事例をまとめたり、現場で記録を書いたりする際に、意外と使うのが、職名の「略称」です。
略称として、広く知られているのは、看護師さん Ns(ナース)ですよね。
ナースと言えば多くの人が看護師さんのことを思い浮かべると思いますが、福祉系の職種にはいろいろな表現があって、誰が知っている統一の表現が難しい状況があります。
今回は福祉系の職種の略称表記について考えてみたいと思います。地域や分野によって異なる部分があると思いますが、今回は、職能団体の英語略称を参考にまとめました。
略称と言っても、正確な英語表記ではなく、福祉や介護とその周辺の領域で福祉系職種をどう表現されているかの整理です。
事例検討会や記録等、日々の業務で利用するための整理としてご理解ください。
まず結論から 略称(基本・詳細)
福祉系職種の略称(基本)
一番、おおざっぱに分類するとこうなります。
- 介護職:CW Care Worker(ケアワーカー)
- 相談職:SW Social Worker(ソーシャルワーカー)
- ケアマネジャー:CM CareManager(ケアマネジャー)
もう少し、正しく整理すると次のようになります。
CareManagerをケアマネージャーと表記される人もいますが、厚生労働省の表記によると、ケアマネジャーが使われています。
福祉系の職種の略称(詳細)
- 介護職(ケアワーカー)
■CW(Care Worker):資格種別、有無を問わないケアワーカーの総称
■CCW(Certified Care Worker):介護福祉士の資格者の呼称
※Certified (サーティファイド)とは、 公認の・ 認定された・ 有資格の意味
・
・ - 福祉系の相談職(ソーシャルワーカー)
■SW(Social Worker):福祉系の相談員の総称
■CSW(Certified Social Worker):社会福祉士の資格者の呼称
■MHSW(Mental Health Social Worker):精神保健福祉士の資格者の呼称 ※昔はPSW
■MSW(Medica Social Worker):医療分野で仕事をするソーシャルワーカーの総称
・資格を問わず、病院の地域連携室、医療機関等を仕事をする相談員の総称
・気になること
社会福祉士をCSWとすると、コミュニティソーシャルワーカー(CSW)Community Social Workerと区別がつかなくなるという意見があると思います。
しかし、人数的には社会福祉士の方が圧倒的に人数が多いのと、コミュニティーソーシャルワーカーさんの基礎資格は社会福祉士だと思うので、CSWは社会福祉士に譲ってもらって?CoSWにしてもらえると分かりやすいですね。
・
- ケアマネジメントを担当する職種
■CM(Care Managaer):ケアマネジメントを担当する職種の総称です。
・介護支援専門員(介護保険)
・相談支援専門員(障害福祉)
・その他の分野でケアマネジメントを担当する職種もケアマネジャーと呼んでいます。介護支援専門員の全国組織が、Japan Care Managaer Associationと名乗っていますから、他の職種の団体は同じにはできないですね。
相談支援専門員さんは、Nihon Soudanshien Senmonin Kyoukaiの略で、NSKと略しています。(後述)
公的資格に関係する職能団体の表記
各職種が所属する職能団体の名称と英語での表記は次のようになっています。
各職能団体の名称と英語表記
- 公益社団法人 日本社会福祉士会
Japanese Association of Certified Social Workers
・ - 公益社団法人 日本介護福祉士会
The Japan Association of Certified Care Workers
・ - 公益社団法人 精神保健福祉士
Japanese Association of Mental Health Social Workers
・ - 一般社団法人 日本介護支援専門員協会
Japan Care Managaer Association
Association(アソシエーション)とは:団体、組合の意味
【社会福祉士・介護福祉士】
社会福祉士、介護福祉士には、Certified (サーティファイド)がついていますね。
Certified は、公認の・ 認定された・ 有資格の意味で、
公認のソーシャルワーカーさん、公認のケアワーカーと意味なります。
国家資格という意味で言えば、国公認のソーシャルワーカー、ケアワーカーという意味です。
【精神保健福祉士】
精神保健福祉士も国家資格ですが、表記が違いますね。
精神保健福祉士さんは、PSW(精神科ソーシャルワーカー)と呼ばれていましたが、2020年に英語表記が変更されたとの解説がありました。
Mental Health ソーシャルワーカーになって、わかりやすくなった気がします。
(正直、PSWの方がなじみがありますが・・)
【介護支援専門員(ケアマネジャー)】
介護支援専門員の試験は都道府県が行いますが、全国統一の試験日・問題で実施される公的資格です。試験は、介護支援専門員になるための実務研修を受けるための試験という位置づけです。
試験の名前は「介護支援専門員実務研修受講試験」と言います。面白いですね。
資格そのものを規定する法を持つ社会福祉士等、他の3つの資格とは異なります。
上記以外の職能団体など
障害分野のケアマネジャーさんである、相談支援専門員の団体として、日本相談支援専門員協会というものありました。
ここでは、Nihon Soudanshien Senmonin Kyoukaiの略で、NSKという団体名の略称を表記されていました。
ちなみに、ソーシャルワーカーに関係する全国組織は4つありました。
①日本社会福祉士会
②日本精神保健福祉士協会
③日本医療ソーシャルワーカー協会
④日本ソーシャルワーカー協会
※①~④が合同で、日本ソーシャルワーカー連盟を組織しているようです。
医療系職種と異なり、資格が統一されていないこともあり、組織も多岐にわたるため、非常にわかりにくいです。
なぜ、福祉系の職種は表記が難しいのか?
