職場・働き方エンゲージメント

updated: 2024 

心理的安全性が低い職場とは?4つの因子と高める方法について解説

心理的安全性が低い職場とは?4つの因子と高める方法について解説

職場において、「自分の意見が言いにくい」「チームワークがスムーズに進まない」という経験をしたことはありませんか? このような状況が続くと、仕事の効率やパフォーマンスなどが低下するといわれています。一方、各々のメンバーが意見を臆することなく発言できる職場では、組織自体も成長することが分かっているのです。この状態を「心理的安全性」が確保されている状態といいます。

本記事では、心理的安全性の特徴や、心理的安全性が低い職場での問題点をはじめ、心理的安全性を高めるための方法について、精神保健福祉士が解説します

 

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心理的安全性とは

心理的安全性とは、企業の中で働くメンバー同士が各々の考え方を素直に伝えたり、表現できたりする状態です。「どんな意見を伝えても他のメンバーから攻撃されたり否定されたりしない」と、メンバー全員が感じている状態を指します

心理的安全性の考え方は、組織行動学の研究者であるエイミー・エドモンドソン教授によって、1999年に提唱されました。それをもとにアメリカのGoogle社は、2012年からの4年間、チームの生産性向上のためのプロジェクトを実施し、「生産性向上のためには心理的安全性が重要である」という結果を示したのです。これをきっかけに、心理的安全性が注目されるようになりました。

心理的安全性が低いと起こるリスク

メンバーの心理的安全性が低いと、チーム内で意見が活発に交わされづらく、仕事の効率的な進め方や新しい取り組みなどに関するアイデアが出にくくなります結果的にイノベーションが生まれづらくなったり、生産性が低下したりする可能性があります。

また、チームの人間関係が悪くなったり、離職率の悪化にもつながる可能性があります。

社員の心理的安全性が低い職場の特徴

メンバーの心理的安全性が低いチームに見られる特徴について、以下に解説します。

職場に独特の慣習がある

昔ながらの年功序列の価値観が強すぎる職場は、心理的安全性が低くなってしまう傾向にあるでしょう。なぜなら、年齢が上または先に入社したメンバーの方が実権を持ち、そうではないメンバーが意見を発しづらいという雰囲気になりやすいからです。

本来、企業で働くメンバーは様々な考えのもとで、仕事を改善するために取り組んでいます。つまり、個々の多様な考え方を活かせるからこそ新しいアイデアが生まれたり、過去の仕事のやり方をより良い方法へと見直したりすることが可能になるのです

しかし、年功序列の価値観が強すぎたり、独自の規則やルールから外れてはいけないような雰囲気があったりする職場においては、メンバー同士が疎外感を味わいたくないために、積極的な話し合いをしなくなる傾向があります

仕事の結果のみを重視する

仕事で成果を出すには、どうすれば上手く行くのかを考えながら進めることが大切です。何度も試行錯誤を繰り返し、いかにして最大限の結果を出せるのかという過程を重視しながら取り組みます。その際に、メンバー間でお互いの意見や考え方を素直に分かち合い、積極的に議論がなされればなされるほど、良い結末にたどり着くことができるでしょう

ところが、数字や目に見える結果しか見ようとせず、過程を大切にしない職場であれば、メンバーが切磋琢磨する意味もなくなってしまいます

ペナルティーが存在する

仕事で失敗やミスをした際に、ペナルティーが科せられる職場は少なからずあるでしょう。ただし、行き過ぎたペナルティーが存在する職場は問題です各々のメンバーがペナルティーを過度に恐れるがゆえに、挑戦することに後ろ向きになったり、他のメンバーに責任転嫁をしたりする傾向が強くなってしまう場合があります

