象徴の形…金縛りと幽体離脱 230319 | ヘミシンクピンポンパン

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ヘミシンクと幽体離脱体験記


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絶叫していたつもりだったが声にはならず、顎が外れたように口は開いたままで、涎を垂れ流し、涙が止まらず、全身から冷たい汗が吹き出していた。これほど恥ずかしい無様な姿はなかった。それでも私は死に物狂いで剣を抜いた。そして後ろから迫る化け物を剣に映すことによって、間接的に敵の姿を確認した。

(続く)

 

《象徴の形…金縛りと幽体離脱 230319》

そうすることで私は石化を免れた。剣には4人の化け物の頭部が映っていた。そこにあるのは人の頭ではなく記号だった。それは黒いローブを着た胴体の上に浮遊するように載っていた。首がなかった。一人ひとりの頭は三日月、十字、卍字、そして梵字を思わせるような象徴があった。

 

それは太陽がもし暗黒の輝きを放つことができたとしたら、きっとこの様になっただろうと思わせるほどに、凄まじい恐怖を放射していた。化け物どもは私の背後に迫り、奴らの手が私の足首をつかんだと思ったその瞬間、私はあらん限りの叫びを上げ、間一髪でこちらの世界に逃げ戻って来た。

 

死ぬ寸前だった。私はベッドから上半身を跳ね上がらせて飛び起きた。窓からは明るい光が差し込んでいたが、しかしここが何処なのかわからなかった。何故こんなところにいるのか、そして私が誰なのかもわからなくなっていた。あまりの激変に私は大混乱の中だった。

 

心が落ち着き、状況が理解できるようになるまで、どれくらい時間がかかったのか覚えていない。自分が誰なのかを確認しようとしたのか、私は無意識に手で顔を触ろうとした。そのとき、水の音がすることに気が付き思わず手元を見た。そこは深さが10センチ以上の水たまりになっているではないか。

 

唖然としながら初めて自分の身体全体を見ることができた。そして私はベッドの上にいるのだということに気づき、それをきっかけにして、ここが家の中だということを理解し始め、私は全てを思い出した。ようやく状況がつかめるようになった。高野山の戦いからなんとか脱出できたのだ。

 

もう石にされることはないとわかると安堵感がこみ上げ、やっと落ち着くことができた。窓からは平和そのものの朝の陽光が差し込み、外ではスズメが鳴いていた。それから冷静に観察することができた。驚いたことにベッドの上はなんと!!!プールになっているのだ。

 

私はベッドの上で溺れそうになるところで目を覚ましたのだった。誰がベッドの上を水たまりにしたのだ。そう考えた私はこの奇怪な出来事に驚愕していた。しかし正体は私が流した汗であるようだった。私は自分の汗の中で死ぬところだったのだ。そんな事があるだろうか。

 

病気でもなんでもない人間がただ寝ているだけで、こんなに汗をかくなどということがあるのだろうか。すっかり朝になっていた。何時だったのか覚えていないが仕事の時間が迫り、私はなんとか気を取り直し起き上がった。立ち上がってベッドを見下ろしながら、こんな事があるだろうかと、なお目を見張らせていた。

 

手首をプールの中に入れ、それがただそう見えているだけでなく、本当なのかどうかをもう一度確認しなければならなかった。それはちゃぷちゃぷと音を立ててベッドの端から端まで泳いでいくのだ。水を通してしまうはずのフトンの上に、汗が浴槽の中のお湯みたいに溜まるなどということがあるだろうか。

(続く)

マサト