理由はいろいろあると思いますが、身近な現場レベルの話をさせていただくと・・
- 職種、資格名としての認知度、知名度も医療職を比較すると高くないため、共通の呼称も根付きにくい。
一般の方は、看護師(ナース)は知ってても、介護福祉士(介護職、ケアワーカーなど)を知らない人が多い。
・ - 福祉系の職種は、国家資格がなくても、就業できるため統一の呼称が定まりにいくい。
介護職の資格等は、国家資格である介護福祉士以外にも、実務者研修(修了者)、介護職員初任者研修(修了者)、社会福祉主事(任用資格)などがおられます。
職種としての呼び方:介護福祉士、介護職、介護職員、介護士、ケアワーカー等
介護保険の関係では、介護をしている人の総称を、介護職員と表記しています。
(例)厚生労働省は〇月〇日、介護職員は近い将来必要になる介護職員数を発表しました。
今回のテーマとは離れますが・・
わたしは、介護福祉士さんを、「介護士」と表現することに、少し抵抗があるんです。
介護福祉士さんて・・
介護+社会福祉援助技術(ケースワーク・グループワーク・コミュニティーワーク等)を使う専門職だと思うんですよ。福祉職であることを大切に表現できる略称はないんでしょうかね??
参考 医療系職種の略称(例)
手元にある資料などで、調べてみました。
難しかったのは歯科医師さん、管理栄養士さんです。地域によって表記が違ったり、資格者の専門性によって分類する考え方も紹介されていました。あくまでも、参考例としてご確認ください。
医 師 | ■Dr Doctor(ドクター) ※ドクターには、博士号という意味と治療するという意味があるようです。 Yahoo!知恵袋のリンク |
保健師 | ■PHN ・Public Health Nurse(パブリック ヘルス ナース) |
看護師 | ■Ns ・Nurse(ナース) |
管理栄養士 | ■RD ・Registered Dietitian(レジスタード ダイエティシャン) ■NM ・nuturition manager(ニュウトゥリション マネ-ジャー) |
理学療法士 | ■PT ・Physical Therapist(フィジカルセラピスト) |
作業療法士 | ■OT ・Occupational Therapist(オキュペイショナルセラピスト) |
言語聴覚士 | ■ST ・Speech Therapist(スピーチセラピスト) |
歯科医師 | ■Dr Doctor(ドクター) ■Dentist(デンティスト) ※以下はあまり適切でないと、歯科医師さんからお尋ねしました。 どちらかというと口腔外科とか専門の領域を示すようです。 ■Doctor of Dental Surgery ・(ドクター オブ デンタル サージャリー)【D.D.S】 ■Doctor of Dental Medicine ・(ドクター オブ デンタル メディスン)【D.M.D】 ・ 参考:DDSとDMDの違いについて上記以外に、「DDr」という表記もありました。 (Dentist+Doctor)か(Dental+Doctor)の略。不明です。 |
歯科衛生士 | ■DH ・Dental Hygienist(デンタル ハイジニスト) |
歯科技工士 | ■DT ・Dental Technician(デンタルテクニシャン) |
おわりに
記事として整理をすると、福祉系職種で働く人の資格や呼称が多岐にわたっていることが、よくわかります。多様化している介護人材を表しています。
今回の記事でスッキリする人、しない人もおられると思いますが、略称を用いる時には、事業所や地域で共通ルールを定めることが大切だと思いました。
今回は、各職能団体の英語表記を参考に福祉・介護系職種の略称を考えてみました。よろしければご参考下さい。
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。