また、こういう状況下では失敗やミスをしてもメンバーが素直に言い出せず、それを隠すことによって取り返しのつかない事態につながることもあります。

メンバー同士のコミュニケーションが不足している

仕事を進めるにあたっては、各々のメンバーが仕事の詳細を伝えたり、分担したりする必要があります

しかし、「相手の仕事の邪魔になりそう」「声をかけづらい」といった理由から、メンバーに助けを求めづらい雰囲気のある職場では、心理的安全性も低くなります

心理的安全性を低下させる4つの因子

心理的安全性には、それを損ねる因子が存在する場合もあります。以下に、4つの因子を具体的に挙げるので、参考にしてみてください。

1.無知だと思われる不安

他のメンバーから、「この人は何も知らないのだ」と思われるかもしれない不安です。この不安が生じると、様々な場面において質問や意見を出しづらくなるとされています。

2.無能だと思われる不安

他のメンバーに「能力が低い」と思われたくない不安を指します。失敗が発覚するのが怖い気持ちから過ちを隠したり、非を素直に認めたりできなくなるという特徴があります。

なお、失敗やトラブルを起こすと無能だと思われるのが怖い気持ちから、無難な仕事ばかりを選んだり、あえてチャレンジしなかったりという様子が見られることもあります。

3.邪魔をしていると思われる不安

自分は他のメンバーに、「うっとおしい」と思われているのではないかと感じる不安のことです。自分が意見したら邪魔者扱いされるかもしれないという恐れによって、人の顔色を過度に気にするようにったり、余計なことはあえて言わないようになる状況も生じます。

4.ネガティブだと思われる不安

暗く、後ろ向きだと周りから思われたくない不安のことを言います。他のメンバーのアイデアに対して検討が必要だと思えるときでも、人の目を気にして意見するのを避けるケースがあるでしょう。

特に、相手が上司の場合は、意見を伝えることによって不利益が生じるかもしれない、という恐れがあることで、意見を出しづらくなってしまいます。

社員の心理的安全性を高めるメリット

心理的安全性は、チームの生産性を上げるために必要な要素です。メンバーの心理的安全性が高まることで期待できるメリットを紹介します。

仕事の効率やパフォーマンスが向上する

メンバー間においてスムーズに情報が共有できるようになるため、コミュニケーションロスが軽減され、パフォーマンスが向上します。また、メンバー同士がお互いを認め合っているという安心感を得ることが可能になり、仕事をフォローし合う機会も増えるでしょう。その結果、チームの仕事の効率が上がります。

失敗やトラブル発生が減少する

心理的安全性が高まると、メンバーの仕事に対する恐れや不安が軽減します。それにより、何事も冷静に対処できるようになると言われています。例えば、小さなミスに気付いたときに早期に報告ができれば、重大なミスやトラブルに発展しづらくなり、コンプライアンス対策にもつながります。

お互いを尊重することで仕事への満足度が向上する

心理的安全性が高い職場では、メンバー同士が多種多様な意見を言い合うことができます。また、お互いに違う考え方を持っていても、個人を尊重し、否定することもありません。このような空間が保たれているからこそ、安心感を持って様々な課題を分かち合うことが可能になるのです。また、どのような発言をしても批判されないため、他人にも思いやりを持って接する力が高まります。

実際に、職務チームにおけるパフォーマンスとメンタルヘルスの研究において、メンバーの心理的安全性が高いと、仕事への満足感が増大するという結果が報告されています

出典:職務チームにおけるパフォーマンスとメンタルヘルス― 心理的安全性とワーク・エンゲイジメントの影響 ―

社員のメンタルヘルスに良い影響を与える

メンバー同士で素直な意見交換ができなかったり、失敗することなどの恐れから質問や相談をしにくかったりする職場にいると、様々なストレスが溜まる可能性が高いです。風通しが悪く、閉塞的な空間で仕事を続けていれば、メンタルの不調が生じる場合もあるでしょう。

職務チームにおけるパフォーマンスとメンタルヘルスにおける研究では、チームメンバーからの受容やサポートがあれば、メンタルの問題に対する回復力が高く、ストレスを感じる程度も低いことが示されています

出典:職務チームにおけるパフォーマンスとメンタルヘルス― 心理的安全性とワーク・エンゲイジメントの影響 ―

イノベーションが生まれやすくなる

新しい商品を開発したり、新しい考え方を取り入れて大きな変化を生み出す「イノベーション」が生まれるまでには、多くの失敗やミスを経て、メンバー同士の異なる価値観をすり合わせながら修正していく作業が必要です。

