切られお富!

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2022年に観た映画ベストなど

2023-01-04 19:00:00 | アメリカの夜(映画日記)
2022年に観た映画は100本ちょっとで、そのうち映画館で観たのは2本?情けないですね~。学生時代は映画館で150~300本観てましたから…。というわけで、備忘録的に2022年の気になった作品など。plus、他ジャンルで気になったものなどについても書いてみます。

<映画の部>

①引き裂かれた女
②情事
③少年の君
④リコリスピザ
⑤クライマッチョ
⑥パンケーキを毒見する
⑦君のためなら千回でも
⑧チャーリー・ウィルソンズウォー
⑨サンドラの小さな家
⑩女性たち

【次点】
⑪日本暗殺秘録
⑫世界で一番美しい少年
⑬コスタリカの奇跡 ~積極的平和国家のつくり方~
⑭あなたを抱きしめる日まで
⑮アネット
⑯ナチュラルボーンキラー
⑰若草物語(1933)
⑱プレシャス
⑲GIジェーン
⑳ブリッジ

では、早速、作品ごとの一言コメント。

①2022年は、亡くなった監督の作品再見ばかりしてましたが、クロード・シャブロル監督の最晩年が充実しているってことに改めて気づいて、感動したというか、歳とってもやれることがあるんだな~と励まされました。老年にして、色気と皮肉たっぷり!少なくとも『引き裂かれた女』と『沈黙の女』は必見ですね。中期の傑作『女鹿』、『肉屋』に劣らない作品です!

②「え、今更、ミケランジェロ・アントニオーニ!?」と驚かれた方もいるでしょうが、この年なって、やっと良さがわかりました(笑)!少なくとも『情事』のカメラアングル、フレームの感覚はキレッキレです。こういう感覚を受け継ぐことができたのはゴダールだけだったんじゃないかな?見直して正解だった一本です。ついでながら、『赤い砂漠』も見直して、コレも感動。昔出てたビデオじゃなくて、今出てるデジタルリマスターで観るとイメージ一新する作品ですね。ああ、モニカ・ヴィッティ追悼って感じだな~。

③これは中国の映画でいじめを取り上げているんだけど、ヒロインが素晴らしくて、彼女の出ている『ソウルメイト』って作品も素晴らしかった。教えてくれた蝙蝠お高さん、ありがとう!

④コレは、欧米ではやたらに評価が高い監督ポール・トーマス・アンダーソン(略して、PTA)の最新作で、映画館で観ました。わたしはこの監督が長いこと苦手だったんだけど、『ファントムスレッド』っていうダニエル・デイ・ルイスの出ている作品がよくて、「なんで、PTAはこういう作品を今まで撮らなかったんだっ!」って思ったのがきっかけで、映画館で観ることに!たわいのない青春映画なんだけど、ヒロインの面差しと佇まいがいいんですよね。久々にポスターが買いたくなった一本です!

⑤いわずと知れたクリント・イーストウッドの自作自演。しかし、この人はいつまで凄い映画を作り続けられるのか!まさに超人の一本です!

⑥岸田のダメさで、菅を再評価する声があるみたいだけど、この映画を観てください。そんな気なくなります。必見の一本。タイトルもよい!

⑦&⑧は、アフガン戦争とアメリカの関わりがよく判る映画で、どちらも傑作です。映画評論家の町山さんの本で知って観ました。特に⑦は胸が熱くなりますね。ウクライナ戦争を考える上でも参考になるかも。

⑨憲法学者の木村草太さん推薦の映画で、共同親権の問題を考える上で参考になるということで観ました。最後が「あっ」って感じですが、こういう映画を日本では何で撮れない(撮らない)のかなって思える一本です。難しくない映画なので、おすすめ。

⑩コレはジョージキューカー監督の幻の大傑作です。感想はブログ記事にしているので、詳しくはそちらを!

続いて、次点の10本・・・

⑪むかしの東映のキワ物大作映画だけど、よくできていて、暗殺を企てる側の理屈がよく判る。歴史の勉強にもなるから、安倍暗殺をきっかけに、学校で上映してほしいね!

⑫『ベニスに死す』に出ていた美少年ビョルン・アンドレセンのその後を描いたドキュメンタリー。作品としてはいまいちなんだけど、『ベニスに死す』のときのヴィスコンティ監督のオーディション風景が見られるというだけで、その価値充分。しかし、今のビョルンのダメおやじぶりが・・・。

⑬軍隊を持たない国コスタリカのドキュメンタリー。政情不安な中南米で「軍隊持たない」って、信念と政治力、外交力がないと成立しないわけで、とても勉強になります。日本の改憲派、護憲派どちらも観るべき映画ですね。

⑭カトリック修道院の犯罪を暴いた実話を元にした映画。宗教をディスる気はないんだけど、どんな宗教にも犯罪的な側面、危ない側面があるって認識は必要ですね。幼い息子と強制的に引き離された母親役のジュディ・デンチが言葉が出ないほどの名演です。

⑮久々のレオス・カラックスの新作。映画館で観ましたが、大盛況で驚いた!でも・・・。詳しい感想は、ブログ記事をどうぞ!

