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第25話 気晴らしの鍛錬(4)

 

 

あたしの名は、西宮弓香(にしのみやの・ゆみか)・・・中学生の頃、たまたま電影(テレビ)で、“都一の最強陰陽師”安倍忠麿(あべの・ただまろ)課長の事が報道されて、“その格好良さ”に、胸が“キュンキュン”しちゃったんだ

 

それで、あたし陰陽師になって、憧れの忠麿課長のパートナー(勿論、お仕事のね)になれないかな~~っと、ショッピングセンター等で占術してる術者に観て貰ったら

 

「君は、充分に陰陽師としての器量はあるぞよ」

と、言われた時は、飛び上がるほど嬉しかったよ~~

 

中学校卒業後は、忠麿課長と同じ、弓削家系の陰陽師育成機関で“憧れの人(安倍忠麿)と一緒にお仕事するんだ!!!”っと目標で、厳しい教育と鍛錬を耐え、やっと陰陽師資格の取得して

 

中央政府の特殊組合『陰陽道組合』の入組試験も見事に合格!!!!

 

晴れて入組したのは良いのだけど、最初は、あの屋形正彦のいた部署に配属され、忠麿課長(当時は主任ね)が配属されてる春日課長(今は引退)の部署にならなくて、ショックだったけど・・・・

 

『それでも、憧れの人と一緒にお仕事したいんだ!!!』と強い決意で、何度も何度も“転部署届”出したら、半年で、忠麿課長のいる部署に転部出来たんだ

 

これで、忠麿課長と一緒に仕事が出来て、いつしか“頼れる”陰陽師になっちゃうぞ~~~と、胸を躍らせてたら(きゃっ・・・“これ以上”になったらどうしようかな~~と、悩んじゃったけど)

 

そこには、あたしにとって、“脅威の存在”がいたの・・・・それは・・・・

 

あの憎っくき、『陰陽道組合』の問題児で、“万年平組員”・“組織の腫瘍”・“和を乱す奴”などと言われ、何かと“もう悪い噂しかない”忠麿課長の兄・安倍訓麿(あべの・さとまろ)!!!!

 

あんな“問題児”でも、忠麿課長は、何かと頼ってるの・・・・

 

確かに、あの人・・・陰陽術でも“難易度の高い”『式神術』を扱えるのは“凄い”と思うけど・・・・肝心の基礎的な“陰陽術”は、ほぼ使えないと言うじゃないの!!!!

(その為、陰陽師の資格も持っていないみたいで、何故『陰陽道組合』に入組出来たか疑問なのよ・・・)

 

そんな人に、忠麿課長を任せる訳にはいかない!!!!

 

だから、あたしは、陰陽術の技を磨き、何時しか訓麿さんより“頼られる”陰陽師になれる努力をしてるんだよ~~

 

・・・・・

 

あたしは、貢治くん、泰隆くんと一緒に、忠麿課長と訓麿さんの安倍兄弟VS白櫻尼様の対決を見守っているんだ

 

忠麿課長の陰陽術と、訓麿さんの式神術の連携で、白櫻尼様を追い詰めているんだけど、白櫻尼様、その2人の連携をものともせずに、自在な体術と“瞬間移動”で躱し、妖術を用いて2人を翻弄させてるのよ

 

まるで、忠麿課長と訓麿さんを子供扱い・・・いえ、“鷹”がまるで“雀たち”を相手にして“遊んで”いる様に見える

 

白櫻尼様が、いくら“災害を起こす魑魅魍魎”とは言え、あの忠麿課長でも“傷1つ”付ける事が出来ないでいる・・・

 

“人語を話す魑魅魍魎”を、単独でも討伐できる忠麿課長が、いくら訓麿さんと連携しても“災害を起こす魑魅魍魎”を追い詰める事が出来ないと思ったら

 

あたしにとっては、“言葉を語る魑魅魍魎”でも、物凄く手こずるのに、“災害を起こす魑魅魍魎”となると、一瞬でやられてしまうと思うくらい、その二つの魑魅魍魎の差が“大きい”事に、驚愕したと同時に、えもしれない“恐怖感”も持ってしまったよ

 

でも、忠麿課長に“勝って欲しい”(訓麿さんはどうでも良いけど・・・)

 

あたしは、命一杯(めいいっぱい)“応援”し、忠麿課長を見守る事しか出来なかったよ・・・・

 

