不妊治療の際に医学的介入が流産・死産を改善する効果について

不妊治療に際して、従来重視されるのは妊娠が確立するか否かという点です。しかし最終的に治療が奏功したかどうかは生児を得られるか否か、で評価する向きもありとりわけ妊娠が困難であったケースでは流産は当然大きなショックになります。一方でどういった介入が流産率を減らすのに有意な効果があるかはあまり検証されていません。 医学的に一

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iPS細胞の生殖医療への応用に関する最近の展望

iPS細胞は2011年に山中伸弥先生のノーベル賞受賞で有名になりました。4つの初期化因子(Oct4, Sox2, Klf4, c-Myc)のみから容易に幹細胞を作成することが従来は卵子を操作して得ていたES細胞に比べて画期的な発見と評価されたのでした。 しかし、それから10年以上たっても有用な実用組織は得られていません

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排卵日の予測について

 現在、一年間正常な性交渉のあったカップルは99%の確率でお子様を授かることができると言われています(逆に一年で妊娠に至らなかった場合は不妊となります)。ですがこれは毎月適切なタイミングでの性交渉があったという前提の上の議論です。 その上、提供者はパートナーとは異なり生活を共有しているわけではありません。実際にお会いで

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卵子提供について

 卵子提供について当活動の考えについてご質問があったので、特に40代半ば以上の方を対象にここで触れておきたいと思います。  40代になると自分自身の卵子で授かることは難しくなってきますが、40代のどの段階にあるかが大きいかと思います。40代になったばかりであれば、体外受精や子宮内に直接精子を導入するなど確率の高い方法で

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生殖細胞系列に対するゲノム編集から思うことなど

 先だって中国の上海にて、ヒト胚に対してゲノム編集を施したのちにIVF(in vitro fertilization)にて双子の妊娠に至ったという報告がありました。 用いられたCRISPER/Casは塩基配列をDNAの任意の部位に組み込むことができる画期的な技術で、 2010年代から頻繁に文献に登場するようになってきた

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出自を知る権利について

 お問い合わせがある中で、このような質問をいただくこともあります。重要なことだと考えますので、ここに個人的な考えを記したいと思います。  人間の発達段階において、自分が何者であるか、という問いへの答えは青年期、概ね20代半ばには得なければならないものです。その答えはさまざまだとは思いますが、そこに自分自身の存在の成り立

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一回ごとの成功率について

 一回でうれしい結果となれば、これ以上のことはありません。ですが、一回の施行ごとの成功率は方法や年齢、精子の質に大きく依存してしまいます。精子の質については、精液1㎖あたり運動している精子2000万以上あれば妊娠率は高止まりとなり変わりませんが、提供者は運動精子が1㎖あたり5000万以上ありますのでこの点については問題

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