前のブログ(8月16日)で相場観は

 

"【基本スタンス】

先行きの不確定要素が多くて、とりあえずリスクテイクは現状維持

(決して弱気ではないが、様子見で良いんじゃない??)”

 

って書いてたんですが、その後の相場展開は、8月17日の日経平均29,222円をピークに軟調な展開になってますね。

(ただの偶然ですよ)

 

 

(出所:Yahoo)

 

相場反転の契機になったのは、8月26日にジャクソンホールで行われた、パウエルFRB議長のスピーチかなと思います。

Speech by Chair Powell on monetary policy and price stability - Federal Reserve Board

 

同じことを何度も繰り返しているスピーチですがその一部を引用すると。

”While higher interest rates, slower growth, and softer labor market conditions will bring down inflation, they will also bring some pain to households and businesses. These are the unfortunate costs of reducing inflation. But a failure to restore price stability would mean far greater pain.”

 

”高金利、低成長そして労働市場の軟化がインフレを抑制する一方で、家計やビジネスにある程度の痛みをもたらすものである。これらはインフレ抑制の不幸なコストである。しかしながら、物価安定を回復の失敗は、より大きな痛みを意味することになるだろう。”(拙訳失礼)

 

要するに、インフレはそろそろピークアウトしそうなんで、FRBも金融引締めを減速するんじゃないかという市場の期待(おねだりってレベルかも)に対して、貨幣の価値を守る(=物価を安定させる)ことがFRBの本来の役目であって、株式市場とか為替市場とか俺の知ったことじゃないと断言しておるわけですわ。

連銀の議長としては正しい発言でありまして、アメリカの家計は所得と貯蓄・投資の両輪に押されて消費を行っているわけで、その生活を守るっていうのは政府の仕事だってことですかね。

 

今回のインフレがやっかいなのは、資源価格の高騰(外的要因)と、賃金の上昇(内的要因)の両面がその原因となっていることでしょうか。

資源価格の高騰は、コロナ感染拡大下における経済活動の制約が解かれたことによる一時的な需要の拡大(もうそろそろ落ち着くかね)と、ロシアのウクライナ侵攻という地政学的な問題によるエネルギー需給のアンバランス懸念(当面続きそうですね)というドライバーがあったのかと。

賃金の上昇は、コロナでいったん解雇したした失業者が再就職するにあたって、コロナを経てリタイア組が急増したことと移民の数が減ったことで、労働市場の需給バランスが労働者側にフェイバーとなったことかなと。

もうひとつ付け加えるとしたら、中央銀行の超低金利政策と政府の家計への補助金ダイレクトインは、資産価格の上昇(いわゆるプチバブル)、つまりは住宅価格の高騰を産んでいて、これが帰属家賃の上昇として遅効的にインフレ指標を押し上げていることもあります。

 

こんな複雑な要因で動いているインフレをどうやって抑えるんだろうかという解は難しすぎて。

一つだけ言えることは、パウエルはインフレがコロナの影響受けてTemporaryだっていう誤った判断をしたために、金融緩和の解除から引き締めに向かうことが遅れてしまい、現在の惨状を産んだってことですね。

人間って一度間違えると、次は意固地になってどツボにはまるっていう、墜ちていく人間にありがちなドラマが待ってるように思います。

私が相場に強気になれない理由はここですね。

 

市場と中央銀行の体温とかベクトルがすれ違っているとき、えてして不幸になるのは市場です。

昔はイギリスポンドをめぐるヘッジファンドと中央銀行の戦いとかありましたが、今では、中央銀行に逆らう奴らは金融監督の立場から叩き潰されるという怖いルールメイクがありますからね。

 

そういう観点から、私が強気になるのは、FRBが9月10月とタカ派的に利上げをして”痛み”を無意味に与えて相場が急落するタイミングですかね。

ダウでいえば3割ダウン(25,886ドル)、ナスダックでいえば5割ダウン(8,106p)あたりに。米国10年債が4%につっかけるあたり。

ここまできたら、ありったけの(嘘です)待機資金を普通にインデックス投信に入れちゃうと思います。

 

それって、相場観としては弱気なんじゃないかと突っ込まれそうですが、「買い場探し」ってスタンスですから、今持っているものを売る必要はなく、下がっても投げ売りしたりせず、下値でしっかり拾うということなのです。

 

リスクとして認識しておくべきことは、株価が下がった場合、米国中間選挙に与える影響が危惧されます。

政府が国民に金をばらまいてインフレにしておいて、金利を遅れて上げて金融市場を駄目にしたって批判は当然出ると思います。

トランプ君の出番ですねって話になるとまた、ややこしくなりそうです。

 

 

どうして米国株式市場?日経平均は?

日銀が筆頭株主の国の株の価格水準何てなにか意味ありますかね。

(って冒頭にチャート乗せてるじゃん笑)

日本はコロナでも雇用を守ったので、労働市場の流動性がまったく改善されなくて、賃金上昇はインフレと比較して不当に低く抑えられている(実質賃金の減少)ということなんですけどね。だからハイパーなインフレになってないので日銀が利上げしないということですか。市場メカニズムが働かない国に「Invest Me!!!」っていう馬鹿が首相やってるんですから、オワコンってことで。

 

 

歴史的に見ても、中世においてペストが流行しましてね。労働生産人口の3割がお亡くなりになりまして。

いわゆる貴族の荘園制度とか農奴とかって維持できなくなるわけですよ。

そうすると、農奴に対する身分的な締め付けが緩んだり、それまでは労働提供による年貢だったのが、生産手段である土地を借り受けて農作物で納税するようになると、生産性を改善することが所得の増加につながるというインセンティブを付与するようになって、しだいに農業経済が市場化していくわけです。

そして、余剰となった人口が都市に流入していって、市民層を形成していくわけですね。

そうです、ベルサイユのばらの世界が待ち受けているわけです。

 

本来コロナは、労働市場の流動性をあげて、労働者の労働環境改善に役立つはずのものだったのに。

どうして日本ではそうならなかったのか。

政府は負債を拡大して、それを家計に突っ込んでるだけで、いわゆるマッチポンプです。家計から国債の形で吸い上げて、補助金の形で家計に注入する。

当然ですが、その間には国債市場の市場形成コストが、補助金制度を作成するための政策コストが、補助金制度を活用するための申請コストがかかっていて、抜くべき人たちが抜いて、政策効果はダダ減りしているわけです。

お金をもらって不満を言う人はいませんから、なんとなく曖昧になっていますが、確実に家計のストックが食い物にされている訳です。

こんなことで良いんでしょうかね。

日本の国力の持続性が犠牲にされているだけですよ。

満足した豚どもよ、穴を掘って喜んでないで、柵を壊して野に出よう!!!

 

 

なんか話が違う方向に。

次回は、為替市場の話をしましょう。最初に言っておきます、私は、為替が下手です。

なので、ちゃんと割引いて読んでくださいね。

ではまた!!!