EbじゃなくてE、ロイヤルの意味は・・・・昭和の洋食探検

日本のどの辺りからが「Eb」ではなく「E」なのだろう? っあ、音楽の話ではありません、名称の話なんです。

me(メ)とmi(ミ)。音楽用語のEb と Eの読み方と一緒。長調と短調を歌い分けるときに、Eの音をmiと発音してEbの音をmeと発音するんです。長調をカタカナで書くとドレミファソラシド、短調をカタカナで書くとドレメファソルェテェド。イタリア音名とは言うものの、カタカナでは半音の区別はできていませんよね。

半音低いところの母音をeに変換すると、

do re mi fa sol la ti do。

do re me fa sol le te do。

これなら完璧な歌い分けができます。

まぁ、これは音楽の話ですが、メンチとミンチの違いも何か引っかかるものがあります。特に洋食を食べに行くと・・・。

お店のメニューディスプレイにある「ミンチカレー」。

ただいま実家のある松山に滞在中で、食事時になるとこの問題に(大袈裟)ぶち当たるのです。ここは千舟町の「キッチン・ライオン」。1964年創業ですから58年の歴史。僕が気がついた時には「カレーのライオン」と呼ばれていました。カレー専門店ですが、最近よくあるカレーに種類があるのではなく、一つのカレーにさまざまなトッピングがあるタイプで、カレーの味に自信がなければできない商売です。

この街のソウルフード入りしているカレーは気が遠くなるほどの玉葱を根気よくローストしてフォンの効いたベースからなる欧風カレー。コクが半端ないカレーです。

僕のお気に入りはコロッケカレー。基本何もトッピングしないカレーが一番美味しいと思うのですが、あるランチタイムの時にビジネスマンやOLさんたちが「コロッケカレー」「コロッケカレー」を連発するので気になって試してから、もう病みつき。

でも、本日は「ミンチカレー」。Eです。ミです。

学生時代に、ミンチとメンチのことで周りに質問したところ「ミンチは牛挽肉でメンチは牛と豚の合挽き」と言う話や、「ミンチを揚げるとメンチカツになる」とか、様々。僕自身の経験からすると関西はメンチ、関東はミンチという感じがするんですが、うどんや蕎麦のつゆのように「大垣」付近とかという明確な境界は掴んでいません。

ともあれ「ミンチカレー」。

キター♪───Ｏ（≧∇≦）Ｏ────♪

『ミンチカレー』松山市千舟町キッチン・ライオン製

カレーの辛さは普通のままでオーダー。この欧風カレーはノーマルな辛さが一番美味しいと思う。で、ミンチ。これをハンバーグカレーと言わないところがミソ。あくまでもトッピングだからハンバーグではない、ということだろう。なるほどカレーともよく合う。

もしもこれがメンチカツ(ミンチカツ)だったらどうだろう。カツカレーは別にあるし、揚げない挽肉の固まりだからカレーを邪魔しない。うまくできたもんだなぁ、と思いつつ完食。

ご馳走様でした。

さて、滞在中のもう一軒はライオンよりもさらに古い洋食屋さん。しかし、僕はこの前の松山滞在で初めて行ったお店。実家から一番近い洋食屋さんにもかかわらず。

1959年創業の「キッチン・ブルドッグ」。

この町に住む知り合いのほとんどが知っているお店なのに、ほとんどが入っことがない、というのもこのお店の特徴(?)。かくいう僕もその一人だったのだから。

なぜそうなるのか?

まずは場所が中心地であるのに繁華街ではなくて住宅街にあること。路面電車が道路の真ん中を走る大通りの繁華街と反対側の細道にあるので“ふらり”と行きにくいこと。二つ目は外から中がよく見えないので不安に思う作りだということ。でも最近のお店は客の心理を揺さぶる造りに凝ったところが多く、入りやすい反面、食べ物の出来は如何か? というところばかり。それもあって冒険しているところだ。

で、前回ノックアウトされた昭和の懐かしい洋食屋さんのデミグラスソースに誘われて今回は前回メニューで見て気になっていたものを注文。

それが・・・・

「ロイヤルハイシ」。

ハイシとは、昭和の時代に洋食屋でよく見かけた「ハヤシライス」の別称「ハイシライス」。地域によるものか、何によるものか定かではないけれど「ハイシライス」という名称は絶滅危惧種となりつつある。

そんな懐かしい名称を見かけたものだから、これは食すべし、と。

キター ♪───Ｏ（≧∇≦）Ｏ────♪

『ロイヤルハイシ』松山市歩行町キッチン・ブルドッグ製

おお! これがロイヤルを冠するハイシライス!

もちろん、あの、ノックアウトされたデミグラスソースがベースになったハイシライス。肉ゴロゴロ入ってます。

玉子の下には肉がゴロゴロのハイシライス。あのコクのあるデミグラスソースがベースの。しっかりと堪能しました。

ここのメニューにも「ミンチカレー」ありました。

やはりこの辺りでは Eb ではなく E なんですね。

おお、牛カツもあります。ビーフカツ、ビフカツです。数年前に閉店した洋食の老舗イタリア軒でもビフカツが贔屓でした。おみやにビフカツサンドも頼めました。嬉しいことに、ここにはまだある! 今度はチャレンジしてみたいですね。

街(町)の洋食屋さん。どんどん姿が減っていますが、独特のメニューがたくさん。全国津々浦々まで同じ味付けで感化されないように、自分の目と舌で応援して行きましょう。これも立派な文化ですもの。