心理的安全性が高い職場であれば、失敗やミスがあっても隠されずにメンバー間で共有され、より良い方向へと軌道修正することができます。さらに、活発な意見交換による相乗効果で、挑戦しやすい環境を作ることが可能にもなるのです。これを繰り返して行くと、イノベーションが生まれる確率が高まります

出典:恐れのない組織」の序文より エイミー・C・エドモンドソン

社員の心理的安全性を高める方法

メンバーの心理的安全性が高まると多くのメリットが生まれ、メンバー自身はもちろん企業自体も成長するといわれています。メンバーの心理的安全性を高める具体的な方法を、以下に紹介します。

メンバー個人が心理的安全性を高めるためにできること

企業は数多くのメンバーによって、成り立っています。心理的安全性を高めるには、まず各々のメンバーの意識や取り組みが重要です。

仕事の情報共有

心理的安全性を高めながら仕事をするためには、すべてのメンバーが現在担当している仕事の詳細や流れ、目標などの情報を共有していることが大切です情報を明確に視覚化できると、仕事が分からないことへの不安が緩和され、各々のメンバーが活発に意見を出したり、質問をしたりする環境が整えられるでしょう

また、しっかりと仕事の内容を理解することで、失敗やトラブル発生を恐れる気持ちも軽減されます。もし、失敗やトラブルに陥る可能性を感じたとしても、事前にメンバー間で相談するなどして、予防や対処策を考えることが可能です。

ポジティブシンキング

心理的安全性を高めるには、メンバー同士がお互いの考えを理解しあうことが重要です。例えば、メンバー個人から、どのような意見が出ても否定せずに受け止める姿勢が必要になります。そうすると、お互いに「そんな考え方もあるんだ」「次回の企画に活かせるかもしれないね」と、ポジティブに捉え合うことができるようになるでしょう

このような環境下に身を置くことで、各メンバーが発言をしやすくなり、コミュニケーションの活性化につながります

また、ポジティブシンキングの助けになるのが、アサーティブコミュニケーションです。これは、自分と他人の立場を大切にしたうえで、自分の意見を上手に伝えるためのコミュニケーション技法として、社員研修などで使用されています

リーダー・上司が心理的安全性を高めるためにできること

リーダーや上司も、企業のメンバーに変わりはありません。しかし、より影響力が強いため、他のメンバーのことを配慮する必要が出てきます。

1on1ミーティングを取り入れる

1on1ミーティングとは、上司(リーダー)とメンバー(部下)が一対一で話す機会を持つことを言います1on1を実施する際には、上司に時間ができたときや気が向いたときではなく、定期的に開催することをおすすめします。例えば、6ヵ月のうちに6回~13回程度を行う計画を立てると良いでしょう

また、1on1ミーティングを実施するときは、メンバーのプライバシーを十分に配慮する必要があります。そのため、部署内は避け、離れた会議室などで話ができるように、適切な場所を確保することが大切です。こうすると、集団内では言いづらい問題や悩みでも、メンバーが伝えやすくなります。

さらに、上司は1on1ミーティングの際にはプライベートな会話をすることを意識しましょう。決して仕事の報告や打ち合わせだけにならないよう、注意が必要です。重要なのは、上司は特別な存在ではなく、同じメンバーの一員だと感じてもらえることです。それを常に上司が心がけることで安心感が芽生え、メンバーの心理的安全性が高まります。

まとめ

心理的安全性が低い職場は他人に拒否されたり、攻撃されたりするのではないかという不安や恐れが生じます。そのため、仕事の効率やパフォーマンスが低下したり、失敗やトラブルが発生したりする可能性が高くなるでしょう。また、メンバー同士のコミュニケーションも不足するため、協力し合ったり、質問や相談をしたりなどの行動がしづらくなるのが現状です。

心理的安全性を高めるには、メンバー同士で仕事内容を気兼ねなく共有できる雰囲気を作ったり、上司と部下が垣根なく話し合える機会を意識的に設けたりすることが重要です。

たとえ失敗やトラブルが発生した場合でも、個人を責めるのではなく、問題自体の解決に焦点を当てることのできるポジティブな接し方に配慮する点も大切です。

 

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