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上司に気に入られる理学療法士の条件とは1(能力)

全理学療法士向け
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こんばんは、卵屋です。

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はじめに

「上司に気に入られたい。」

そう思わない社会人はいないはず。

「うちの上司は馬鹿だからまったく頼りにならないのよね。」
「上司に好かれるかどうかなんてどうでもいい。目の前の患者さんに全力を尽くしていれば評価はされるもの。それで評価されない上司なんてこっちから願い下げだ。」

いくら虚勢を張ったって上司に気に入らなければ自分のやりたいことはできない。なぜなら一般職員は組織の方針や指示に従って働かなければならないし、その方針や指示は基本的には上司が主となって考えているから。

例えば「研究がしたい」という思いがあっても、上司が「そんなことに時間を使うな」「うちは個人情報保護にうるさいから研究なんてできない」と言われてしまえばいくら高い志があっても実現できない。

そしてまた、上司に気に入らなければ職場での立場は上がっていかない。つまり「出世できない」。出世して役職につかない限り給料は大きく増えない。

いや、研究なんて…そんな大それたことしなくても普通に働いてお金さえ貰えればいい。

いや、出世なんて…そもそもそんな責任ある立場になりたくない。

研究、出世、そんな大きなことを目標にしていないから上司に気に入られなくてもいいか。否、上司に気に入られておくことで現場レベルの悩みは色んな面で解決されることが多い。

「看護師に理不尽なことを言われた」
「一週間後に急遽休みを取りたい」
「患者さんから無茶な要求をされている」

困ったとき上司に相談出来る関係を築けているだけですぐに解決できる問題は枚挙にいとまがない。働きやすさという観点から見た場合、上司に気に入られることはプラスになりこそすれマイナスになることは何一つない。

今回はそんな上司に気に入られる理学療法士の条件とは何なのかについて独断と偏見でお話しする。

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上司に気に入られるために必要な能力

こう言ってしまうと身も蓋もないが、どんな分野においても評価を受けるためにはある程度の能力が求められる。

いくら「気配り」や「気遣い」に優れていても根本的な能力が低いと「こいつに言われても…」とスタートの時点から評価する体勢を取ってくれない。

そしてそれは何も100点満点を取る必要はなく、組織の平均点以上取れていれば気に入られるための土台としては十分である。ある程度相対的なものだと考えている。

では理学療法士が上司に気に入られるために必要な能力とはどういったものをいうのだろうか。

今回は基礎能力プラスアルファで持つべき能力を紹介する。

基礎能力

知識

養成校で習う基礎知識から、論文を読み得られた新たな知見、学会・勉強会・研修会などから得た知識など、これら知識は思考を組み立てるための素材となる。

いくら頭の回転が早く、いくら論理に強くてもそもそもの素材がないと思考の展開は出来ない。知識はあればあるほどいい反面、ある一定のレベルで持っておかないと上司の評価は下がってしまう。

そして核となる知識はやはり解剖学生理学運動学の3つ。
マニアックな小難しい知識や一部宗教化している手技の知識などは必要ない。
解剖学、生理学、運動学の3つをしっかりと抑え、論理的に考えていけばほとんどの議論にはついていけるし、おかしいことを言っているときにおかしいと気付ける。

論理的思考能力

知識がたくさんある人は皆優秀か。そうとは限らない。

人間界ではそれらを組み立てる能力、すなわち「論理」の力が必須となる。

論理とは「AならばB。Aである。ゆえにB。」といったように、人間が何か思考や議論をする際の道筋や法則を指す。このようにして答えを導くやり方を科学哲学の領域では「演繹(えんえき)」と言う。

理学療法においては、解剖、生理、運動の知識に秀でていても、論理が破綻していれば良質な評価や治療プログラムには至らない。論理的思考が乏しいと「勉強会で講師が言っていたから患者さんに実施する」などと誰かの考えを何も考えずにインプットし何も考えずにアウトプットしてしまう。

ここで「知識」と「論理的思考能力」が重要だということを具体例に沿って考えてみる。
(※以下例はあくまでも考え方を示す例で内容はデタラメかもしれないのでご注意を。)

例えば、先輩と患者さんの治療について話をしていて、コアを促通すれば上肢が軽くなるから一度やってみたら?とアドバイスを受けたとする。

このとき、
コア?体幹筋のこと…?
促通?筋発揮のこと…?
と、言葉の意味や定義が曖昧な場合これまで習ってきた自分の理解している言葉に落とし込む。

そして、
仮に体幹筋の筋発揮が増えるとどうなるのかな?
腹直筋や固有背筋の作用である屈曲や伸展だけでは説明がつかないな…。
そもそも腹筋群はそれぞれどこから起始してどこに停止したっけ?
と改めて解剖を調べてみる。

