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  • 執筆者の写真池永敏之

息子が開いたヘアーサロン



 私の次男は理容師と美容師の資格を持ち、子どもの時から通っていた理容店で働いた後、昨年の7月に円満退職し、9月に船橋市でSWITCHという自分の店を始めました。これがとてもユニークで、看板も、理容店を示すクルクルポールもないので、外見では何のお店か分かりません。新京成線の二和向台駅の南口から商店街を通り、京葉銀行の前の幹線道路を渡って、細い路地を入った10mほど先の右手にコバルトブルー色の外壁に白い縁取りの出窓のついた2階建ての店舗があります。玄関扉も白い格子に透明のガラスがはめ込まれていて、小さなペンションか、喫茶店のようにも見えますが、中を覗くと理美容室であることが分かります。大きな鏡と専用の椅子が目に入るからです。


 前の路地は住宅街に通じているので、人通りが多く、開店当初は物珍しさから「何屋さんですか?」とよく聞かれたといいます。この店から、半径100mほどの間に理容店が5店舗もあり、いずれも1500円から2200円という低価格を売りにしています。こんな激戦地で大丈夫なのかしらと心配する私に、息子は平然として客層が違うから平気と意に介しませんでした。私はこの店の経理を任されており、数字をもとに店舗経営を観察していくと、息子の経営理念や方針、顧客ターゲットなどがわかり、自信を生む源泉が徐々に明らかになってきました。


 この店のビジネスモデルは「完全予約制のプライベートサロン」。ネットで予約して、待たずに、顔見知りの店主と、マンツーマンで会話を楽しみながら、一般の理美容店並みの価格で、理想の髪に仕上げてもらえるというものです。一人一人に時間をかけて丁寧に対応するため、一日の顧客数を絞り込み、その分、営業日数を増やしています。(週休1日制・木曜定休)。また、2階は住居スペースですが使っていないため、ボールプールなどの遊具を置き、子連れ客の予約のあるときは、美容師の資格を持つ息子の嫁と小三と4歳の孫娘が遊び相手をするので、夫婦と子供、家族そろって来店されるお客さんもあります。


 お客様とお店は、インスタグラムを通じて繋がっており、仕上がりの髪形の画像が日々、常に更新され、投稿されています。私も毎日チェックしていますが、みんなとってもオシャレで、テレビで見る俳優やモデルさんのような髪型をしています。髪型には、フェード、フェードスタイル、ハイトーン、ツイストスパイラルといった名前がついているようですが、オジンの私にはよくわかりません。


 このお店のオーナーはここで美容室をやり、2階に住居を構えていました。このため店舗の設備は居ぬきでそのまま使えるので、初期投資は壁紙の張替えや照明器具の取替、エアコンの付け替えなどで済み、経費が大幅に節約されています。一般のヘアーサロンの開業だと、椅子や洗面設備と改装で150万円以上となり、市へ固定資産税を納める必要があるのですが、SWITCHの場合は免税となりました。


 小三から1歳までの子供4人と家のローンを抱え、家計は大変ですが、夫婦二人で仕事に、子育てにと頑張っています。私はただ、みんな健康で事故などないようにと祈るのみです。



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