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バスクリンの歴史と変革について

入浴剤のバスクリンは1930年に発売した歴史ある商品で、現在の入浴剤の基礎として、入浴剤業界に大きな影響を与えてきました。しかし、発売から現在までの歴史は大きく変化しました。高度成長期、3度の社名変更、経営危機…その歴史は紆余曲折でした。

 

今回はバスクリンとその会社の歴史、現在のバスクリン商品ラインナップまでまとめて紹介します。

 

 

会社名の「バスクリン」とは

会社名の「バスクリン」は2008年に「ツムラライフサイエンス」時代に「ツムラ」から完全に独立し、2010年に社名変更されましたが、創業は1893年です。

 

商品は入浴剤をメインに、育毛剤、お風呂用の洗剤の製造・販売をしています。

 

 

バスクリンの歴史

会社名のバスクリン自体は2008年に設立・社名変更されましたが、それ以前の歴史が長く、特に入浴剤は90年以上の伝統があります。

 

バスクリンの歴史の変革をまとめました。

 

津村順天堂時代

1893年バスクリンツムラの前身である「津村順天堂」が創業されました。もともとは婦人薬「中将湯(ちゅうじょうとう)」などの漢方薬の開発・販売が中心でしたが、1897年に「中将湯」の製造で余った生薬をお風呂に入れたところからヒントとなって開発された「浴剤中将湯」が発売されました。

出典:株式会社バスクリンの歩み(バスクリン公式サイト)

「浴剤中将湯」は日本で最初に発売された入浴剤で、当時の銭湯で人気でした。ところが、この商品は冬では温まるけど、夏には汗が止まらないという声が多く、当時夏用入浴剤として開発されたのが「バスクリン」で、1930年に発売されました。その当時のバスクリンは「浴剤中将湯」をベースに温泉成分と香りを加えていました

出典:株式会社バスクリンの歩み(バスクリン公式サイト)

1945年に第2次世界大戦(太平洋戦争)の影響で原料、資材、人手不足で生産を一時中止しましたが、1950年に生産を再開しました。

 

バスクリンの発売当初は庶民にはなかなか手に入りにくかったのですが、高度成長期に入り、家庭で内風呂が増加したため、一般家庭でも手に入るようになり、一躍人気になりました。

容器ですが、1950年に生産再開した当初はガラス瓶でしたが、1960年にブリキ缶、1967年にスパイラル缶に変更しました。

出典:バスクリン・ヒストリー(バスクリン公式サイト)

1975年に夏向け入浴剤「クールバスクリン(現:バスクリンクール)」が発売。同時に新シリーズを次々と発表しました。バスクリンの香りは発売当初はジャスミンが中心でしたが、のちにレモン、木の香(のちの森の香り)、ローズなど9種類のラインナップが増えました。

 

1986年に「日本の名湯」が発売され、本格的な温泉気分をおうちで満喫できることから、爆発的人気を博しました。

 

ツムラ時代

1988年に津村順天堂から「ツムラ」に社名変更され、1999年にバスクリンの容器が人間工学に基づいた容器に変更され、持ちやすく、環境に配慮した再生パルプを採用しました。

 

1998年に「ソフレ」、2003年に「きき湯」が発売されました。

 

ツムラからの独立、社名変更、アース製薬の子会社へ

しかし、ツムラバブル経済期までに多角的な経営をしていたことで業績が悪化し、1997年に創業一家による特別背任事件が起きたことで、経営危機に陥りました。これを受け、ツムラはそれまでの事業を整理し、医療用漢方製剤を中心とする事業へのシフトを開始し、2006年に入浴剤などの家庭用品事業は「ツムラライフサイエンス」というツムラの完全子会社として設立し、2008年にツムラから独立しました。

2010年に会社名の「バスクリン」に社名変更し、2012年に「アース製薬」の子会社化となりました。

 

バスクリンは、ツムラとは完全に独立した会社となりましたが、商品自体は改良がありながらも基本は変わっておらず、発売から90年たっても老若男女問わず愛されている入浴剤として位置付けています。

 

 

バスクリンの商品ラインナップ

入浴剤のバスクリンは1930年に発売しましたが、徐々に改良を重ね、現在では多くのラインナップがあります。

 

バスクリン

定番のバスクリン温浴タイプの入浴剤。発売当時は夏用入浴剤でしたが、のちに通年商品として生まれ変わりました。有効成分に乾燥硫酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを配合。保湿成分にオーガニック認証ホホバ油を配合。アミノ酸成分を配合し、水道水中の塩素を除去。天然アロマ成分を閉じ込めた「香りプレミアム」で香りがふんわりと長続き。エコキュートに対応しており、環境や設備に配慮しています。香りはゆず、森、ラベンダー、ジャスミンベルガモット、レモン、カモミールの7種類。