すると、
やっぱり腹筋群の筋発揮が増えたからといって上肢が軽くなることにはつながらないぞ…。
体幹筋群が働くことで屈曲・伸展以外の別の作用があるのかな?
う~ん、教科書には書いていないぞ、インターネットで文献を調べてみよう。
お、「腹圧」がどうとか書いているぞ…
と新しい知識にたどり着いたり、

また、
そもそも軽くなるってどういうことだ?重さってなんだ?物理(力学)を見返してみよう。
「F=ma」?mが上肢の質量とすると急にmが変化するとは考えにくいな。ということは実際に物理的に軽くなる訳じゃないんだ。
となると、患者さんが軽くなったと主観的に感じる「感覚」のことを言っているのかな…
と、言葉の定義や意味がはっきりとしてくる。

このように先輩や研修会の講師の言葉をただただ鵜呑みにするのではなく、解剖学・生理学・運動学を基に考えることが大事だ。このときに最低限の解剖・生理・運動の知識がないとそれすらも考えられなくなったり、毎度一から調べなくてはならず膨大な時間がかかってしまう。

続きをみよう。

一つずつの言葉の定義が確認出来たら、次に「つながり」を論理立てて考える。

一般的に筋の起始部が不安定(ぐらぐら)な状態で収縮させると停止部についている物体もフラフラと揺れる。

人間は持ち上げた物体が揺れるとそれを「重たい」と感じる。

コアを促通する(体幹筋の筋発揮が増える)と腹圧が上がり、脊柱や肩甲骨など上肢の筋の起始となっている骨が安定する(フラフラしにくくなる)。

土台の骨が安定することで上肢を持ち上げたときに揺れが減る。

持ち上げた物体の揺れが減ると「重たい」と感じていたものが軽減する。

上肢が軽く感じる。

ゆえにコア(体幹筋)を促通する(筋発揮が増す)と上肢が軽くなる(と感じる)。

といった具合で一つずつ丁寧につながりを考えていく。

このように知識と論理が両立してこそ自身の思考は展開でき、また他者と良質な議論が出来る。

最低限の知識と論理的思考能力は理学療法士にとって必須能力なのだ。

 

さて誤解のないように補足するが、「上司に気に入られる」という主旨からすると、ここで挙げた例をそのまま先輩や上司に質問するのは明らかにマイナスな行為でむしろ嫌われる。

実際にこれを先輩に直接聞くかどうかは関係性や先輩のキャラクターによるが基本的には避けた方がよい。

なぜならこのレベルの抽象的なアドバイスを放ってくる先輩なんて論理的思考能力のかけらもない残念な先輩だからだ。医療の現場においては実におかしなことを言いながら雰囲気だけで乗り切ろうとする人たちが数えきれないくらいたくさんいるので注意が必要だ。

ここで言いたいのは、頭の中でそう考えられる能力が必要だということだ。その能力を上司に披露する場面はここではない。

こんな奇妙な暗号文を何のフィルターもかけずに取り入れるようなことだけはしないようにしましょう、ということが言いたいだけである。

 

コミュニケーション能力

患者、家族、職員、他職種、外部の人…、理学療法士である以上色んな人と接する機会が存在する。その時のその場面でコミュニケーション能力は発揮される。

いくら知識があって、いくら論理的な思考能力が兼ね備わっていても、コミュニケーションがうまく取れないとトラブルは絶えない。トラブルが頻発すると当然ながら上司からの評価は下がる。

語弊のある言い方をすると、知識がなく論理的思考能力が低くてもコミュニケーション能力さえ高ければそこそこ評価され、知識があり論理的思考能力が高くてもコミュニケーション能力が低いとかなり評価は下がる。それほどコミュニケーション能力は上司の評価においても大きなウエイトを占める。

一方、「コミュニケーション能力は大事」とよく言われるがこの「能力」の意味する範囲はとても広い。また、知識や論理的思考能力と比べて抽象的な能力である。一口にコミュニケーション能力と言ってもその中にいくつもの要素が詰まっており、「コミュニケーション能力とは〇〇だ」と一言で言い切るのは至難の技である。このあたりはどこかで記事にしてまとめようと思う。

最低限、患者や職員から「ん?なんかこの人、変だな…。」と思われないレベルのコミュニケーション能力は身に着けるべきである。

 

