前回はGA4(Googleアナリティクス4)とUA(ユニバーサルアナリティクス)の大まかな違いについてまとめを行いました。機能の違い、表示の違いに驚き、学習にも戸惑われている方も少なくはないでしょう。
今回はGA4の一番の要であろう「探索レポート」にはどのような機能があり、どう活用するのかをまとめてみました。
UA時代に「カスタムレポート」を利用されていた方は戸惑うかと思います
しかし慣れてしまえば自由度が増した分使いやすいかもしれません
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データ探索とは?
UAからGA4に変わった中で主要となる機能の1つ「データ探索」
「データ探索」とはUAでいうカスタムレポートに近いレポート作成モードになりますが、リアルタイム性はありませんでした。「データ探索」では作成した分析を深掘りしたり、レポートを作ったり、その場で仮説検証を行うことが可能となりました。
データ探索の利用メリット
- 簡単な操作・分析
- リアルタイムな仮説検証が可能
- 分析情報の共有のしやすさ
- レポーティングの自動化が可能
- ユーザー行動経路の可視化が可能
1.簡単な操作・分析
データ探索には既に作成したデータ探索または共有されたデータ探索が全て含まれており、スグに利用や再開が可能となっています。
データ探索ではテンプレートを選ぶだけで解析を開始することができます。データ探索はひとつ以上のタブで構成され、ドラッグ&ドロップでディメンションや指標を選択し、自由なデータ探索を作ることが可能です。
変数を組み合わせた分析、各種手法の設定・切り替え、データの並べ替え、深掘り、ディメンションと指標の追加と削除、フィルタとセグメントを使用してもっと関連性の高いデータだけ絞り込むこともできます。
2.リアルタイムな仮説検証が可能
アドホック(その場のニーズに合わせて臨機応変)な計測ができるようになりました。
タブの設定と同時に設定内容がGA4の画面に表示されます。意図しない表示結果の場合でもその場で修正→検証ができ、かなりスピーディな仮説検証が可能となりました。
UA時代はいちいち設定→保存→確認→検証を行っていたため、工数が減りとても便利になりました。
3.分析情報の共有のしやすさ
データ探索で作成したレポートはそのデータをエクスポートすることができます。この分析は組織内または外部の関係者とも共有が可能です。
エクスポートしたデータを他のツールで再利用することもできます。
4.レポーティングの自動化が可能
任意のレポート様式を選び、可視化・エクスポートを自動化できます。
データ探索はひとつ以上のタブで構成され、各タブには特定の手法で分析されたデータが表示されます。タブは収納も可能なので、大画面で検証することもできとても便利です。
5.ユーザー行動経路の可視化が可能
データ探索ではUAのユーザーフローと同じくユーザーがサイトやアプリを介してたどるステップを探りながら、前後のユーザーの行動した数を知ることができます。
データ経路ではページまたは画面の閲覧とイベントの両方についてユーザーの行動経路を可視化することが可能です。
テンプレートギャラリーから選べる・データ探索の手法
通常であればテンプレートの設定はなく各自でセグメントの設定などを行わなければなりませんが、テンプレートギャラリーにある一覧はGoogle側でよく使うものをあらかじめ設定しておいてくれています。時短にもなるので積極的に使っていきましょう。
探索手法 | レポートの概要 |
自由形式 | クロス集計表の形式でデータが表示される。 棒・円・折れ線・散布図・地図などのグラフも作成可能 |
コホートデータ探索 | 共通の属性をもつユーザーの行動とパフォーマンスから分析可能 |
目標到達プロセスデータ探索 | サイト・アプリを経由するユーザーの各ステップをビジュアルで表示できる。 各ステップの遷移率も確認可能 |
セグメントの重複 | 複数のユーザーセグメントの相互関係がベン図で表示される。 複雑な条件を満たしている新しいユーザーセグメントを特定可能 |
ユーザーエクスプローラー | 作成またはインポートしたセグメントを構成しているユーザーを表示。 個々のユーザーアクションを深掘り可能 |
経路データ探索 | ユーザー経路がツリーグラフ化される。 どのような経緯でサイトやアプリにアクセスしているか見ることができる |
ユーザーのライフタイム | ユーザーの行動を分析して、顧客としてのライフタイムバリューを評価する |
自由形式
探索▶テンプレートギャラリー▶自由形式
おそらく一番利用されるレポートです。
自身でディメンションと指標を自由に入力することができます。ビジュアリゼーションで「折れ線グラフ」「棒グラフ」のようなグラフの種類も指定することが可能です。
たとえば上記の図の「Page_View」の「A」のところを右クリックすることで、「対象のユーザー」→ユーザーエクスプローラーが出現→ユーザーの行動を細かく確認することもできるようになりました。
同じく右クリックをして「選択項目からセグメントを作成」すると選択した層をセグメントとして登録することもできます。この場合「条件」を追加することも可能です。(たとえばJapan×Female=日本人×女性を対象にするなど)このレポートから作成したセグメントはオーディエンスとして保存が可能となっています。