  • 薬事区分:医薬部外品
  • 形状:粉末(無機塩類)
  • 価格:オープン
  • 容量:600g

 

大人のバスクリン

アロマタイプの入浴剤で、薬事区分は浴用化粧料です。香料にアロマ粒エッセンスを配合。しっとり成分にオーガニック認証ホホバオイルとザクロエキスを配合しています。香りは神秘の青いバラ、高貴なホワイトラベンダー、魅惑のピンク檸檬の3種類。

  • 薬事区分:浴用化粧料
  • 形状:粉末(無機塩類)
  • 価格:オープン
  • 容量:600g

 

バスクリン 素肌クリア

有効成分に重炭酸ナトリウムを最大配合したスキンケアタイプの入浴剤です。香りはフレッシュシトラスとスウィートハーバルの2種類。

  • 薬事区分:医薬部外品
  • 形状:粉末(無機塩類)
  • 価格:オープン
  • 容量:600g

 

バスクリン ピュアスキン

スキンケアタイプの入浴剤です。しっとり肌、なめらか肌、やわらか肌、プラチナの輝きの4種類で、共通するうるおい成分に真珠エキス顆粒を配合していますが、ラインナップ別に配合されているうるおい成分は異なります。アレルギーテスト済み。かつては医薬部外品でしたが、現在は浴用化粧料に変更となっています。

  • 薬事区分:浴用化粧料
  • 形状:粉末(無機塩類)
  • 価格:オープン
  • 容量:600g

 

バスクリン薬湯

有効成分に乾燥硫酸ナトリウムに加え、センキュウ末とトウキ末の2つの生薬を配合。保湿成分にオーガニック認証ホホバオイルに加え、数種類の植物成分を配合しています。カラダめぐり浴、じんわり保温感、温感EXの3種類(温感EXは有効成分に硫酸マグネシウムも配合)。エコキュート対応。

  • 薬事区分:医薬部外品
  • 形状:粉末(無機塩類)
  • 価格:オープン
  • 容量:600g

 

バスクリン 極みの湯

2022年に新発売された温浴タイプの入浴剤。「日本の名湯」の探索チームがプロデュースし、理想の名湯につかっているような濃厚でぜいたくな入浴感が楽しめます。心満たされる花の香りと気持ち落ち着く森の香りの2種類。

  • 薬事区分:医薬部外品
  • 形状:粉末(無機塩類)
  • 価格:オープン
  • 容量:600g

 

バスクリンマルシェ

無添加タイプの入浴剤で、有効成分に温泉ミネラル成分(乾燥硫酸ナトリウム)を配合。保湿成分にオーガニック認証ホホバ油、香料は天然精油、着色料は自然由来の色素を使用し、合成添加物や石油成分は一切使っていないこだわりを持ちます。香りはジンジャー&レモングラスMix、ラベンダー、レモングラス、オレンジ、ミントの5種類。

  • 薬事区分:医薬部外品
  • 形状:粉末(無機塩類)
  • 価格:オープン
  • 容量:480g

 

バスクリンクール

夏向けの入浴剤で、1975年に発売された「クールバスクリン」が前身。有効成分に乾燥硫酸ナトリウムと炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムを配合。清涼成分にメントールを配合し、湯上がりはすっきり。晴々さわやかWミントの香りと元気はじけるレモン&ライムの香り、避暑地の新緑の香りの3種類。

  • 薬事区分:医薬部外品
  • 形状:粉末(無機塩類)
  • 価格:オープン
  • 容量:600g

 

きき湯

2003年に発売されたバスクリンでは初の炭酸ガスの入浴剤です。炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムをベースに、ラインナップ別に異なる有効成分が配合されています。保湿成分に亜鉛を配合。カルシウム炭酸湯、マグネシウム炭酸湯、カリウム芒硝炭酸湯、食塩炭酸湯、クレイ重曹炭酸湯、ミョウバン炭酸湯、清涼炭酸湯の7種類で、清涼炭酸湯はミント&ライムとシトラスの2つの香りがあります。

 

きき湯ファインヒート

従来のきき湯の炭酸ガスが約4倍に増量した高濃度炭酸ガスの入浴剤で、有効成分に炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムに加え、乾燥硫酸ナトリウムとショウキョウ末が配合されています。アクティブスイッチ、リセットナイト、スマートモデル、グレープフルーツの香り、レモングラスの香り、爽快リフレッシュの6種類(爽快リフレッシュはショウキョウ末は配合されていません。リセットナイトは乾燥硫酸ナトリウムの代わりに塩化ナトリウムを配合)。

