変わっていくポールに反発し去っていく。終わり。

 

 すごく良かった🎊 中世ヨーロッパ風ともいえる独特な宗教的精神的な世界観で、ポールを神/預言者のように仕立てたり、最後の決戦の戦い方が中世式(乗り物も銃器も火器も使わず主として歩兵たちが剣でチャンバラする)だったりする。アクションシーンもダイナミックなんだけど、何といっても映像がスペクタクルで美しく、アートの域に入った絵面がこれでもかってくらいに広がります

 ストーリーはあるけど、それが物語られるというより、それを「見せられる」、時にそれ(絵で見せられる物語)に「包まれる」という感覚に陥ります。状況や出来事や物事や人の思いなどの説明的セリフがあまりない。観客に分からせるためにセリフで無理やり説明していません。例えばポールの母が “命の水” を飲むシーン、それがどういうもので、それを飲むことはどういう意味なのかなどを誰かが語るわけでもなく、飲んだあと彼女がどうなったかを見て観客が推測・判断するという感じ。原作を読んでいればある程度わかるけど、映像と音楽の力が圧倒的すぎて、細々した疑問が気にならなくなります

 私が好きなのは砂や砂丘の映し方で、砂が生きているように、意志を持って動いているように感じるときもある。サンドワームは全身をクリアに映さないぶん神秘性と不気味性を纏った存在です。そのワームをポールが乗りこなすシーンは大迫力。終盤の、ポール率いるフレメンと宿敵ハルコネン家との戦いシーンは圧巻でした(←語彙力😅)。

 

 アンチヒーローとして変貌していくポール(彼は将来、自分が帝国内戦争の引き金を引き、それで何万人もが死ぬという予知夢を見る)。その彼に懐疑心を募らせるチャニ。2人の対照的な成長と変化が人間ドラマとして浮き彫りになります。危険なカリスマ性(フレメンがポールを救世主と崇めるシーンは狂信的で怖い)や、血筋の呪い(ポールの母の父つまりポールの祖父はハルコネン家の当主、なのでポールはハルコネン家の血も受け継いでいる)や、権力者たちの権謀術数、愛ゆえの行動などで織りなされるSF叙事詩でした。

 

 「デューン」は3部作になるそうで、Part3はすでに執筆中だとか。小説「デューン砂の惑星」の続編は、その12年後を描いた「デューン砂漠の救世主」ですが、映画はそれをどう変えてくるのだろう。少なくとも映画版 Part3では、ポールの妹が産まれ(ポールが見た未来ヴィジョンにアニャ・テイラー=ジョイがチラッと映った)、彼女はチャニと並んでキーパーソンになりそう。また、ポールとの決闘で死んだハルコネン家のフェイド=ラウサ(オースティン・バトラー)と、女性の精神&肉体訓練校ベネゲセリットの一員レディ・フェンリング(レア・セドゥ)との子も Part3で産まれるはずなので、ポールと同じ系譜の者として絡んできそうです。

 

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