・・・・・

 

私と兄で、白櫻尼を廻り込み、逃げ場を失わせながら

 

「陰陽術・砂鉄の細尖針!!!」

と、私が唱え、具現化した“大量の砂鉄で出来た小さな針”を刺し向け、白櫻尼に陽動を掛けると、兄が白櫻尼の“陽動”を見抜き

 

「いけ!!!クズノハ!!!!」

と、式神を用いて、白櫻尼を牽制し、私が、その隙を突いて、さっきの陰陽術より大きい術を掛けようとするが

 

『なかなかの連携ぶりだな・・・』

と、白櫻尼、余裕の笑みをしながら

 

“大量の砂鉄の小さな針”を、羽の風圧で払いのけ、向かってくる式神に蹴りを入れて、追い払い

 

『妖術・火炎の旋風弾!!!』

と、素早く、手のひらから、“大量の火を纏った小さな竜巻”を、私たちに向け広範囲に攻撃し、私たちは、それらを躱す余裕がないため

 

「「陰陽術・多重結界!!!!」」

 

と唱え、私たちを“ガラス張りドーム”で囲み、“その妖術”を防いだが

 

『ほれ、どうした~~忠麿に訓麿よ・・・』

と、いきなり白櫻尼が、私たちの背後に現れ、葉団扇を振り下ろすと

 

その葉団扇から、“巨大な旋風”が撃ち込まれ、私と兄は、その旋風に巻き込まれ、

木々の葉の多い茂げる場所にぶつけられた

 

“葉のクッションにぶつかって助かった・・・”

と、ホッとしたのも束の間・・・・又もや“巨大な旋風”が襲い掛かり

 

「「おい!!!!少しぐらい手加減しろよ!!!!」」

と、兄が絶叫し

 

「「兎に角、この場から離れよう!!!!」」

と、私は叫びながら

 

私たちは、一目散に“その妖術”から逃れる事が出来た

 

『どうしたのだ安倍兄弟?・・・・そなた達の“能力(ちから)”は、そんなものか』

と、白櫻尼、ため息をつき、肩を落としながら嘆いていた

 

私は、その舐めかかった白櫻尼の態度に“カチン”と来たが、相手は“災害を起こす魑魅魍魎”・・・そう簡単に倒す事は出来ないと悟り

 

“どうやら、小手先の戦術で討つ事は出来ないみたいだな・・・”

と、思い立ち、覚悟を決めて兄に

 

「「兄上!!!!あんたの最高の“式神術”で、白櫻尼様の足止めを出来ないか?」」

 

と、大声で懇願すると、兄は、私の顔をじっと見た後、ふっと微笑を浮かべ

 

「分かった・・・どうやら、“そこまで”しなければならないって訳だな」

と、呟くと、早速

 

「クズノハ、ヤヨイ、タマ・・・・ご苦労さん」

と、言うと、3人の式神が、元の“人型の呪符”に戻り

 

「忠麿の奴、白櫻尼のばあさんを倒すのに“その覚悟”を決めた以上、この俺も“全力”で答えなきゃな」

と、淡々と囁いたあと

 

「「俺の“最高傑作の式神”のお出ましだ!!!!!」」

と、気合の入った絶叫で唱えたと同時に

 

5メートルはあろう、6つの腕を持つ、巨大な人型起動兵器の“式神”が出現!!!!

 

その“式神”の身体のあらゆる場所に“兵器”らしき物が装着され、その起動兵器の頭には、兄が乗っており

 

「「おら!!!!白櫻尼のばあさん!!!!覚悟しろや!!!!」」

 

と、掛け声を共に、超速で白櫻尼に向かって、6つの腕を駆使し攻撃を仕掛けた

 

『訓麿よ、なかなか面白い“人型の絡繰”を操るものだな~~』

と、白櫻尼、余裕の笑みを浮かべながら、兄上の式神を相手に対戦をしていた

 

私は、その間に、懐から“勾玉”を取り出し、“呪符”に添えながら、“ある(みことのり)”を唱えた

 

・・・・・

 

俺は、安倍訓麿(あべの・さとまろ)・・・“組織の除け者”で安倍忠麿の兄だ・・・

 

何時もは、忠麿が、この物語の“ナレーション”するが、奴が“ある術”を唱えるまでは、少しの間、時間が必要だから代わりに、俺が、“あのばあさん”との戦いの“実況中継”するしかないんだわ・・・・あ~~面倒くさい!!!