以上、3つが上司に気に入られるための基礎能力。

次にその基礎がある中でプラスアルファで持つべき能力2つを紹介する。

プラスアルファで持つべき能力

学習能力

学習能力とは「一つの経験から同じような状況になったときに過去の経験を基に対応する能力」、あるいは「過去の失敗から同じ失敗を繰り返さない能力」そんな能力を指す。

例えば、スタッフカンファレンスで主治医から患者の歩行状況(主に転倒リスク)について聞かれ、うまく説明できず難渋した経験をしたとする。次に同じ症例のカンファレンスに臨むときにはおそらく同じ質問が来るだろうと予測して、10m歩行やTUGなど各種転倒と相関のある評価を測定したり、言い回しを工夫して説明できる準備をする。またそのような経験からある程度頻回に質問される項目を掴んでいき、誰のカンファレンスであってもそれらを説明するための準備をしてから臨むようになる、といった具合だ。

学習能力のない職員は一つの経験をしても「失敗しちゃった…」で終わり。別の日や別の症例に移ると全てリセットされ、結果同じ失敗を何度も繰り返す。

学習能力の本質は「抽象化能力」である。

抽象化能力とは、一つの事象から本質となる部分を抜き出し他でも応用できないかを考えたり、複数の事象から共通する性質や特徴を見つけカテゴリー分けする能力である。

例えば、患者Aさんにタメ口でしゃべっているところを上司に見られ注意されたとする。
このとき、抽象化能力ゼロの人は「患者Aさんにタメ口は使ってはいけない」ということだけインプットする。その結果、「患者Bさんにタメ口を使い」また怒られるというループを繰り返す。
抽象化能力の高い人は、「患者Aさん」だけでなく「患者さん」「高齢者」「初対面の人」「お金を払ってサービスを受ける人」などと対象を抜き出し、また「タメ口を使ってはいけない」ではなく「失礼な態度を取ってはいけない」というふうに抽象化させる。その結果「どの患者さんに対しても(タメ口だけでなく)失礼な態度をとらなくなる」といった寸法である。

当然ながら上司は同じ失敗を繰り返す職員を嫌い、一つの経験からたくさんを学ぶ職員を好む。

バランス感覚

これは能力というよりこういう概念があることを知っているかどうかという話に近い。

過去に仕事のバランス理論として記事にしたものがあるので是非読んでいただきたい。
「患者さんのため」が絶対的ではない理由(仕事のバランス理論)」

「理学療法士」は患者さんのために全力で支援する職業である一方「組織の職員」としてお金を稼がなくてはならない。

これらの役割はしばしば相反し、経営・患者満足・職員満足の3要素はトレードオフの関係で適度なバランスを保たないと事業は成り立たない。

一つ一つの仕事を上司がどのバランスで保つことを望んでいるかを汲み取っていると評価につながりやすい。

例えば、患者家族が突然リハビリ状況を詳しく聞きたいと来院してきたとする。担当が「家族が来ているから」とそれに応じれば当然その時間取るはずだった単位は取れなくなる。今、上司の重きを置いているところが経営的側面つまり単位を多く取ることだった場合、この判断は明らかにマイナス評価。例えば、すぐに上司に相談したり、「急には応じれない」とその場で断るような判断をすべきである。
逆に患者さんや家族からの希望は単位を削ってもいいから応じることを方針としている場合はそれに応じる方が上司からの評価は上がる。

このように同じ事象でも、組織の方針や上司がどこに重きを置いているかによって対応が変わり、これを掴んでおくことでその場その場の判断を正しいものへと導ける。そうなると当然上司からの評価を受けやすくなる。

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まとめ

今回は上司に気に入られる理学療法士の条件のうち「能力」に着目して解説した。

基礎能力(知識、論理的思考能力、コミュニケーション能力)とプラスアルファ(学習能力、バランス感覚)で分けたが、上司に気に入られるという点に焦点を当てた場合、やっぱり「コミュニケーション能力」が頭一つ抜けている気が…。理学療法士に限らず人間界を生き抜くためにコミュニケーションは必須ということなのか。

一方で当然「能力があるだけ」で上司に気に入られるとは限らない。

次回は別の要素について解説する。

お楽しみに。

 

上司に気に入られる理学療法士の条件とは2(姿勢・態度)

この記事を書いた人
卵屋

ブログ管理人、投稿者。
おっさん。回復期病棟で働く理学療法士。

普段から仕事や日常の出来事について熱く語り合っているおっさん達で「せっかくだから自分たちの考えを世の中に発信していこうぜ」とブログをはじめました。
おっさん達の発信が誰かの役に立てば幸いです。
よろしくお願いします。

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おっさん理学療法士はこう考える

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