- 列には最大2つのディメンションを設定可能
- 行には最大5つのディメンションを設定可能
- 自由形式結果をタブを用いて、様々な分析を並べておくことも可能
- 数値が上昇した時の原因調査
- Google広告へのオーディエンスへ展開するために表示エリアの値を対象としたデータに絞り込む機能
コホートデータ探索
探索▶テンプレートギャラリー▶コホートデータ探索
「コホート」とは共通の属性をもつユーザーグループのことを指します。
このレポートではユーザーグループの時間の経過に伴う行動を確認することができます。例えば、コホートの条件にマッチしたユーザーグループが日・週・月の単位で再訪問しているかなどの確認です。
- サイトへの訪問率が高く、再訪問率が高いコホートをみつける
- 新たに獲得したユーザーの再訪問率が減少するタイミングを確認し、離脱防止施策を考える
- プロモーションやキャンペーンを実施した後の再訪問率を確認し、効果測定を行う
目標到達プロセスデータ探索
「目標到達プロセスデータ探索」は、ユーザーがコンバージョンに至るまでのステップを表示し、各ステップでのユーザーの行動を確認することができます。
計測しているページやイベントをレポート上の「ステップ」として設定することで、各ステップの遷移数や法規数が確認できるようになります。
- 意図したとおりにユーザーをCVまで導いているか確認する
- CVに至らなかったユーザーのボトルネックを把握し、改善に活かす
- ステップは最大10個設置可能
セグメントの重複
探索▶テンプレートギャラリー▶セグメントの重複
最大3つのユーザーセグメント(共通の属性をもつユーザーの集まり)を比較して、重複状況と相互関係を把握することができます。このようなデータは、複数の条件を満たしている価値の高いユーザーを見つけるのに役立ちます。
「セグメントの比較」項目に任意のトラフィックやコンバージョンの条件などを盛り込むことで、ユーザーセグメントを出現させることが可能です。
ユーザーエクスプローラ
探索▶テンプレートギャラリー▶ユーザーエクスプローラ
ユーザーエクスプローラはUA時代にもあった機能ですが、あまり使うこともない機能の1つでしたが、GA4のユーザーエクスプローラは個々のユーザーの行動を確認することができるレポートとなっており、ミクロな解析が可能です。
ユーザーの行動を把握することが可能なので、心理状態を推測することが可能です。CVに至った経緯、特定の経路で流入したユーザー、特定のページをみたユーザーなどの対象を絞り込むことで、分析しやすくなります。
ウェブサイトにきたユーザーにはアプリインスタンスIDというIDが発行され、ユーザー、つまりIDごとの指標を確認することができます。
- CVしたユーザーの動きに絞って分析し、CVを後押ししている可能性のあるコンテンツをみつける
- ユーザーが流入→Cvまでの一連の流れを確認し、CVを阻害しているトラブルを解決する
- フィルタやセグメントを使いデータを絞り込む
- ユーザー行動をタイムライン形式で確認できる
経路データ探索
探索▶テンプレートギャラリー▶経路データ探索
「経路データ探索」では、ツリーグラフという形で、ユーザーがウェブサイトやアプリを回遊している経路を視覚的に表示することが可能です。
ユーザーが行動をはじめる「始点」からの経路だけではなく行動を完了した「終点」からもさかのぼって経路を確認することができます。サイト内でどのような経路をたどり、指定のページにたどり着いたか把握できるため、ページ内のリンク構造やメニュー構造の改善に役立ちます。
- 新規ユーザーがウェブサイトに訪れた時によく訪問するページをみつける
- アプリ以外を利用するユーザーを確認する
- アプリなどでユーザーが操作できなくなった可能性のある画面やループしている動作をみつける
- あるイベントがユーザーの行動に及ぼす影響を特定する
ユーザーのライフタイム
探索▶テンプレートギャラリー▶ユーザーのライフタイム
「ユーザーのライフタイム」はサイトまたはアプリのユーザーの合計数やライフタイムバリュー(LTV)の数値から、顧客としての生涯生産価値を評価することができます。
内容については「自由形式」レポートのテーブルとほぼ同じですが、こちらでは「ユーザーのライフタイム」に関連するディメンション・指標・機械学習を活用した予測指標を使用可能です。
- 最も高いLTVをもたらした参照元・メディア・キャンペーンはどれかを確認し、注力するべき施策を検討する
- GA4の予測モデルで購入の可能性が高く、離脱率が低いと予測されたユーザーを獲得している価値のあるキャンペーンはどれか確認する
- 平均LTVなどの指標はユーザーIDを基準として正確に生成される(重複がない)
データ探索でより細かな解析を!
データ探索を利用することで、様々な分析を自由に、スピーディに行うことが可能となりました。
そのため、データ探索をするにあたって「正しい理解」が求められるようにもなったのです。
機能が多く、難しい面もあるし、慣れも必要になってくる項目ですが、分析では欠かせないツールのため是非積極的に利用していきたいものです。