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医療業界とインフレ

全理学療法士向け
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なめろうです。

 

テレビを観ていると「歴史歴な円安だ」「世界的なインフレが起こっている」「明日から〇〇品目が値上げされます」「賃金が上がらない」といった経済に関するニュースを頻繁に目にすることが多いですよね。

 

実際に自分の生活に影響をあることも実感できます。

 

そんな状況なので、普段以上に「給料を上げてほしい」という思いが強まっている方は多いかと思います。

 

 

今回は、私自身も最近気になっている“インフレ手当”なるものについて、少し書いていきます。

 

 

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インフレ手当とは

インフレ手当とは、急激なインフレ(物価上昇)を背景に、従業員の生活費を補助することを目的とした手当です。

インフレ手当のメリットとデメリット

メリットとしては、従業員のモチベーション向上や離職防止があります。

デメリットとしては、人件費率が上がることです。

インフレによって、純利益が上がり、それが従業員に給料として還元されるようなパターンだといいのですが、昨今のインフレは原価率高騰の背景も大きく、値段が上がっていることが利益向上に繋がりにくい“スタグフレーション”というようなパターンにあります。スタグフレーションの状況でのインフレ手当支給は、ただただ、経営を圧迫することにも繋がるのです。

手当を支給する側(経営サイド)としては、上記のメリット・デメリットを天秤にかけた上で、支給するorしない、するのであれば、どのように支給し、何円支給していくを考える必要があります。

 

支給方法

「支給しよう!」となった場合、どのような支給方法があるのか。

■月額手当

月々の一定額の手当として支給する方法です。

資金繰りの上で、負担を平準化できるというメリットがあるのに対して、デメリットとしては、継続的に支給する必要があり、仮にデフレになった際のリスクは大きいという面があります。

■一時金

月額手当のように、毎月ではなく、まとめて支給する方法です。

そして、賞与のタイミングで通常に賞与に上乗せする形で支給することが多いようです。

あくまで賞与額の一部なので、次回の賞与時に上乗せするのかどうかやその額を変更することもできるので、社会情勢に合わせやすいというメリットがあります。

■金銭以外での支給

お金でなく、物や食事券などを支給する方法です。

インフレによる生活への影響を補助する目的の手当なのに、支給されたお金が生活補助に利用されない可能性があります。そんな懸念をなくすために、お金ではなく物を支給する方法を選択することもあります。この方法は、税金や保険料の負担増加をしなくていいというメリットもあります。

 

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インフレ手当を導入している会社やその価格は?

帝国データバンクが2022年11月に実施した“インフレ手当に関する企業の実態アンケート”によると、

すでにインフレ手当を支給した・・・6.6%。

支給を予定している・・・5.7%、

検討中・・・14.1%

全体の約1/4の企業がインフレ手当に前向きだという結果でした。(反対に3/4がインフレ手当には後ろ向きだということではありますが。。。)

 

支給方法の割合と支給額

一時金支給・・・66%

平均支給額・・・約5万3,700円 (1万円~3万円未満が27.9%、3万円~5万円未満と5万円~10万円未満がともに21.9%、1万円未満が11.9%、15万円以上が7.3%)

 

月額手当支給・・・33%

平均支給額・・・約6,500円 (3,000円~5,000円未満と5,000円~1万円未満がともに30.3%、3千円未満が26.9%、1万円~3万円未満が11.8%、3万円未満が0.8%)

 

 

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物価と医療業界の関係

インフレ手当の支給について、1/4が前向きとアンケート結果がありましたが、我々の業界では実際どうなのでしょうか。

一般的に医療業界はデフレに強くインフレに弱いと言われています。

長期間デフレが続いていた日本において、デフレによる影響を受けにくいからという理由で、優秀な人材が医者を目指す(日本は長期間デフレが続いていた)なんてことも聞いたことがあります。

 

それは、医療業界が自費診療を除く診療報酬が公定価格(国で定められた価格)であることが大きいようです。

診療報酬を決める際に、そのときの物価状況を考慮されることは多少あるようですが、少子高齢化で社会保障の原資確保がしにくい状況を考えると、物価指数の上り幅ほどの診療報酬増は見込みにくいと考えます。

また、報酬改定は2年に1回という決まりがあるので、社会情勢の変化に応じたタイムリーな対応はできないという側面もあります。

 

こんなデータがあります。

東京商工リサーチが2023年4月に実施した、“コスト上昇・価格転嫁に関するアンケート”です。

そのアンケートでは、コスト上昇分を価格転嫁できていない企業は全体42.2%となっているのに対して、業種別でみてみると医療業は94.7%が価格転嫁できていないという結果でした。

このアンケート結果からも、医療業界が物価変動しても報酬は変わりにくいこということも言えるかと思います。

 

 

まとめ

インフレに弱い医療業界ですが、インフレ手当を支給している病院はあります。

支給するに至った経緯はわかりませんが、経営者としてはなかなか重めの決断だったんじゃないかと思います。

ただ、そう決断できたのは、普段から従業員が生産性のある働きをしていたからではないかとも思います。

 

今後の景気はわからないですが、従業員が生活で困らないように経営者には頑張ってもらいたいと願うのと同時に、従業員として生産性を上げ、インフレ手当など賃金を上げてもらえるように頑張っていけたらと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事を書いた人
なめろう

バランス重視のサラリーマンPT
訪問看護ステーション勤務

全理学療法士向け
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