⑯オリバー・ストーン監督の昔の作品だけど、見逃していたので改めて観ました。これはもっと再評価されなくちゃいけない!冒頭のカットの工夫なんか、わたしは痺れましたよ。後半はやや失速するけど、女優ジュリエット・ルイスの一世一代の作品ですね。原案は無名時代のタランティーノ。

⑰若い頃のキャサリン・ヘップバーンの作品をまとめて見直したんだけど、1930年代の彼女には、後年の名女優としての芝居では失われてしまった何かがあった気がします。その何かを一番よく現わしているのはやっぱり『若草物語』ですね。この映画は何度もリメイクされているけど、結局皆、キャサリン・ヘップバーンに完敗ですから。

⑱体型的コンプレックスを持ち、家庭では父・母から虐待を受け育ち、文字の読み書きも出来ない16歳の黒人少女プレシャスのお話。自尊心を持つことのできないヒロインに「プレシャス(価値がある)」と名付けることの作者の意図がよ~くわかる感動の一本です。『コーダ あいのうた』もよいけど、このヘビーさもよいですよ。

⑲この映画は、ウィル・スミスの平手打ち事件がきっかけで観たんですが、意外や、いい映画ですよ。『ゴースト』でおなじみのデミ・ムーアが過酷な軍隊の訓練に参加するため坊主になるという話なんだけど、デミ・ムーアの頑張りが凄い!ウィル・スミスはこの映画ちゃんと観たことあったのかな?観てたら、悪い意味に取らない気がするんですよね。

⑳自殺の名所の橋を追ったドキュメンタリーだけど、逆に、「生きよう!」と思える不思議な映画。でも、ちょっと刺激は強いかな~。

(その他、気になった作品)
地獄の黙示録(ファイナルカット)、オールドボーイ(リマスター版)、青い麦、エール、コーダ あいのうた、ジュリアン、殺意の瞬間、舞踏会の手帖、ジークフェルド・フォリーズ、スプレンドール、フィラデルフィア物語、男装、素晴らしき休日

<TVドラマの部>
①拾われた男 LOST MAN FOUND
②鎌倉殿の十三人
③カムカムエブリバディ
④石子と羽男-そんなコトで訴えます?-
⑤エルピス

2022年は、ドラマがよかったですね。世間じゃ、『silent』の評価が高いし、画面の色調や役者は悪くはなかったんだけど、いやいや、そこじゃないですよ。

わたしが心底感動したのは、①。主演の中野太賀をはじめ、実名で登場の井川遥など、出演者皆よかったんだけど、なんといっても草彅剛の怪演が凄かった。こんな芝居はこの人しかできませんよ。②はもはや言葉は不要でしょう。
③はヒロイン三人とも良かったけど、三人目の川栄李奈の話が、映画の撮影所の話でわたしに刺さりました。
④は、ファスト映画を扱った回の、でんでん演じるインディペンデントの監督の話がよかった。ゴールデンでこういう脚本って凄いですね。
⑤は、わたしの大好きな『カーネーション』の脚本家渡辺あやさんと、『モテキ』の大根仁監督のタッグ。期待通りの傑作でした。
もっと脚本書いてほしいですね~。

<番外編 本の部>
①微笑(横光利一)
②離魂(田中英光)
③聖子——新宿の文壇BAR「風紋」の女主人
④東京五輪の大罪 ――政府・電通・メディア・IOC (ちくま新書)
⑤北朝鮮 拉致問題 極秘文書から見える真実 (集英社新書)
⑥税のタブー (インターナショナル新書)

最後に、ちょっとだけ本について。若い作家の作品も読みかけるんだけど、やっぱり乗れなくて、結局昔の小説に戻るんですが・・・。

①はコロナのワクチン接種待ちの時間に、キンドルで読んだんだけど、横光利一の遺作にして傑作。今じゃ考えられないでしょうけど、ノーベル賞作家の川端康成なんて、戦前までは横光利一の後ろにくっついている地味な男にすぎず、戦前までの主役は横光の方でした。コレは、戦前・戦中と駆け抜け、疲れ切った横光の最後の輝きを感じる名編で、戦況を逆転させる新兵器の開発をもくろむ天才的な青年との出会いを描いたものですが、若い人より、中年以降に響く作品かもしれないですね~。ぼんやりと微笑の余韻に浸れます。

②破滅的な生活の果てに、太宰治の墓前で割腹自殺した作家田中英光の最晩年の作品で、たまたま、近所の図書館に朗読CDがあったので聞いていたらドはまりしてしまいました。少なくとも、この一作は師匠の太宰を超えています。日本で唯一、ヘンリー・ミラーに肉薄した作家かもしれないな~。これを読んでしまうと、西村賢太なんて甘い甘いって感じだけど、西村賢太解説の角川文庫でお読みください。

③これは、太宰治の小説のモデル(「水仙」、「メリイクリスマス」)にもなった文壇バーのママ聖子さんの話なんだけど、バーに増村保造監督が来て緑魔子を口説いてたって話もさることながら、聖子さんのお父さんが、出獄した時の大杉栄の肖像を描いた人だと知って驚きました。昔は狭い人脈の中で政治とか芸術活動があったんだなってあたりに感動しましたね。

④は、オリンピックを振り返る意味で必読の書。とにかく、読むと目まいがしてきます。オリンピックをきっちり清算するだけでも、日本は大分ましになる気がします。日本人必読の書といいたい。

⑤ご存じ有田芳生さんの本ですが、なぜかメディアが無視している一冊。拉致問題の解決の芽をつぶし続けているのが実は安倍政権だったという衝撃の一冊です。結局、選挙の煽りに使っているだけで、やる気なしという自民党の姿勢を知るためにも、もっと語られなくてはいけません。コレも国民必読。

⑥増税の前に、宗教法人と政治団体への課税をやってくれないと話にならない!読んでもらえばわかります。とにかく、呆れるので、コレも国民必読!ちなみに、わたしは樹木葬か散骨を検討してま~す。

以上です。さて、2023年は何に出会えるかな?

2021年に観た映画ベストなど
新年のご挨拶でも書いたけど、2021年は映画をセーブしていました。結局、旧作含めて観たのは80本程度で200本減でしたけど、実は映画以外でも結構感動があった年でした。では、早速・・・





















































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