 

俺は、“式神”起動兵器『アシュラン』を具現化させ、六つの腕を駆使し、白櫻尼のばあさんに立ち向かったが

 

『訓麿よ、なかなか面白い“人型の絡繰”を操るものだな~~』

 

と、白櫻尼のばあさん、仮面の下の“にっこりした口唇”を見せながら、繰り出す六つの“拳”を、葉団扇と羽を上手く使って躱してくれたよ

 

“魑魅魍魎のくせに、体術を使いやがって・・・”

と、心の中で毒付きな、この天狗の次の“手”が来るのを待ちながら、躱される“六つの拳”を振り廻していた

 

『これでは、埒があかない・・・』

と、呟いた、白櫻尼のばあさん、『アシュラン』の前を、忽然と消えた

 

俺は、その瞬間に『アシュラン』の肩パットから、“大量の浮遊弾”を俺の周囲にばら撒いた

 

『なるほどのう・・・“それ”を使って、妾を“捉えよう”としたか』

と、俺の周りの“大量の浮遊弾”から離れた場所に現れ

 

「「いけーーー“浮遊弾”―――」」

と、すかさず、白櫻尼のばあさんに向けて突撃させたが

 

『ふん!!!こんなもので妾を倒せるとも?』

と、白櫻尼のばあさん、葉団扇を仰いで“浮遊弾”を防いでくれたよ

 

“そんなものは想定内だ!!!!”

 

俺は、既に六つの腕を集結させ、“光の塊”を発生させ、白櫻尼のばあさんの隙をついて、それを“閃光化”させ発動

 

『ちっ!!!これが狙いだったのか!!!』

と、流石の白櫻尼のばあさんも、瞬時の“光の帯”から逃れなかったのか、まともに喰らってくれたよ

 

“光の帯”が消えると共に、白櫻尼のばあさんの“姿”も無かった・・・・

 

“もしかして、ばあさんを本当に倒してしまった・・・いや、本気でやらなきゃ俺らの命が危ない”

と、複雑な心境になりながらも、白櫻尼のばあさんに“悪い事”したな・・・忠麿に“これ以上”負担かけないで済んだな・・・・と安堵してると

 

『何をしている・・・・“あれ如き”で、妾を“倒した”つもりか?』

と、俺の“耳元”で囁いて来た

 

俺は、その囁き声の方を振り向いた頃には、“既に”『アシュラン』の六つの腕がもぎ取られていた

 

その振り向いた正面には、白櫻尼のばあさんが、能面な面持ちで立ちはだかり

 

『安倍訓麿、中々面白い“余興”だった・・・・蘆屋童児(あしやの・どうじ)にも勝る闘い振りだったぞ』

と、訳の分からない台詞を吐いてたが、白櫻尼のばあさんから醸し出す“闘気”に触れ

 

俺は、“もう死ぬかもしれない”と言う、“恐怖感”を持ってしまった

 

白櫻尼のばあさんの、手のひらから“巨大な空気の渦”を作り出しながら

 

『少々再起不能なるが・・・安心しろ、“殺し”はせん』

と、語りながら、その“空気の渦”を投げようとし、

 

「このままで、“死んで”たまるか!!!!」

と、俺は“恐怖感”を拭い去り、相打ちを狙い、『アシュラン』の身体中にある“兵器”で攻撃を仕掛けようとした時

 

白櫻尼のばあさんの周りに、『太陽の印』現れ、それに驚いた白櫻尼のばあさんが

 

『これは、もしかして!!!!忠麿、“その術”が使えるのか!!!!』

と、藻掻き、その“太陽の印”から逃れようとしたが

 

『訓麿に気を取られ過ぎて、油断した!!!!』

と、“太陽の印”から逃れる事が出来ないでいた

 

 

「「兄上、直ぐに“そこから”離れてくれ!!!!」」

と、大声で叫んだので

 

俺は、直ぐに“そこから”撤退!!!その後、忠麿は

 

「「「 究極(きゅうきょく)陰陽術(おんみょうじゅつ)神召喚(じんしょうかん)『太陽神・アマテラス』!!!!」」」

 

と、並みの陰陽師では、“到底”使う事の出来ない“究極の陰陽術”を唱えやがったのである

 

 

第26話へ続く・・・・・

 

 

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