ベータ関数とガンマ関数の関係式

ベータ関数とガンマ関数の間にある有名な関係式 \( \displaystyle B(x,y) = \frac{\Gamma(x)\,\Gamma(y)}{\Gamma(x+y)} \) を証明する。2変数の広義積分が理解できていれば、このページだけで分かるように書いたつもりである。

ベータ関数とガンマ関数の定義

ベータ関数とガンマ関数はそれぞれ次のように定義される。

\( \begin{eqnarray}
B(x,y) &=& \int_0^1 t^{x-1} (1-t)^{y-1} \,dt \\
\Gamma(x) &=& \int_0^\infty e^{-t} t^{x-1} \,dt \\
\end{eqnarray} \)

ガンマ関数については広義積分で定義されているので、本来なら積分が収束することを証明しなければならないが、ここでは無視する。とりあえず \(x>0\) であれば収束することが分かっている。どちらの被積分関数も正なので、ベータ関数もガンマ関数も正である。

後で必要となるので、\( t=\sin^2\theta \) と置き換えて、ベータ関数を三角関数の積分に書き換える。

\( \begin{eqnarray}
B(x,y) &=& \int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^{2(x-1)} \theta \, \left(1-\sin^2\theta\right)^{y-1} \,(2\sin\theta \cos\theta )\,d\theta \\
&=& 2 \int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^{2x-1} \theta \,\cos^{2y-1}\theta \,d\theta \tag{#} \\
\end{eqnarray} \)

公式の証明

\( \displaystyle \Gamma(x)\,\Gamma(y) = \Gamma(x+y)\,B(x,y) \) を示す。

\( \begin{eqnarray}
\Gamma(x)\,\Gamma(y)
&=& \int_0^{\infty} e^{-s} s^{x-1} \,ds \int_0^{\infty} e^{-t} t^{y-1} \,dt \\
&=& \int_0^{\infty} \int_0^{\infty}e^{-(s+t)} s^{x-1} t^{y-1} \,ds dt
\end{eqnarray} \)

この後で極座標を使って計算することになるが、\(s+t\) から \(\theta\) を消すために一旦 \(s=u^2,\,t=v^2\) と置き換える。実際、さらに極座標変換 \(u=r\cos \theta,\, v=r\sin \theta\) を行うと、\( s+t = u^2+v^2 = r^2 \) と \( \theta \) が消える。

\( \begin{eqnarray}
\Gamma(x)\,\Gamma(y)
&=& \int_0^{\infty} \int_0^{\infty} e^{-(u^2+v^2)} u^{2(x-1)} v^{2(y-1)} \cdot \,4uv\,du dv \\
&=& 4\int_0^{\infty} \int_0^{\infty} e^{-(u^2+v^2)} u^{2x-1} v^{2y-1} \,du dv
\end{eqnarray} \)

ここで極座標変換をする。

\( \begin{eqnarray}
\Gamma(x)\,\Gamma(y)
&=& 4 \int_0^{\infty} \int_0^{\frac{\pi}{2}} e^{-r^2} r^{2x+2y-2} \sin^{2x-1} \theta \, \cos^{2y-1} \theta\cdot \,r\,d\theta dr \\
&=& 4 \int_0^{\infty} e^{-r^2} r^{2x+2y-1} \,dr \, \int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^{2x-1} \theta \, \cos^{2y-1} \theta \,d\theta\\
\end{eqnarray} \)

公式 (#) を用いて書き換える。

\( \begin{eqnarray}
\Gamma(x)\,\Gamma(y)
&=& 2 B(x,y) \int_0^{\infty} e^{-r^2} r^{2x+2y-1} \,dr \\
\end{eqnarray} \)

\( w=r^2 \) と置き換える。

\( \begin{eqnarray}
\Gamma(x)\,\Gamma(y)
&=& 2 B(x,y) \int_0^{\infty} e^{-w} \frac{w^{x+y}}{r} \,\frac{dw}{2r} \\
&=& B(x,y) \int_0^{\infty} e^{-w} w^{x+y-1} \,dw \\
&=& B(x,y) \,\Gamma(x+y)\\
\end{eqnarray} \)