夏のルアーフィッシングの好ターゲットとなるマゴチ。釣って楽しく、食べても美味しい最高のターゲットフィッシュです。
この記事ではマゴチの生態に焦点を当て、生息地や食性、繁殖行動などについて詳しく解説します。マゴチについての生態や食性を詳しく知ることで、より効率的にマゴチを狙う思考が身に付き、今後より一層釣果に繋がるはずです!
マゴチファンの皆さんはぜひ参考にしてみてください!
マゴチの生態
マゴチは、カサゴ目コチ科に属する魚類で、青森県以南の日本近海に広く分布する魚です。夏が旬で高級魚として扱われており、身は歯ごたえのある白身で、刺身、洗い、寿司、煮付け、揚げ物、ムニエル・・・など様々な料理にしても美味しい魚です。
釣れるサイズは30㎝~40㎝程度の個体が多く、大きい個体は70㎝を超えるようなビッグサイズも度々確認されています。
砂泥底の浅場を好む
マゴチは海岸から水深30mほどまでの砂泥底に好んで生息し、海底に腹をつけてべったりボトムに張り付き、砂底に擬態して餌を待ち伏せする魚です。
体色は腹側は白色ですが、背中側は黄褐色から褐色をしており、細かいまだら模様があります。この体色は、海底の砂泥の色に合わせてある程度変化させることができます。
6月~9月の温暖期ほどシャローに入ってくる
マゴチの適正水温は16℃~26℃と比較的温かい水温を好みます。冬場は水温の安定する深場へ移動していますが、夏の高水温になるにつれてマゴチは沿岸の浅場まで入ってきます。
太陽の照り付ける夏は浅い水域ほど水温も高くなる傾向にあるため、居心地のいいシャローに居着きます。ベイトフィッシュとなるカタクチイワシやキスも沿岸の浅い場所まで回遊してくることから、これを追ってマゴチの活性も上がります。
また、地域差はありますが6月から8月頃はマゴチの産卵期とされており、産卵を控えた個体は体力を補うべく積極的に捕食活動を行います。
これらのことから、夏はマゴチのベストシーズンと言えます。
食性は雑食性で獰猛
マゴチは獰猛な肉食性で、カタクチイワシ・ハゼ・キスなどの小魚系、クルマエビやテッポウエビなどのエビ類、小型のタコやイカなど、気づかずに接近してくるものにはなんでも食い付く習性があります。
また、生き餌だけではなく「死に餌」にも食い付きます。例えば、スーパーなどで簡単に入手できるイワシやサバ、サンマの切り身なんかを餌にしても食いつきます。これは同様な生態のヒラメとは大きく違うところです。ヒラメは活き餌しか食いませんが、マゴチは活き餌・死に餌問わずなんでも捕食するほどの雑食性なのです。
マゴチの口は大きく、下顎が上顎よりも前に突き出ており、海底から上方へ食い上げる捕食方法に適した形状になっているのが特徴です。
夜行性の魚だが昼も捕食活動を行う
マゴチはシーバスなどのスズキ目の魚と同じく夜行性の魚です。
しかし、マゴチは側線と呼ばれる水圧・水流・振動などを感知する感覚器官がシーバス等の魚類と比較してそれほど発達しておらず、捕食活動はほぼ視覚に頼って行われています。
よって、視覚の効かない真っ暗闇では捕食活動もあまり積極的に行いません。マズメの時間帯から昼の間、視覚が効く時間帯に捕食活動を行います。朝マズメと夕マズメのローライトなコンディションは、夜行性という生態と視覚条件が最もマッチする時間帯であるため、マゴチが一番活性の高くなる時間帯です。マズメの時間帯を絡めて釣行の計画を立てるのがおすすめです。
マゴチの性別について
昔からマゴチの性別について長年の謎と言われてきました。それは、過去釣れた記録から大型の個体は全てメスであり、その一方で30㎝未満の小型な個体は全てオスであるということです。
このようなことから、「マゴチは大きくなると性転換するのではないか」と長年呟かれてきました。時期によっては大型のメスばかり釣れる、または小型のオスばかり釣れる、といった状況があったことも、この疑問に拍車をかけてきました。
マゴチは性転換しない
ある程度の大きさに達するとマゴチはメスに性別が変化すると考えられていました。これは、魚類の世界では決して珍しいことではなく、例えばマダイは生まれた時は両方の生殖器官を持ち、一定の年齢でほとんどがオスに性転換し、さらに大きくなると一部がオスからメスへと再転換することが知られています。また、クロダイ(チヌ)も性転換を行いますが、こちらはマダイとは逆にメスからオスへと性別を変えます。
しかし、近年の研究により、マゴチはマダイやクロダイとは異なり、性転換を行わない魚であることが明らかになっています。現在では、マゴチは生まれた時から性別が明確に分かれており、大型に成長するのは全てメスで、オスは大きくても40cm前後までしか成長しないという説が有力です。
メスの方がオスよりも大型になる魚は他にも存在し、例えばブラックバスも60cm、70cmを超えるような個体はメスであることが一般的です。(ただし、ブラックバスもまた、完全に解明されているわけではありません)
メスが大型化する理由
では、なぜ大型のマゴチがメスばかりなのでしょうか? その理由は、多くの魚種と同様に、メスがより多くの卵を産むために大型化するという生物的戦略にあります。
体が大きいほど、一度に産むことができる卵の数が増え、結果として子孫を残せる確率が高まるのです。ヤマメの降海型であるサクラマスの場合、メスの割合が約6~7割と高く、オスは少ないことが知られています。これも、メスが降海・回遊して大型化することで、より多くの卵を残すための適応と考えられています。もし河川に遡上した際に適切なオスが見つからなくても、オスのヤマメとペアリングして産卵することもあります。
産卵期の最盛期に大型のマゴチが釣れなくなる理由としては、メスの体内で卵が大きく成長することによる影響で捕食行動が鈍くなったり、産卵行動のために普段とは異なる場所へ移動したり、行動パターンが変化したりすることが考えられます。
マゴチを効率的に釣る方法
これらのマゴチの生態や食性をよく理解した上で釣りの戦略を立てることが重要です。
マゴチは夏のシャローエリアのボトムに張り付いて捕食対象が来るのを待ち伏せしていることが多いことから、広範囲かつボトムを重点的に通せるルアー選択が重要です。また時期や時間帯も考慮する必要があり、捕食活動が活発化する朝や夕方などのマズメの時間帯は特に有望になります。
詳しくは以下の記事で細かく解説しています。