 

ソフレ

スキンケアタイプの液体入浴剤。濃厚しっとり入浴液、キュア肌入浴液、清潔スキンケア入浴液、マイルド・ミーの4種類で、濃厚しっとり入浴液はホワイトフローラルとリラックスサボンの2種類の香りが、マイルド・ミーは和らぐサクラ、コットンミルクの2種類の香りがあります。保湿成分はそれぞれの商品によって異なります。アレルギーテスト済み。

  • 薬事区分:医薬部外品(マイルド・ミーは浴用化粧料)
  • 形状:液体
  • 価格:オープン
  • 容量:480ml(濃厚しっとり入浴液・キュア肌入浴液)、720ml(清潔スキンケア入浴液、マイルド・ミー)(いずれもボトル本体)

 

日本の名湯

1986年に発売した温泉タイプの入浴剤で、開発者が各地の温泉地を直接訪れ、温泉分析表をもとに湯質を研究し、色と香りで情緒を表現した「温泉地公認」の入浴剤です。有効成分とお湯の色、香りはそれぞれの温泉地によって異なります。ボトルタイプ4種類と分包タイプ8種類、10種類以上の温泉地の入浴剤がセットになったアソートパック3種類のラインナップ。

  • 薬事区分:医薬部外品
  • 形状:粉末(無機塩類)
  • 価格:オープン
  • 容量:14包(アソートパック)、450g(ボトルタイプ)、5包(分包タイプ)

 

アーユルタイム

バスクリンの商品では唯一のバスソルトで、天然海塩と天然精油がベース。保湿成分にオリエンタルハーブマチルスエキスとオーガニックセサミオイルを配合しています。香りはラベンダー&イランイラン、レモングラスベルガモットカモミール&クラリセージ、フランキンセンス&サンダルウッド、ネロリ&レモン、ユーカリ&シダーウッドの6種類。6種類の商品がセットになったアソートパック(880円)もあります。

  • 薬事区分:浴用化粧料
  • 形状:バスソルト
  • 価格:1,848円(ボトルタイプ)
  • 容量:720g

 

プラス・ド

有効成分と保湿成分にしょうがが配合された温浴タイプの入浴剤。発酵うるおい成分に納豆エキスが配合されています。香りはジンジャーローズとジンジャーフローラルの2種類。

  • 薬事区分:医薬部外品
  • 形状:粉末(無機塩類)
  • 価格:オープン
  • 容量:480g

 

バスクリン アロマスパークリング

発泡剤にスプラッシュビーズを配合した入浴剤で、保湿成分にオーガニックホホバオイルを配合しています。リラックスセレクト、リフレッシュセレクト、ナチュラルバスコレクション、白神山地コレクションの4種類で、いずれも4種類以上の香りが入ったアソートパックです。

  • 薬事区分:浴用化粧料
  • 形状:粉末(無機塩類)
  • 価格:オープン
  • 容量:12包(ナチュラルバスコレクションは15包)

 

その他

バスクリンの浴用化粧料の入浴剤に混ぜるタイプの「発泡の素(浴用化粧料)」、通販サイト限定商品の「バスクリン くすり湯」「バスクリン薬用入浴液」(いずれも医薬部外品)があります。

 

これら以外に数量限定商品も発売しています。

 

 

まとめ

入浴剤のバスクリン」は、日本初の入浴剤「浴剤中将湯」の夏用入浴剤として発売し、第2次世界大戦時の生産中止・再開を経て、一般家庭に普及し、原料や容器などの改良を経て、現在は多くの方に愛される入浴剤として位置付けています。会社名の「バスクリン」としては、「津村順天堂」時代からスタートし、「ツムラ」への社名変更、経営危機、ツムラからの独立、2度の社名変更、「アース製薬」の子会社化と、会社の歴史は決して平坦なものではありませんでした。

 

商品ラインナップは看板商品の「バスクリン」をはじめ、温泉タイプやスキンケアタイプ、炭酸ガスタイプなど、消費者のニーズに合わせた商品を展開しています。

 

 

*参考サイト*

ウィキペディアバスクリン):https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%B3

製品一覧(バスクリン):https://www.bathclin.co.jp/products/

バスクリン・ヒストリー(バスクリン):https://www.bathclin.co.jp/sp/bathclin/history.htm

株式会社バスクリンの歩み(バスクリン):https://www.bathclin.co.jp/company/history/